「美容ほか大手企業が牽引するオープンイノベーション」:New Year Special 2021 その4
◆ New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページ|メルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o
パンデミックがもたらした新ノーマルな生活習慣への対応に追われた2020年が終わり、2021年が幕を開けた。この年末年始、BeautyTech.jpではこの1年の美容業界の動きを振り返るとともに、新しい年の行方を示唆するキーワード5つを選出して、関連記事をまとめて紹介する。第4回は「美容ほか大手企業が牽引するオープンイノベーション」である。
美容業界に新しい風を吹き込むイノベーションを起こすには、1つの専門分野をみているだけでは足りない。社会全体のデジタライゼーションが進むなか、異業種との垣根が曖昧になり、さまざまな領域が有機的につながって拡大したエコシステムが形成されつつあるからだ。国内外の化粧品メーカーやブランドがビューティ関連のスタートアップはもとより、多分野のテック系企業や大学などの基礎研究チームとの協業を積極的に行なっているのもそのためだ。
なかでも、政府から国の重要産業として国際競争力を高めるための後押しを受けるフランスの美容業界では、産業クラスターに指定されているコスメティックバレーにおいて、オープンイノベーションの機会創出を目指す新しいスタートアップ支援プログラムや専用施設が立ち上げられている。また、ロレアルやLVMHといったグローバル大手が、世界中のスタートアップを参加対象にしたコンテストやハッカソン、アクセラレータプログラムを開催。海洋や森林など環境の保全が地球規模の課題となった現状を受け、ロレアルでは、地球や社会に良いインパクトを与えるデジタル・テック企業を発掘し育成するプログラムをスタートさせた。
日本では、コーセーが本社に設けたイノベーション創出拠点の多目的スペースでの本格的な活動を始めたほか、資生堂研究所がスタートアップとコラボするオープンイノベーションプログラム「fibona」を推進。CIC(ケンブリッジ・イノベーション・センター)のアジア初の拠点であるCIC Tokyoが始動し、業種をまたいださまざまな技術を持つスタートアップ企業に加え、弁護士や会計士など事業をサポートするスペシャリストの入居を招致することで、シナジーの相乗効果を狙うとしている。
Image: livertoon via Shutterstock
様々な分野でオープンイノベーションやスタートアップを支えるアクセラレータプログラムを提供する、美容をはじめ大手企業・組織
● CIC Tokyoが始動、美容分野でもイノベーション創出の期待が高まるスタートアップエコシステム
● 皮膚常在菌コントロールの新成分、桃谷順天館が美容から健康、繊維へも拡大へ
● 仏ロレアルが協働する連帯デジタル広告、リモート植林などの各スタートアップ
● 独バイヤスドルフは韓国LYCLとアクセラを通じて協業、日本での実施も視野に
● 5回目のセフォラ・アクセラレータ。ジェンダー、エシカル、そしてPOCに注力へ
● 仏に誕生のBeautyHubが異業種とのイノベーションも加速、国際競争力強化へ
● 独バイヤスドルフが韓国でアジアトップの美容特化アクセラレーターを目指す理由
● ロレアルやLVMHの学生向けハッカソン、未来の人材・顧客と考える持続可能性
● AIにヒューマンタッチを加えたLVMHイノベーションアワード最優秀賞のCrobox
New Year Special 2021 そのほかの回はこちら
(1)「日本の新興コスメブランド、ヒットの計算と情熱と」
(2)「加速するDXで変わる新ノーマル時代の接客と販売」
(3)「透明性の追求、成長戦略を描くクリーン&エシカルビューティ」
(5)「2021年も美容業界が注目すべきトレンド領域」
Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: RIE SAKAE via Shutterstock