「日本の新興コスメブランド、ヒットの計算と情熱と」:New Year Special 2021 その1
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パンデミックがもたらした新ノーマルな生活習慣への対応に追われた2020年が終わり、2021年が幕を開ける。この年末年始、BeautyTech.jpではこの1年の美容業界の動きを振り返るとともに、新しい年の行方を示唆するキーワード5つを選出し、関連記事をまとめて紹介する。第1回は「日本の新興コスメブランド、ヒットの計算と情熱と」である。
2020年、日本の新興ブランドの傾向は大きく3つに分かれた。いわゆるD2CやP2Cブランド、すでに既存ファンのいるアパレルなどのブランドからの化粧品ラインナップの登場、そしてデータとアイディアを結集して生まれたブランドだ。
アプローチはさまざまだが、2020年に登場したさまざまな新興ブランドが示しているのは、ユーザーの心をつかむだけでなく、いかにユーザーと伴走できるブランドであるかを、計算(データドリブンあるいはデータをきちんと見ていること)と情熱(モノづくりやユーザーとの向き合い方)の双方のバランスをとりながら考え抜いている点だ。
2021年は、まだパンデミックの不安が色濃く残る年になりそうだということを考え合わせても、ユーザーの不便をどう解決するか、あるいはユーザーの「こうなりたい」をどう叶えられるのか、そのアイテムを持つことで日々のちょっとした幸せが得られるのかどうか。ユーザーととことん向き合い、地道に思索を続けているブランドが引き続き成長するだろう。
Image: lemono via Shutterstock
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ニーズに応える新しい提案でユーザーと向き合うD2CやP2Cブランド
2020年は、今までになかった分野や成分の追求とともに、インフルエンサーやユーザーと深く向き合いモノの良さや質を追求したD2CやP2Cブランドが誕生している。
●パーソナライズヘアカラー「COLORIS」に始まる“ニードルブランド戦略”のすべて
●リカフロッシュ20万個超のヒット、D2CからP2Cへ“文脈”理解のマーケティングが鍵
●日本発、100%合法のCBDブランド登場。「WALALA」が示す、美容とウエルネス
●植物療法研究から生まれた新ブランドWaphyto、抽出テクノロジーで世界へ
既存のアパレルブランド、プラットフォームからコスメライン登場
すでにファンをもっているアパレルブランドやプラットフォーマーによるブランドも誕生した。この傾向は引き続き拡大し、美容とファッション、美容とヘルスケアなどの境界線はさらに薄くなっていくことが予想される。
●北欧、暮らしの道具店の化粧品ブランド、ユーザーの熱を巻きこみ2年で新たな柱に
●ジーユーから初のコスメブランドがデビュー、トータルファッションの提案で客単価向上狙う(FASHIONSNAP.COMより)
●ニコアンドから初のコスメラインがデビュー ブラシ付きのパウチーシリーズなど展開(FASHIONSNAP.COMより)
●マッシュビューティラボ、来春にSNIDELのビューティライン登場
データとアイディアの絶妙なバランスで成長中のブランド
パーソナライズしたコスメやヘアケア、香りは、引き続き来年も大きなテーマだろう。すでに先行するフレグランスやヘアケアブランドに対抗できるブランドが登場するかに注目だ。ボタニストにもいわばパーソナライズ版が登場している。その運営会社のI-neやノインは、いまの時代の「ヒットの法則」を捉えたともいえそうだ。2021年も引き続き注目したい。
●データとアイディアで日本の香りカルチャーを大きく変える新興4ブランドの取組み
●Spartyのパーソナライズ・プラットフォーム構想、新スキンケア「HOTARU」で加速
●BOTANISTを生みだしたI-neが上場、アイディア第一の社風とデータドリブン経営
●ノインプロデュースのコンビニ限定コスメ「sopo」、大ヒットの背景と2021年の展望
New Year Special 2021 そのほかの回はこちら
(2)「加速するDXで変わる新ノーマル時代の接客と販売」
(3)「透明性の追求、成長戦略を描くクリーン&エシカルビューティ」
(4)「美容ほか大手企業が牽引するオープンイノベーション」
(5)「2021年も美容業界が注目すべきトレンド領域」
Text: 矢野貴久子(Kikuko Yano)
Top image: JBOY via Shutterstock