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独バイヤスドルフが韓国でアジアトップの美容特化アクセラレーターを目指す理由

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2020年6月15日、ドイツの大手化粧品メーカーであるバイヤスドルフが、韓国国内のビューティ関連スタートアップを発掘・育成する独自のアクセラレータープログラム「NIVEA Accelerator(ニベア アクセラレーター)」の第二期選定企業5社を発表した。採択されたスタートアップの顔ぶれと、なぜ韓国を選んでアクセラレーターを運営するのかの理由を探る。

「NIVEA Accelerator(ニベア アクセラレーター)」(以下、NX)の実施は昨年に続き今回が2回目となる。なぜNXは韓国で開催されているのか。過去に支援を受けたスタートアップはいかに成長を遂げているのか。バイヤスドルフ韓国のベンチャー&新事業部門で部長(Head of Ventures and New Business at Beiersdorf)を務めるヤツェク・ブロズダ(Jacek Brozda)氏に話を聞いた。

NXの第二期には、250社以上が応募

2020年のNXには、2019年より多い250社以上のスタートアップが応募。最終的に、「FEMMUE」「BEIGIC」「ICE CREATIVE」「woohwaman」「AIO&CO」の5社が採択された。バイヤスドルフは選抜したスタートアップと長期的なパートナーシップを締結し、グループ最高幹部らによるトレーニングプログラムなど、さまざまなオプションや支援を提供していく計画だとしている。

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バイヤスドルフ韓国
ベンチャー&新事業部門部長
ヤツェク・ブロズダ氏

では、NXを運営する舞台裏ではビューティビジネスに関するどのような議論が交わされているのか。まず、本国ドイツではなく、韓国をアクセラレータープログラムを実施する舞台として選んだ理由について、ブロズダ氏はこう語る。

「韓国は、デジタル・IT技術で世界に先んじており、同時にスタートアップ・エコシステムやビューティビジネス・エコシステムが確立されている。この3つの条件がここまで整った地域は、世界を見渡してもほかにはない。そのため、韓国こそスキンケアブランドの新しいトレンドを生み出し発展させるのに最適な立地と考え、NXプログラムの出発点とした」

2回目となるNXには、韓国国内のスタートアップから多くの応募が寄せられた。なかには、参加可否について問い合わせ(現在は韓国を拠点とするスタートアップのみを対象)をしてくる海外スタートアップも何社かあったという。さまざまなアイディアを持ったスタートアップが集まるなか、バイヤスドルフでは、「量より質」にフォーカス。選定基準を明確化し、「NX4P」という独自の指標を開発したとする。

「4Pはそれぞれ『人』(People)、『パフォーマンス』(Performance)、『潜在的な可能性』(Potential)と『価格』(Price)を意味する。すべての要素が重要だが、我々が最重要視しているのは、『人』だ。この『人』には、創業者、CEO、チームメンバーなどスタートアップを構成するあらゆる人々が含まれる。スタートアップは、企業としての成長過程において不確実性と向き合わなければならないシーンが頻繁にある。乗り越えるべき壁や挑戦、思いがけないチャンスなど、さまざまな変数に即応してビジネスを牽引しなければならない。多くの困難もある。そこで前に進むための大きな原動力となるのは、やはり『人』だと我々は考えている」(ブロズダ氏)

あわせて、スタートアップに対する具体的な支援は、各社にあわせてカスタマイズすることで、それぞれが持つ最良のものを引き出すとしている。また、選定する企業の事業ポートフォリオについては「ブランドビジネスとプラットフォーム事業者、テクノロジー企業などをバランスよく選出する方針だ」とブロズダ氏は補足する。

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出典:NIVEA Accelerator

採択されたスタートアップ5社

ここで、今回の2020年に選出されたスタートアップについても紹介しておこう。

まず「FEMMUE」は、花が持つ癒し効果に着目した“フラワーセラピー”からインスピレーションを受けたスキンケアブランドだ。ブランドを運営するSNグローバルは2013年に設立され、以来、FEMMUEのブランド構築につとめてきた。CEOは、長らく化粧品業界で従事してきた経験を持つチョン・シネ氏だ。

FEMMUEの製品はいずれも、原材料であるさまざまな花が持つ機能、たとえば、香りによるストレスの軽減や、肌の健やかさをサポートする力などを活用している。自宅においてもスパにいるような体験が味わえる中高価格帯の商品群で、日本、米国、英国などで販売されており、2016年には香港最大のメディカルエステティック・UMH と基本合意を締結。2019年からはベトナムにも本格的に進出している。今後の展開が期待される韓国発の新興ブランドの1つである。

BEIGIC」は、ペルー産のオーガニックコーヒー豆から抽出したオイルを主原料とした製品群が特徴の、ヴィーガン・スキンケアブランドだ。フェアトレードやオーガニックの認証を受けた、天然由来かつスキンケア効果が科学的に証明された植物性由来の原料だけを使用するというコンセプトで、「韓国初の本格的なヴィーガンブランド」とも呼ばれている。NXだけでなく、先ごろ韓国に再進出を果たしたセフォラもBEIGICに注目しており、8月13日には韓国国内のセフォラ2店舗で同ブランドの商品の販売が開始された。

一方、「ICE CREATIVE」は、韓国のトップ・ビューティインフルエンサーたちと契約を結んでいるマネジメント会社だ。クリエイター×動画コンテンツによるブランドのPRや販売促進、マーケティングを支援する。10年ほど前から「YouTubeの時代が来る」と見越して準備を進めてきたメディア出身のキム・ウナ氏が代表を務め、多くのビューティインフルエンサーを発掘・育成してきた実績を持つ。クライアントには、ESTEE LAUDERHERANARSCLINIQUE などインターナショナル企業も数多い。COMETというビューティフェスティバルを通じてインフルエンサーの発掘も行っている。

woohwaman」は、消費者のアイディアを実際に製品として実現するための支援を行うビューティコミュニティプラットフォームだ。運営するのはグッズカンパニーという企業で、代表はキム・ドヨン氏が務める。キム氏はIT業界での経験が長く、ビューティ業界に従事したことはなかったが、2019年にローンチしたwoohwamanからは、5カ月で8つの製品を実際に商品化するにいたっている。

5社目の「AIO&CO」は、韓国内の化粧品メーカーと海外バイヤーを繋げるグローバルB2Bプラットフォーム「AFS MALL」を運営する企業だ。同プラットフォーム事業は2016年にローンチし、2020年5月には累積売上額が約60億円を突破した。現在、世界60ヶ国、約800のバイヤーがプラットフォームの会員になっているという。2020年3月には「foklin」という自社ブランドもローンチ。年内に10商品をリリースし、国内・国外で販売していく計画だとしている。

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アジア随一のビューティアクセラレーターを目指すNX

毎年、韓国で有望視されるスタートアップを選出しているNXだが、今後はアジア各国に展開していくととしている。

「2022年までに、アジアNO.1のビューティアクセラレーターとしての立場を築くことを、NXの目標として掲げており、選定した企業には支援を最大限に行うことで成長を後押しする。なぜなら、彼らの躍進が、NX最大の“広報大使”の役割を果たすからだ。詳細な情報はまだ明かせないが、次にしかけるエリアとしては中国を検討している。また、日本のスタートアップの潜在能力についても理解しており、将来的な候補地として市場を見極めている最中だ」(ブロズダ氏)

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NXのオフィス

ブロズダ氏はまた、2019年に行われたNX第一期で選定されたスタートアップが順調に成長していると説明する。

「NX第一期に選定されたスタートアップは、平均で約130%以上の売上成長率を記録している。各種共同プロジェクトも進行中だ。一例では、バイヤスドルフと選定企業が新しいフェイスケアブランドを開発するため、消費者調査、ブランドコンセプト開発、製品設計、ビジネスモデル開発などで協業している。近く新たなブランド情報も公開できる予定だ。今後も、各社と国内外の販売チャネルおよびエコシステムが上手く繋がるように手厚い支援をしていく」とブロズダ氏は意気込む。

ブロズダ氏はNXの行く先や未来像については「まだまだオープン(未知数)だ」としながらも、アクセラレーターに関心が高い日本の関係者とも、新しい動きを実現していくための協力関係を築いていきたいとする。韓国で始まったNXが今後、アジアでどのように拡大するのかにも注目が集まる。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
画像提供: NIVEA Accelerator

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