「SDGsから顧客の幸せまで、ブランドの哲学」:GW Special その3
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多くの国でパンデミックの先はいまだ不透明なものの、中国市場は明らかな回復と成長基調をみせ、ワクチン接種が進む英国や米国では徐々にロックダウンや規制が解除されており、社会や経済に活気が戻りつつある。2021年のゴールデンウィーク、BeautyTech.jpではこの半年ほどの美容業界の動きを追うキーワード3つを選出して、関連記事をまとめて紹介する。最終回の第3回は「SDGsから顧客の幸せまで、ブランドの哲学」だ。
ESG投資という言葉が広く認知されてきたように、現代の企業経営においては、利益の追求だけにとどまらず、環境保全や社会への貢献に積極的な取り組みをすることが求められている。欧米を中心に、エシカルな企業やブランドを選択的に選んで支持し、同時に企業の経営姿勢に透明性や公平性があるかどうかを厳しくチェックする消費者も増えているためだ。これを受け、LVMHなどグローバルトップはいずれもSDGsや多様性に配慮した包括的な施策をグループ全体で進めている。
日本においても、消費者の視点に立って、顧客を幸福にすることができる商品・サービスを提供しようとする動きが強い。テクノロジーはその実現のための大きな手段のひとつだ。2020年4月に資生堂ジャパン初のCDOに就任したスギモト トシロウ氏は資生堂の持つ文化を軸にDXを推進し「Tailormade Experience(一人ひとりのニーズに合った美容体験)」を目指す。同様に、顧客ニーズに徹底的に配慮することで成長してきたマッシュビューティーラボは、DXも顧客視点からの必然として位置付ける。花王も、培ってきた基盤技術とデジタル技術を掛け合わすことで世の中の役に立ちたいという思いから、デジタル事業創造部を新設した。
環境問題に意識の高い消費者が世界的に増え、クリーンビューティ志向が続くなか、アジアにおいても、老舗のインド企業ゴドレジのようにDXとエシカルを軸にグローバル展開を目指す流れがある。クリーンな処方に加えて地域創生というプラスアルファの価値を掲げる韓国のヴィーガンブランド「owndo」など、ユニークなスタートアップも登場している。ブランド哲学とは、SDGsやエシカルというだけではない。大きな意味で顧客を幸せにできるのか。その観点が問われる。
出典:metamorworks via Shutterstock
DXで顧客視点を貫く日本企業
◾️花王のK25「もうひとつの花王」を起業する決意とイノベーションを起こす仕組みづくり
◾️OEMプラットフォームCOSMAKEなどトキワのオープンイノベーションが加速
◾️資生堂ジャパン スギモトCDOによる「人の心のDX」で新しい顧客体験を創出へ
◾️Cosme Kitchen、日本のオーガニック市場を育ててきた顧客視点と自然体のDX
アジア企業の哲学ある成長戦略
◾️韓国ヴィーガンスキンケア「owndo」は地域創生を哲学に、グローバル市場開拓へ
◾️中国「言安堂」スキンケアの専門情報とコミュニティ、ECで新たな価値提供へ
◾️インドで100年続く革新的企業ゴドレジ、DXとエシカル視点で国内外の市場拡大へ
ソーシャルグッドネスを掲げる欧米ブランド
◾️フランスで高まる“ビアンネートル”、癒しと美、ソシオエスティシャンの貢献まで
◾️ロレアルとP&G、SDGs観点から「水」や「衛生」などのサステナビリティにアプローチ【CES2021】 (2)
◾️LVMHの多面的なSDGs、ゲランの創造的再利用アートから循環型ビジネスまで
GW Special 2021 そのほかの回はこちら
(1)ニューノーマル時代のビューティテック事例
(2)データサイエンスや科学にもとづく商品やサービス
Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: Vincent Guth via Unsplash