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Cosme Kitchen、日本のオーガニック市場を育ててきた顧客視点と自然体のDX

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マッシュビューティーラボについて紐解く前回記事の後編となる今回は、ナチュラル&オーガニックというぶれないコンセプトを軸足に、チャネルとジャンルを広げて事業を拡大してきたCosme Kitchenとその他のブランドの成長の軌跡を紹介する。顧客ニーズに徹底的に配慮し成長してきた同社は、DXも顧客視点の1つの手段として自然に盛り込まれている。

2004年にいち早く国内オーガニックコスメのセレクトショップとしてスタート

2020年10月5日、「Biople by CosmeKitchen(ビープル バイ コスメキッチン)三軒茶屋店」がオープンした。「Biople by CosmeKitchen」としては初の路面店となる。Biople業態最多の1,200アイテムを展開し、デジタルカタログの導入、店舗からのライブ配信など、デジタルシフトを進めた「ニューノーマル」型の店舗となった。

Cosme Kitchen(コスメキッチン)事業を手掛ける株式会社マッシュビューティーラボは、「SNIDEL(スナイデル)」「gelato pique(ジェラート ピケ)」「Mila Owen(ミラ オーウェン)」などのアパレルブランドを擁する株式会社マッシュホールディングス(以下マッシュHD)の中核企業のひとつだ。

Cosme Kitchenは2004年に“オーガニックビューティセレクト”というスタイルで店舗数を急拡大し、化粧品のみならず、インナーケアや食品、さらには飲食へとカテゴリーを広げ続けてきた。それに伴い、新業態・多チャネルに進出し、ビューティ分野にとどまらない「ウェルネスデザイン」を提唱するライフスタイル企業となったのだ。SDGsの掛け声とともにサステナブルな社会に向けた取り組みが加速するなか、クリーンビューティが世界的な流行となる以前から、確固たる信念と哲学にもとづいた事業を推進してきたマッシュビューティーラボは、今また大きな追い風を受けている。

OMOTESANDO店

Cosme Kitchen 表参道店

ビューティからライフスタイルへ、チャネルとジャンルを拡大

現在のCosme Kitchenの形は、2004年、代官山の1号店をリニューアルしたことに始まる。当時の代官山は「代官山アドレス」などの再開発事業が大きく進み、人の流れが急激に増えた時期と一致する。

一方でオーガニック・ナチュラルコスメ市場は「ザ ボディショップ」「LUSH」など比較的低価格の海外ブランドが若い世代を中心に人気となり、店舗数を増やしていた。“iPhone前夜”でもあった時代で、雑誌媒体を通じて届けられる海外のモデルやセレブリティのヘルシーなライフスタイルに注目が集まっており、その流れを受けた一部の高価格帯オーガニック・ナチュラルコスメブランドが、セレクトショップの一角で販売されている状況であった。

Cosme Kitchenでは、まだ一般的には認知されていないブランドを試すことができ、スタッフとの距離感も近い点が画期的であった。本格的なオーガニックコスメを見比べて、カジュアルに手に取れるセレクトショップは、トレンドに敏感な若い世代に大きな魅力を感じさせたとともに、オーガニック・ナチュラル志向のトレンドを取り入れたショップを誘致したい商業施設にとっても「いま欲しいテナント」となっていった。

Cosme Kitchenの最大の強みは「セレクト」業態であることだ。もともと大量生産が難しいオーガニック・ナチュラルコスメの場合、単独でショップやカウンターを持てる企業はかなり限られている。Cosme Kitchenでは、そうした小さなブランドの商品一つひとつをピックアップし発信していくことで、ブランドの成長、ひいては市場自体の拡大に一役買っているともいえる。

日本でのオーガニック・ナチュラルコスメの集積は、伊勢丹新宿店本館地下2階「ビューティアポセカリー」の前身となる「BPQC」が2000年3月にオープンしその端緒となった。故・藤巻幸夫氏が構築した、まさにライフスタイル提案型ショップの一角にオーガニック・ナチュラルコスメコーナーがあったが、そのMD(マーチャンダイジング)を担当していたのが、現在のマッシュビューティーラボ 取締役副社長 小木充氏だ。小木氏の長いキャリアにもとづいた、確かなブランド選定がCosme Kitchenにおいても徹底して行われていることで、Cosme Kitchenで取り扱われることが、ブランドにとっても“お墨付き”となるポジションを確立している。

Cosme Kitchenは早いペースで多店舗展開を行うと同時に、業態の幅を広げていった。「オーガニックライフを送る人たち」に向け、食品やインナーケアなどよりライフスタイルに振ったMDの「Biople by CosmeKitchen」、クリーンイーティングをコンセプトとした飲食店「Cosme Kitchen Adaptation(コスメキッチン アダプテーション)」など、店舗展開する商業施設の客層とコンセプトに沿うかたちでビューティ領域から異業種へと広がりをみせていった。

2015年4月にオープンしたアトレ恵比寿西館は、Cosme Kitchenをはじめ「Cosme Kitchen Adaptation」の1号店、アパレルでは「Mila Owen」「emmi(エミ)」と、2FがすべてマッシュHD系列のショップで構成され、グループシナジーが発揮されている。

2018年2月にはメイクアップを中心とした業態「Make↗Kitchen(メイクアップキッチン)」をルミネ有楽町、新宿ルミネ2に相次いでオープンさせた。メイクアップでは初となる自社ブランド「to/one(トーン)」をはじめ、オーガニックコスメの老舗のネイチャーズウェイと共同開発したベースメイクブランド「m.m.m(ムー)」、韓国発の高機能ナチュラルスキンケア「FEMMUE(ファミュ)」など日本初上陸のブランドを揃え、品薄状態が続くヒット商品も生まれた。とくにルミネ有楽町は、同フロアに従来のCosme Kitchen、さらに百貨店を中心に展開する「Celvoke(セルヴォーク)」を加えた3つのビューティ業態を展開し、スケールメリットを高めた。

2018年9月に開業した日本橋高島屋S.C.新館は、まさにライフスタイル型ショップの集合体のような館となったが、マッシュHDは「Cosme Kitchen」とルームウェアブランド「gelato pique」を隣接させ、さらにスイーツブランドの「HUGO & VICTOR(ユーゴ アンド ヴィクトール)」、M&Aで傘下に収めた「PARIYA(パリヤ)」を異なるフロアに展開した。

Celvokeで百貨店進出、to/oneは「SNS売れ」でヒットを連発

商業施設で存在感を高める一方、ブランド単独での出店機会を掴んだのがCelvokeだ。2016年秋にスキンケア、翌年春にメイクアップラインを加えて本格的にデビューしたCelvokeは、同年9月に初のカウンターを阪急うめだ本店、10月には伊勢丹新宿店にオープンし、百貨店進出を果たした。店頭でのイベントなどでは積極的にSNSを活用した仕掛けを行い、伊勢丹新宿店では同日にローンチしたRUMIKO氏による新ブランド「アンプリチュード」と並んで、行列ができるほどの話題を呼んだ。

Celvokeは人気のヘアメイクアーティスト菊地美香子氏をクリエイターとし、天然成分にこだわりつつもスタイリッシュなイメージで、ファッション感度の高い層からも大きな支持を受けている。“コスメキッチンの会社”が作っていることを意識させないブランディングが、百貨店チャネルへのブランド単独展開を可能にしたといえる。

一方、「Make↗Kitchen」などセレクト業態において展開されてきたto/oneは、モード感の強いCelvokeに対して、やわらかい印象のなかに質感の遊びがある、使いやすいカラーが揃う。ターゲットのミレニアル層と同世代の開発担当者が中心となってつくられる、ちょうどいいトレンド感が支持を受けている。

新型コロナ感染症による非常事態宣言下で店舗が休業を強いられた期間には、この状況下でも顧客とのエンゲージメントを図り、ブランドの魅力をできる限り伝えようと担当者自らがInstagramライブを行って共感を呼んだ。この6月には大阪・あべのハルカス近鉄本店に初の直営店がオープンしている。

三軒茶屋に「ローカル&コミュニティ」なOMO型店舗

Biople by CosmeKitchen三軒茶屋店は、withコロナの新しいライフスタイルにおいて重要になった「免疫力」に注目し、スキンケア・インナーケアなど体の内外にアプローチする幅広いカテゴリーを扱う。とくにこのところ話題を呼んでいるCBDオイルやフェムテック関連商品など、ややアドバンスなものが目立つ位置に展開されているのが特徴的だ。

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Biople by CosmeKitchen
三軒茶屋店内観

棚にぎっしりと並べられた製品は、取り扱いアイテム数の多さを実感できる。目的に合った商品を選ぶことが難しく感じられるが、設置されたタブレットからデジタルカタログを見ることで詳しく製品を知ることができる。デジタルカタログには同店舗には置いていない商品も網羅されており、タブレットから購入も可能だ。決済は店舗で済ませ、受け取り方法は配送か店舗を選べる。店舗の広さや棚数の関係でアイテム展開に制限があったが、デジタルカタログの導入で来店時の選択肢を増やすことを実現した。DX(デジタルトランスフォーメーション)と声高にいってはいないが、顧客目線で考えたときにOMO型店舗が自然な流れだったということだろう。

もちろんショップスタッフに相談もできる。プレゼント選びをする男性客に、スタッフがブランドの特徴などを丁寧に説明している姿も見かけられる。Cosme Kitchenでは、11月から全店にメンズコスメのコーナーを設置して間口を広げているが、レディースフロアでの展開が多いテナント業態に比べて、路面店である三軒茶屋店は男性客にとっても入りやすいスタイルといえそうだ。

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Biople by CosmeKitchen
三軒茶屋店外観

今後は商品紹介のライブ配信や体験型スクールなどの開設も予定されており、感度の高い地域の生活者とのつながりをつくりながら、オーガニックなライフスタイルの発信基地を目指すという。

11月12日には、御殿場プレミアム・アウトレット内に新業態「Cosme Kitchen Village」をオープン。アウトレットにも進出を果たした。ファミリー層の多いロケーションに合わせ、ショップ内で販売する食品をその場で食べられるイートインスペースを設け、家族で参加できるワークショップや地元を中心とした生産者の野菜を販売するマルシェを開催するなど、さらに新しい試みを始めている。

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Cosme Kitchen Village

コロナ禍において、化粧品業界も大きな試練の時を迎えている。とくにリアル店舗をベースとした企業は急速なデジタル・非接触型への変容を迫られ、新しい販売様式への取り組みが続く。これまでさまざまなチャネルで「場」を提供してきたマッシュビューティーラボの「自然体なDX」が、今後デジタルという場を得てどのような仕掛けを続けてゆくのかに注目したい。

Text: 弓気田みずほ(Mizuho Yugeta)
画像提供: 株式会社マッシュビューティーラボ

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