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花王のK25「もうひとつの花王」を起業する決意とイノベーションを起こす仕組みづくり

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花王は2021年1月1日付でコーポレート戦略部門に「デジタル事業創造部」を新設したことを発表した。これは2021年度から2025年度までの5ヵ年を対象とした「花王グループ中期経営計画K25」を受けた動きである。「K25」では、花王がこれまで培った技術を武器に、新しいフィールドへ進出し「もうひとつの花王を起業する」と宣言する。「デジタル事業創造部」を率いる花王株式会社 コーポレート戦略部門 デジタル事業創造部 部長 鈴木愛子氏に、今度どのような取り組みを行っていくのか、話を聞いた。

花王の新規事業領域を支える「デジタル事業創造部」とは

鈴木氏は、デジタル事業創造部の前は、マーケティング創発部門 コンシューマーリレーション開発部 部長として、花王のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押ししてきたことでも知られる。

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花王株式会社 コーポレート戦略部門
デジタル事業創造部 部長 鈴木愛子氏

2020年12月23日にパーフェクト株式会社とBeautyTech.jpで共同開催したBeauty Tech Forumでは、社内のDX推進にあたり、 “デジタル”という言葉が何を指すのかを定義するところから始め、草の根で理解者を増やしてきた経験を共有している。

2020年12月23日 Beauty Tech Forumより
鈴木氏が登壇した『人と組織のDX』

—— 新たにデジタル事業創造部に異動し、今回はどのようなミッションを担っているのか。

鈴木氏: これまでは、各ブランドのマーケティング担当者がデジタルを活用して、顧客体験をより良いものにしていけるよう、環境を整え、後押しし、伴走するのが自分自身の役割だった。デジタル事業創造部が誕生した背景には、現社長(代表取締役 社長執行役員 長谷部佳宏氏)が 研究所出身ということもあり、花王がこれまで培ってきた基盤技術とデジタル技術を掛け合わせて活かし、世の中の役に立ちたいという思いがある。

花王は、以前から基盤技術にも力を入れてきた。大きく分けると2つの研究部門があり、ひとつは1〜3年のスパンで新商品開発を行なっている「商品開発研究」、もうひとつは5〜10年のスパンで研究している「基盤技術研究」だ。どちらにも同等に力を入れており、所属する研究者の数も半々で、ここまでリソースを基盤技術に振り分けている企業は珍しいかもしれない。だからこそ、たとえば「蚊の嫌う肌表面をつくり、蚊に刺されることを防ぐ技術」や、「コロナウイルスに対して感染抑制機能を持つVHH抗体の取得」といったような、「なぜ花王がそんな研究をするのか」と驚かれる技術をたくさん持っている。

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出典:花王株式会社 公式サイト

しかし、そうした技術を既存事業のプロダクトや領域に当てはめてしまうと、それぞれの技術が持つ価値を活かしきれない。それなら、これまで花王が伸びてきた既存事業の枠組みはいったん取り払って、自分たちの技術のユニークさを型にはめずに活かしていくことで、社会に貢献できるポイントがあるのではないかと考えている。加えて、基盤技術のなかには、命に関わる部分で社会の役に立てそうな分野もある。病気の治療薬は製薬会社の領域だが、その手前の未病(健康から病気に向かっている状態)のところでは、たとえば「皮脂RNAモニタリング」技術がそのひとつとしてあげられる。

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