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インドで100年続く革新的企業ゴドレジ、DXとエシカル視点で国内外の市場拡大へ

◆ English version: India’s 100-year-old consumer goods company Godrej expands its footprint in the digital world and grows market both domestically and overseas
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世界初の植物性石鹸の開発に始まり、パーソナルケアや日用品などの消費財ブランドを豊富に揃える老舗インド企業ゴドレジは、徹底した4Pと柔軟なアジャイル開発戦略で、インド国内はもとより海外でも存在感を高め、米「WWD」が発表するビューティ企業ランキングTOP100では2019年時点で44位だ。イノベーションを経営の柱に据え、コロナ禍の厳格なロックダウン中でも新商品を市場に送り出す強さの秘密を探る。

世界最初の植物性石鹸を開発したインドの国民的ブランド

インドを本拠地に、ヘアケア製品や石鹸、化粧品といったパーソナルケアから、消毒ジェルなど衛生関連製品や虫よけグッズなどの日用品まで、幅広い商品ラインナップを展開する企業、それがGodrej Consumer Products(以下、ゴドレジ)だ。パパママストアと称されるローカルショップから大型モール、主要なECプラットフォームと、オン/オフラインの双方で数多くの製品を販売しており、2019年の売上総額は1,031億4,000万ルピー(約1,443億円)で、2017年〜19年の年平均成長率は5.33%を記録*。インドの人々が一度は手にしたことがある国民的なブランドを数多く持つ。

ゴドレジの創業は1897年にさかのぼり、20世紀初頭のスペイン風邪流行時には、世界で初めて、動物性油脂を使用せずにベジタブルオイルを原料とした石鹸を開発したことでも知られる。このイノベーションを起こす社風は100年以上受け継がれており、2016年には、米Forbs誌の「Most Innovative Growth Company」に3度目の選出を果たした。

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出典:ゴドレジ公式サイト

イノベーションをテコに事業を拡大

ゴドレジはイノベーションを重要な企業アイデンティと認識しており、経営戦略の7つの柱の1つに「イノベーションとパーパスを持ったブランドへの成長」を掲げている。2019年から2020年にかけては、「Expert」ブランドのクリームヘアカラーのリローンチをはじめ、アンモニアフリーのヘアカラーやケラチン配合のシャンプー、植物性の伝統を受け継ぐ石鹸ブランド「CINTHOL」からチャコールソープ、また、ハンドサニタイザーやEC限定品などの新製品が生み出された。

このように多種類の商品を短期間で市場に送り出せるのは、「アジャイル開発によって高いパフォーマンスを創出する」という企業カルチャーが根付いているからだとされる。ニーズの吸い上げから、製品開発、ローンチまでのリードタイムを短縮することに注力し、業界の先駆者であり続けようとする意思が明確なのだ。しかも、このリードタイムはさらに短くなっている。2020年、自社開発のDMP(データマネジメントプラットフォーム)をリリースし、デジタル化への移行を加速させたことで、100万件以上保有する顧客データの収集・分析を効率化し、新商品を発表するサイクルを月単位から週単位とした。

CSRポリシーにもとづくサステナブル施策

ゴドレジが製品開発における基本理念としているのは「スピード」だけではない。前述した経営の柱の1つにうたわれているように、地域の課題にアプローチしつつ環境を保護する「パーパスドリブン」な姿勢も欠かせないポイントだ。

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