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資生堂ジャパン スギモトCDOによる「人の心のDX」で新しい顧客体験を創出へ

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2020年4月に資生堂ジャパンに初めてのCDO(Chief Digital Officer)が誕生した。米国籍で金融や消費財での経験が豊富なスギモト トシロウ氏である。2020年8月に行った第2四半期の業績発表で、一層のデジタルシフトを推進していくと株式会社資生堂 代表取締役社長 魚谷雅彦氏が宣言するなか、スギモト氏は、資生堂の持つ文化を軸に、DX、なかでも「人の心のDX」とでもいうべき明確な方針で、社内を鼓舞し顧客体験を進化させている。

資生堂が目指す「Tailormade Experience(一人ひとりのニーズに合った美容体験)」

「ミレニアル世代のショッピングの仕方は、私のような団塊ジュニア世代とは違う」。資生堂ジャパン株式会社 CDO スギモト トシロウ氏はそう語る。

「私の世代は、たとえばスーツの質は店舗に見に行かなければわからない。だからブランドは品質マークとして認知されていたが、ミレニアル世代はデジタルネイティブが多く、ソーシャルメディアですぐにランキングやほかの人のレビューが見られる。従来であれば(店舗に)足を運ぶまでに30分かかっていたが、今や4秒で情報をフィルタリングして買える。高いブランドだから買うのではなく、自分に合ったものが欲しい。そんな人たちに、なりたい自分、目指す肌、欲しい化粧品体験を、最適な形で、最適なタイミングで提供する。それが、Tailormade Experience(一人ひとりのニーズに合った美容体験)に取り組んでいる理由だ」と、顧客の買い物の仕方の変化を、Tailormade Experienceを目指す理由の1つとしてスギモト氏はあげた。

Tailormade Experienceに必要な要素としては、「シームレス」「ユビキタス(いつでもどこでも)」「タイムリー」の3つが掲げられている。

1つ目の「シームレス」は、欲しいものを、顧客が欲しい場所で、デジタルでもリアルでも、場所を気にせずに購入できることだ。2つ目の「ユビキタス」は、1991年にゼロックスのパロアルト研究所のマーク・ワイザー氏が「The Computer for the 21st Century」という論文で紹介したコンセプトで、「環境中に多くのコンピュータを組み込むことで、いつでも、どこでも、だれでもが、意識しないで、状況に応じた最適な情報の利用ができる情報システム」(『ユビキタスでつくる情報社会基盤』坂村健著、東京大学出版会より)を意味する。資生堂は、顧客がいつでもどこでも欲しい情報・製品・使い方を欲しい時に見つけ、購入できることを目指しているのだ。そして、3つ目は「タイムリー」。実はこれが一番重要だという。

「おなかがすいていないときに、すごくおいしいブイヤベースを出されてもちょっと難しい。本当に必要なときにすぐに手に入ること。化粧品においてもそれが大切で、(それが叶うことが)ひとの自信につながり、ハッピーな気持ちにしてくれると確信している」(スギモト氏)

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