米国のD2C「リアル店舗」戦略を支えるRaaS、アフターコロナのその価値は【NRF2020】
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アフターコロナの時代は、リアル店舗での体験がさらに高付加価値となるだろう。米国の老舗百貨店Nordstromや、シリコンバレー発祥のb8ta、新興のShowfields、Neighborhood Goodsなど、米国のD2Cのリアル進出を支えるRaaS(Retail as a Service)の戦略、オンラインとオフラインを顧客がどう使い分けているのかなどを知ることは、これからのOMO戦略を考える鍵になる。NRF 2020のセッションから、RaaS先駆者たちの目指すところを紹介する。
<そのほかのNRF 2020レポートはこちら>
(1)顔認証も音声認識も。リテールにおけるパーソナライゼーションの深化を牽引
(2)米NTWRKなど「今しか買えない」ライブコマースが非接触リテールとして躍進の予兆
(3)Enjoyが目指すエモーショナルな購買体験、ECの便利さと実店舗のサービスを合体
全米小売業協会(National Retail Federation=NRF)が開催する世界最大級のリテール業界向け年次展示会と会議「NRF 2020 Retail’s Big Show」(2020年1月12~14日)は、消費者にブランドのストーリーを伝え、ブランドや商品を体験してもらう場としての実店舗の再生を深く印象づけた。かつての「オンライン店舗対実店舗」の構図は消えつつあり、オンライン、オフラインの全てのチャンネルの機能やデータを組み合わせ、実店舗も含めた各接点を最適化、消費者がいる場所で、消費者の望む価値を提供するための試みが進んでいる。
2020年3月24日時点では、COVID-19により米国の多くの都市が外出規制や生活必需品以外の店舗閉鎖などの事態に直面している。今回の記事で取り上げるNordstrom、Showfields、Neighborhood Goods、b8taは同時点で米国内の全店舗を一時閉鎖中だ。すでに中国では「購買体験」をいかにオンラインで充実させるかという動きもあり、アフターコロナの世界では販売の軸足をオンラインにおきつつ、逆にリアル店舗での体験価値が「贅沢で豊かなもの」としてさらに高まっていくに違いない。そのためにも、リアル店舗がいかにオンライン販売に寄与しているかなどの分析と考察を今回は見ていきたい。
店舗体験がオンライン販売の3分の1に関与
百貨店大手のNordstrom(ノードストローム)は、地下2階、地上5階、店舗面積32万平方フィートの旗艦店を、2019年10月にニューヨーク・マンハッタンにオープンした。新店舗は通常の品揃えに加え、D2Cブランドの取り扱いを増やしたほか、オンラインで注文した商品の受け取りや返品、服のお直し、靴の修理、スタイリストによるアドバイス提供など、商品販売以外のサービスを充実させた点に特徴がある。
バーやレストランも店内7カ所に設けられており、顧客が希望すれば買い物中に飲食物を届けてくれる。ネイルサロンやヘアセットをしてくれるブロードライバーも用意されており、スピードや便利さといった顧客のニーズに応える一方で、店内滞在時間を増やすための工夫が各所になされている。
マンハッタンにある
Nordstrom旗艦店の外観
(出典:Nordstrom)
商品の受け取りや返品、服のお直しなどのサービスに特化した小型店舗「Nordstrom Local」も、旗艦店に先立ちマンハッタンで営業を開始した。
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