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YouCam メイクはどこまで深化するのか。アリス・チャンCEO独占インタビュー

◆ English version: YouCam Makeup trailblazes AR in beauty — Exclusive interview with CEO Alice Chang
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全世界で7億ダウンロードされるバーチャルメイクアプリ「YouCam」シリーズを開発する台湾企業Perfect Corp.は、次なるステージに進もうとしている。「もっとひとりひとりにパーソナライズされた顧客体験をつくる」。BeautyTech.jpの独占インタビューに応じた同社のアリス・チャンCEOが描く、バーチャルメイクの未来とは。

世界的に美容業界におけるARへの注目度が上がっている。直近では、米国大手化粧品ショップのアルタ・ビューティが、AR技術のスタートアップを買収したほか、ロレアル傘下のModiFaceが様々な色のネイルをリアルタイムにバーチャル体験できる新アプリをローンチした。こういった競合に対して、Perfectの強みは、個人ユーザーに愛されるアプリであるだけでなく、グローバルで200あまりのブランドに対して、AR技術を用いたバーチャルメイクアップ、ヘアカラーや肌診断、ARトレーニングまで幅広いサービスを提供しているというビジネスポートフォリオのバランスの良さだ。Perfectは何をみすえ、どこに行こうとしているのか。

2018年10月、台湾にあるPerfect Corp.本社にてチャン氏をたずねた。会議室に入るなり筆者をハグし、「よく来たわね」と迎える気さくな雰囲気は、スタッフ一人ひとりに対しても同じだ。彼らを気遣い、よく笑い、よく褒める。ここまでの道を一代で切り拓いてきた女性起業家としての道のりはまた別の機会に譲るとして、今回は、同氏が考えるバーチャルメイクの未来予想図と、Perfect Corp.がめざす先をひもといてみたい。

左からパーフェクト株式会社の磯崎順信代表取締役社長、
Perfect Corp.の創業者アリス・チャンCEO

C向けアプリ開発とB向けベンダー。2つの顔を持つPerfect

Perfect Corp.は、前述したように「YouCam メイク」など一般ユーザー向けのバーチャルメイクアプリ開発と、美容ブランドや小売店向けにバーチャルメイクアップサービスを提供するベンダーという2つの顔を持つ。つまり、個人ユーザーのニーズも、企業のニーズも同社に集まっており、その双方を生かしながらどちらのビジネスも伸ばしていけるということになる。

特にAR、AIを軸にして次々に発表される企業向けサービスはどれも、これまでの対面接客にプラスアルファのビジネスチャンスを創出できると業界関係者から注目を集める。ユーザーが楽しみながらさまざまなバーチャルメイクにトライしたデータを、ブランド側はダッシュボードから見ることができる。どの色がよく試されているのか、逆にどの色が人気ないかなどの結果だ。こうしたデータをマーケティングに活用できることも強みだ。

現在は大手百貨店や化粧品専門店などが同社のアプリを内蔵したタブレット端末を化粧品売場に置き、その場でバーチャルメイクを試せるようにしたり、化粧品ブランドが自社のウェブサイト上でバーチャルメイクサービスを導入し、購入前の参考にしてもらったりという用途で使われることが多いが、それ以外にもARアプリを通じた美容部員の教育事業や、美容部員が顧客に対し1対1で行うオンライン接客事業なども展開。日本の美容業界が抱える「美容部員不足問題」へのソリューションになるのでは、という期待もある。

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