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ラグジュアリー業界でLVMHが挑む「矛盾」の先のデジタル

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ミレニアルの台頭で彼らが好む「ナチュラル」や「ラグジュアリー」に重きを置きはじめたビューティー大手。デジタルシフトの好例として必ず話題となるセフォラを傘下に抱えるLVMHのデジタル戦略をひも解くためには、まずLVMH本体の戦略の理解が不可欠だ。2回にわたって、LVMHの全体戦略とデジタル戦略について紹介する。

フランスでは、2013年から経済・財務省が主導しているスタートアップ企業支援策、「La French Tech(フレンチテック)」に後押しされ、起業活動が活発化している。2016年6月には、スタートアップの見本市、Viva Technologyをパリで開催した。また、成長に対する危機感を募らせてきた老舗企業やフランスの経済基盤である農業・工業・運輸業などの領域で、変革やイノベーション創出のためにスタートアップを活用する動きが加速している。そして、ワインテック、ビューティーテック、ファッションテックなどの新たな融合領域が生み出されてきた。

この動きも影響し、ロレアルやLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(以下LVMH)などの消費財のトップ企業は、ネットとの融合を追求しはじめており、様々な取り組みをしている。

ロレアルについては、「仏ロレアルに学ぶ、戦略的CVCのつくり方」や「ロレアル、ユニリーバ、エスティ ローダー。2018年上半期デジタル施策総まとめ」などの記事でも取り上げてきているが、今回は、2015年に元アップルの音楽部門幹部をCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)に迎え、2017年に独自のEコマースサイト24 Sèvresを立ち上げるなど新たな展開をはじめたLVMHのデジタル戦略について取り上げる。

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出典:24 Sèvres.com

LVMHのデジタル戦略を見る前に、まずグループ自体の戦略を紹介したい。なぜならば、LVMHのデジタル戦略は、「ラグジュアリービジネスの成長」が基盤にあるからだ。

ラグジュアリービジネスには、成長戦略を描くときに必ずといっていいほど抱える「矛盾」がある。それをLVMHでは、新たなビジネスモデルを確立することで乗り越え成長を遂げてきた。さらに、イノベーションの源であるアート・ディレクターたちの創造性を壊さず収益に結びつけるモデルを作り上げた点でも、多くの企業の参考になるに違いない。イノベーションとエコノミクスのバランスはとても難しいものである。

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