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資生堂とアクセンチュアのJVが描くビジネス改革<後編: ID統合、ウエルネス分野進出へ>

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資生堂とアクセンチュアの合弁会社である資生堂インタラクティブビューティー(IB)が、実際にどんな取り組みを始めているのか。前編に続き、資生堂インタラクティブビューティー株式会社 代表取締役社長 高野篤典氏、そして、同社の中核を担うアクセンチュア インタラクティブ本部 マネジング・ディレクター 枩崎(まつざき)由美氏、アクセンチュア インタラクティブ本部 シニア・マネージャー 志満津加奈氏に、BX(ビジネス変革)に向けて現在社内で動いているプロジェクトについて聞いた。

顧客理解のためのユーザーID統合で「テーラーメイド・エクスペリエンス」へ

資生堂が目指す「Tailormade Experience(テイラーメイド・エクスペリエンス:⼀⼈ひとりのニーズに合った美容体験)」を実現するために、資生堂IBでは「お客様理解」を中心にビジネスを作り上げている。顧客理解については、セフォラやナイキなどが海外の好事例としてよくあげられるが、アクセンチュアから資生堂IBに出向しCX(顧客体験)領域全般を支援する枩崎氏も、彼らがオムニチャネルをスムーズに実装できたのは、「データをうまく使いながらお客様と常につながり、お客様の変化についていけている」からだと考えている。

資生堂IBでも、データ=事実にもとづいた体験設計をしていくことを考えている。「これまで日本の化粧品業界は、春夏・秋冬と季節ごとにキャンペーンを打ち上げて認知を広げる手法を重視してきたが、お客様の価値観やライフスタイルが多様化するなかで、こうしたやり方のみでは通用しなくなってきている」(枩崎氏)。

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アクセンチュア インタラクティブ本部
マネジング・ディレクター
枩崎(まつざき)由美氏

「お客さまは、なぜ資生堂の商品を買ってくれるのか、なぜ買い続けているのか、なぜ買うのをやめてしまったのか。人生のどのタイミングで使っているのか。お客さまの人生に寄り添い、お客さまを理解することがスタート地点となる」(枩崎氏)

顧客一人ひとりに寄り添って理解するために、顧客IDの統合は資生堂IBにとって中核を担う取り組みだ。顧客を中心に据え、テーラーメイド・エクスペリエンスを創り出すのが、このJVの一番の目標だからだ。そして、この顧客理解が進むことは、ブランドのあり方を根底から考えることにもつながる。

「資生堂の商品を購入した顧客が、どういう人なのかをあらゆるデータから立体的に分析したときに、実際の顧客と資生堂のブランドが訴求してきたペルソナとどの程度重なっているのか、あるいは違うのかということも検証できる」(枩崎氏)。つまり、顧客とブランドの関係性をみた結果、ブランドのペルソナとは違う実購買者が多数存在していたということもありうる。

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