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コスモプロフ・アジア2020で語られた新ノーマルと、次世代の美容トレンド予測

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「コスモプロフ・アジア・デジタル・ウィーク」として完全オンラインで開催されたアジア最大級の国際美容展示会では、出展アイテムからビューティトレンドを割り出す「COSMO TRENDS」をはじめ、各ウェビナーで2021年に向けた予測がいくつも示された。コスモプロフ・アジア2020をレポートする記事の2回目は、これらのキーワードから美容業界の潮流と、成長著しいAPACの若い層の動向も読み解く。(1回目のレポート記事コスモプロフ・アジア2020はオンライン開催、AIによるビジネスマッチングで好評』

■恒例のCOSMO TRENDS、2021年を占う6つのキーワードとは

コスモプロフ・アジア・デジタル・ウィークでは、従来ならば会場内のステージや特設スペースで開かれるライブイベントやセミナーも動画配信に切り替えられた。インターナショナルな調査会社やビューティブランドの創業者などエキスパートが登壇し、旬のテーマについて講演する「COSMO TALK」も、1回30分に短縮してのバーチャル開催となった。

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その年のコスモプロフ・アジアに出品された商品を分析することで、最新のビューティトレンドを割り出して解説する、恒例の「COSMO TRENDS」の発表もウェビナーとして行われた。これは、導き出された6つのトレンドキーワードにあわせて、各トレンドを象徴する出展商品をピックアップして紹介するものだ。

その1 「セルフケア・テック」

登壇したのは、企業向けコンサルティングのほか、美容業界に関する各種レポートを提供するBeautystreamsのエグゼクティブ・エディター、ローラ・ジブ(Laura Ziv)氏で、選ばれた2020のキーワードのその1は「セルフケア・テック」だった。外出自粛による巣ごもり需要から、自宅にて自分でできるスキンケアに注目が集まっていることを示し、韓国 WaveonのAI搭載スマート美顔器や、同じく韓国企業 FrontisのAIによる肌分析やパーソナライズしたケアの提案などが受けられる家庭用ARビューティミラーなどがあげられた。

その2 「ローカル・トレジャー」

続いてのキーワード「ローカル・トレジャー」では、地域の特産品を素材にしたスキンケア製品をハイライト。ザクロを主成分にしたイタリアのSOCO S.p.A.のビオシャンプーなどに並び、愛知県東三河で原料の薬草栽培から手がける日本ブランド「Waphyto(ワフィト)」の製品レジェナ トナーが取り上げられた。

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その3 「ハイパー・ハイジーン」

また、その3「ハイパー・ハイジーン」では、衛生に対する意識の高まりを指摘し、殺菌に加えて、潤い効果をプラスしたイタリアDott. Ciccarelliのハンドクリームや、香港企業Belle CosmicのUV殺菌化粧ポーチにスポットを当てた。

その4 「シール・オブ・サイエンス」

さらに、その4「シール・オブ・サイエンス」では、韓国Attibe Beautyの超音波フェイスリフト機器など、革新的な技術が次々と登場している状況を示唆した。

その5 「ネイチャーズ・ポーション」

その一方で、「ネイチャーズ・ポーション」として、シリコンなど有害成分を排したナチュラルかつサステナブルなプロダクツが、消費者の支持を集める動きを明らかにした。製品としてはポーランドのヴィーガンスキンケアブランドFLOSLEKほか全6製品が選ばれた。

その6 「マスク・フレンドリー」

そして、最後のキーワードとして「マスク・フレンドリー」があげられ、マスクが日常生活のマストアイテムの今を反映し、マスクに付着しにくいB.Kolormakeup & Skincare S.p.aのファンデーションやArt Cosmeticsの口紅と、イタリア発の2ブランドが紹介された。

以上のように、当然のことながら、自粛によるライフスタイルの変化や衛生対策への関心、マスクの着用などに注目が集まる、Covid-19の影響が色濃く反映されたCOSMO TRENDSとなった。

■クリーン・ビューティの次に来る「コンシャス・ビューティ」

COSMO TALKSの1つとして、「From Green to Clean Beauty and What’s Next? (グリーンからクリーン・ビューティへ、そして次にくるものは?)」との、興味をそそるタイトルのウェビナーを行なったのは、ユーロモニターインターナショナルのアナリスト、ジェーン・チェン(Jane Zhang)氏である。

チェン氏は「過去10年にわたり、オーガニックやナチュラルであることが最善の選択と考える流れが続いたが、認証が乱立されるなどして、どれだけの天然成分を使えばナチュラルと呼べるのかなどの基準の曖昧さが際立ち、グリーン・ビューティの市場での信頼が下がってしまった」と指摘。

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©️Eurominitor International

さらに、コロナ禍による医療崩壊への危機感から、免疫強化、本当に必要なものだけを選ぶシンプルさ、科学的裏付けがある安全性など、自然と科学を融合させたクリーン・ビューティが新ノーマルになりつつあるとする。このことから、有害物質が未使用かどうかなど、成分の透明性も重視されており、専用アプリなどを利用し化粧品に使用されている成分チェックをするなど、消費者の意識が高まっている状況を説明した。

そのうえでチェン氏は、単に天然成分を使用しているだけのクリーンではなく、エシカルやサステナブルへの配慮がさまざまなレベルでなされているかを、消費者が能動的に確認していくとともに、パーソナルなアプローチにより個の自分を意識できる「コンシャス・ビューティ」の段階に進むのではないかと予測した。

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©️Eurominitor International

各国・地域で求められるクリーンやコンシャスの定義の違いを理解する

またチェン氏は、同じ「クリーン・ビューティ」でも、その定義や求めるものには国や地域によって差異があると話す。たとえば、アジアでは原料の内容を重視するのに対し、ヨーロッパではクルエルティフリーやヴィーガンのコンセプトをクリーンと捉える傾向が強い。

アジア内でも国によって異なるとして、東南アジアとインドは、科学的データにもとづいたドクターズコスメなど、細かくパーソナライズされた製品を求めているとする。一方、韓国はヴィーガンへの関心が高まっている。また、常時マスク着用のため、いくつもの原料を組み合わせた処方は肌荒れを招きやすいと考える人が多く、よりシンプルな製品が求められている。

香港と台湾は、人工的に化学合成された成分でも、安全であれば抵抗がない傾向にあるが、それには消費者への正確な情報提供が前提だ。また中国本土は、グリーンからクリーンへの過渡期にあるとして、漢方成分など天然原料による免疫性の向上を強調する製品が好まれていると解説した。

■APACのZ世代、ミレニアル世代4つの動向

消費の中心になりつつあるZ世代(世界20億人)とミレニアル世代(同18億人)の美容分野での好みや消費行動の分析を行ったウェビナー「Targeting APAC Gen Z & Millenials in Beauty Innovation(ビューティにおいてAPACのZとミレニアル世代をターゲットにするには)」で、スピーカーを務めたGlobal Data リサーチ&アナリシス ディレクターのスミット・チョプラ(Sumit Chopra)氏は、APAC(アジア太平洋地域)のなかでも中国とインドの二大市場でこの2つの世代グループが高い人口比を占めていることにも着目する。

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©️Globaldata PLC

Z世代とミレニアル世代の間には気質やデジタル度で異なる点があるものの、自撮りに親しみ、ナチュラルな製品を好み、ジェンダーレスを評価するという共通項がある。ここからチョプラ氏は、この2つの世代の4つの特徴を導く。

その1 徹底したナチュラル志向

1つは徹底したナチュラル志向だ。ライフスタイルそのものを“クリーン”にしたいという思いが強く、ヴィーガンや100%ナチュラル、オーガニック、クルエルティフリーをうたう製品を購入し、エシカルで透明性の高い企業やクリーンな哲学をもとに起業したブランドを支持する。

その2 AIなどによるパーソナライズを好む

2つめとしては、AI、ブロックチェーンなど、リアルタイムのデータモニタリングを可能にする先進技術によるパーソナライズを志向する点だ。

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©️Globaldata PLC

その3 自分の心身だけでなくSDGs視点も含む健康志向

3つめは健康志向である。これは個人的な心身の健やかさのほか、サステナビリティや社会的価値、ジェンダーや人種平等など、自分たちを取り巻く社会環境の健康さを含んでいる。

その4 SNSにおけるデジタルコミュニティを重視

4つめとしては、SNSプラットフォーム上のコミュニティが大きな役割を果たすところだ。自分が満足できる製品を探すとき参考にするのは、オンラインのクチコミや、エキスパートやインフルエンサーの投稿であり、ブランドとのタッチポイントもSNSの投稿や広告が入り口となるため、デジタルマーケティングの重要性は明らかだとしている。

■美容業界が若い世代の心をつかむために注目すべきことは

こうした傾向を踏まえて、美容業界がターゲットとする消費者の心をつかむために今後注目すべきは、AR/VRをよりスムーズにする5G、男女というジェンダーを超えた第3の性、DNAレベルの解析にもとづくパーソナライゼーション実現するジェネティクテック、そして、消毒・殺菌など衛生面での配慮をプラスしたビューティやグルーミングプロダクツであると、チョプラ氏は結論づけた。

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©️Globaldata PLC

COSMO TALKSウェビナーは、昨年までのリアル開催に比べて、プログラムの数も減り、時間も短くなった。だが、広い展示会場内のあちこちで、多数のプレゼンテーションが同時進行で行われるオフラインは、興味のあるセミナーがバッティングすることも多々あり、ブースを見学する時間との兼ね合いで参加できない場合も少なくない。その点、デジタル・ウィークでは1つずつ順次行われるうえ、ライブを逃しても後日アーカイブから視聴できるというメリットがある。効率よくトレンドの理解が進むという意味では有効だ。

前回のレポートでは、AIマッチングによるオンライン商談が活況で、出展者、ビジターともに満足でき評価が高かったことを伝えたように、リアルとデジタルの長所をそれぞれ活かした融合型イベントが新ノーマルとなる日も近いことを、コスモプロフ・アジア2020が示したかたちだ。

Text: 甲斐美也子 (Miyako Kai)、編集部
Top image: Cosmoprof Asia

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