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コスモプロフ・アジア2020はオンライン開催、AIによるビジネスマッチングで好評

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毎年11月、香港で開催されるアジア最大級の国際美容展示会「コスモプロフ・アジア(Cosmoprof Asia)」は、世界中がコロナ禍に揺れる2020年は「デジタル・ウィーク」としてオンライン開催となった。アジア市場での躍進をめざす美容業界にとってB2Bの交流の場であるコスモプロフ・アジアは、デジタル・フォーマットでどのようにその役割を果たしたのか。ウィズコロナでの業界イベントのあり方をも考えさせられる機会となった。1回目は、オンラインのB2Bイベントがいかに機能したかをレポートする。

コスモプロフ・アジアの美容業界における役割

通常は香港中心部湾仔の香港国際展示場をメイン会場として開催されるコスモプロフ・アジア。昨年の2019年は香港での反政府活動が最も激化したタイミングの開催となり規模が縮小されたものの、例年、世界190以上の国地域から3,000社を超える企業が展示ブースを構え、8万人以上の来場者が訪れる国際ビューティ見本市だ。

コスモプロフ・アジアが担ってきた最も重要な役割は、ビジネスとコンシューマーの両極での発展が著しいアジアと、世界の美容業界をつなぐ架け橋となることだ。膨大な数のブランドが、ユニークな製品を求める世界中からのバイヤーや、OEM供給元を探すメーカーとの出会いの場として活用し、海外展開の成功につなげている。

115カ国と地域から8,953人が参加、好評のため期間延長も

そのコスモプロフ・アジア 2020が「コスモプロフ・アジア・デジタル・ウィーク」として完全オンラインでの開催になると発表されたのは2020年8月だった。当初は11月9日〜13日の予定だった開催期間は、ビデオミーティングによる商談が予想以上に盛況だったため、会期途中で17日まで延長となり土日を除く7日間にわたり行われ、オンライン運営ならではの柔軟性が発揮される結果となった。

最終的には合計19カ国652社が出展し、そのうちの3分の1を超える227社が初参加だった。ブースの設営や人の移動や配置が必要なく、小規模D2Cブランドなどの出展ハードルが低くなったことなどが背景にありそうだ。また、「パビリオン」と呼ばれる国別のサイバー展示空間には、中国、韓国、ギリシャ、イタリア、ポーランド、スペイン、スイス、英国などが参加した。例年は大きな存在感を示している日本からの出展は7社にとどまった。

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出典: コスモプロフ・アジア・デジタル・ウィーク公式サイト

コスモプロフを主催するBolognaFiere Groupによれば、デジタル・ウィークへのビジター数は115カ国と地域から8,953人で、イベント公式サイトの訪問者数は延べ10万人を超えた。そして今回の目玉であるビデオ会議ツールを介した1対1のオンラインミーティングは3,568回行われ、ライブチャットも3万1,009回に及んだ。

BolognaFiere Groupプレジデントのジャンピエロ・カルゾラリ(Gianpiero Calzolari)氏は「アジア太平洋地域(APAC)は、美容業界にとって今も重要な市場であり、この数ヶ月のうちに復活を遂げると予想されている。デジタル・ウィークによって、世界各地からの出展者が、APACに向けたアップデートや特別なプロジェクトを共有できたことは大変喜ばしい」と述べている。

Match&Meetプラットフォームで効率的にマッチング

コスモプロフ・アジア・デジタル・ウィークでは、ミーティングプラットフォーム「Match & Meet」が使われた。

会期前に受け取ったメールからの誘導でデジタル・ウィークへの登録を済ませると、多数の出展者や来場者のなかから、自分の目的に合った相手を見つける「Match & Meet」プラットフォーム上で、細かく設定されたジャンルから関心があるものを複数選択する。一方で、自分のプロファイルも記入しておくと、AIマッチングによる面談相手のお勧めリストが次々と送られてくる仕組みだ。同時に出展者リストから興味のある企業に直接面談を申し込むこともできる。

今回は実際に行ったクリーンビューティ系の企業2社とのミーティングについてレポートする。

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■パッケージにも凝ったシートマスクのAdwin

Match & Meet内のスケジュール管理を使い、ミーティングの日時を設定。1件目のAdwin は、トレンドを巧みに取り込みつつ、ユニークなアイディアの多彩なシートマスクをラインナップする韓国ブランドで、コスモプロフ・アジア では毎年ブースを構える常連だ。唇や目の下、足から、デコルテやヒップアップ用まで、頭からつま先までニッチな部位にも対応するマスクを自社開発するほか、OEM/ODM企業として、シートマスク本体のフォーミュラはもちろん、シートの形状や柄、パウチ型パッケージのデザインまで幅広いメニューを提供している。

「Match & Meet」プラットフォーム上で、韓国にいる海外営業担当者2名との英語によるミーティングをスタート。早速おすすめの最新製品を尋ねると、担当者がすぐに取り出したのが「ヴィーガンシートマスク(Vegan Sheet Mask)」だ。

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テイクアウト食品のような
目をひくパッケージを手にした
Adwinの担当者

スイカやピーチ、ナス、トマトなどの果物や野菜を配合、「乾燥肌用サラダボウル」と名付けられたミックスなど、ヴィーガンシートマスクは15種類が用意されている。

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デリのサラダを思わせる
遊び心があるデザインの
P/D Vegan Salad Bowl For “Dry Skin”
出典:Adwin

■メイド・イン・イタリアのスキンケアBonjour La Vie

続いてのビデオミーティングはイタリアのスキンケアブランド「Bonjour La Vie 」である。時差の関係で双方に都合の良い時間をすり合わせる手間はあったが、ブランド創業者のソニア・モセッティ(Sonia Mosetti)氏との面談が行えた。

Bonjour La Vieは、モセッティ氏自身が肌トラブルに悩み、長い時間をかけて肌に有害な物質について研究を重ねた経験から生まれた、クリーンビューティにカテゴライズされるD2Cブランドだ。ポリエチレングリコールやシリコーン、パラベンなど肌への悪影響が予想されるものは一切使わず、植物由来成分だけで構成されたヴィーガンスキンケアを展開する。同時に「グリーンなだけでは十分ではない。結果が伴う化粧品であらねばならない」をモットーに、高機能な処方がされている。

イタリアの自宅からの通信で、モセッティ氏はコスモプロフ・アジアには今回が初参加であるとして、「本来は香港に行くつもりで、アジアでの営業活動を予定していたが、すべて中止になった。コロナ禍でヨーロッパ内でも実質何も活動ができないので、このデジタル・ウィークの機会はなんとしても活かしたかった」と話す。

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Bonjour La Vie創業者の
ソニア・モセッティ氏

ビデオミーティングの際には、実際に商品を使用してみせながら、クリームが肌に伸びる質感などを視覚と言葉で示してくれる。サステナビリティに配慮してシンプルでミニマムなパッケージにもこだわっており、二重構造になっているクリームの容器がいかに簡単に中身を入れ替えやすく、リサイクルもしやすいか、熱心かつ丁寧な説明を受けた。

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2回のミーティングで共通していたのは、完全に1対1のコミュニケーションとなったことで、混雑と騒々しさで落ち着かないこともあるリアルの会場よりもじっくりと、かつパーソナルな会話も含めて制限時間30分のなかでできる点だ。ブランド担当者の商品にかける熱意がよく伝わり、一種の連帯感も生まれる。その場で製品を実際に試し、サンプルを持ち帰ることができないのはネックであるが、ブランド側では、可能な限り後日送付などを行っているという。

集中して中身の濃いミーティングができるこの仕組みはかなり有効ではないかと感じた矢先に、「ミーティングリクエスト殺到のため会期延長」という主催者側のアナウンスがあったのもうなずける。事務局に寄せられた感想も、「あらかじめリストされている企業のことを十分に調べて、話す相手を厳選できたので、7日間で60件近い質の高いバイヤーとの面談ができた」、「従来の見本市参加と比べると、コストがほとんどかからないだけでなく、効率よく新規コンタクト先を見つけることができた」など、おおむね高い評価を集めていた。

オンライン会議のフォーマットに世界中の人々が慣れ親しみ始めた今、ビデオミーティングへの抵抗がかなり下がったのもデジタル・ウィークが成功した要因の1つだ。国をまたいだ移動が未だ難しい状況で、B2Bをつなぐ展示会などの手段が減っているなか、「Match & Meet」のような機能を何らかの形で常設化できれば、以前よりもさらに業界内のビジネス交流が進む可能性は高い。

コスモプロフ・アジアは、2021年にリアルイベントの復活を目指しているが、デジタル版を同時開催することで、規模と情報量に圧倒されがちなオフライン展示会の力強い補完となるのではないだろうか。

次回のコスモプロフ・アジア・デジタル・ウィークのレポートでは、ウェビナーで語られた業界トレンドやトピックスを紹介する。

Text: 甲斐美也子 (Miyako Kai)
Top image: Cosmoprof Asia Digital Week

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