男性も支持、日本産精油とデータで香りのパーソナライズ化に挑むCODE Meee

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パーソナライズ化は、BeautyTechでは主要なキーワードのひとつ。日本でも、資生堂のオプチューンや、スタートアップではシャンプーに特化したMedullaなど登場しているが、香りやサプリメントの領域でもパーソナライゼーションは進化している。今回は、香りのパーソナライゼーションを提供するスタートアップ、株式会社CODE Meeeを紹介する。代表取締役の太田賢司氏に話を聞いた。

CODE Meeeは香りのパーソナライズドサービスだ。1回4,500円で、自分専用のアロマミストが送られてくる。ユーザーはCODE Meeeのサイトから香りの診断を行い、その結果に基づいて朝・昼・晩の時間帯ごとに(すべて同じにすることも可能)、自分に最適化された香りを調香してもらえる。

診断項目は、時間帯ごとに望む香りや色、感情などで、現在では約3000パターンの香りをつくることができる。変数となる項目やアルゴリズムは、もともとフレグランス会社に勤務していた太田賢司氏の経験を活かして設定されている。使用する素材は、天然100%で、希少な日本産の精油(エッセンシャルオイル)をメインに活用している。そのため、アロマセラピーに準じて効果効能イメージもわかりやすい。

出典:CODE Meee

パーソナライズドの診断は一回で終わりではなく、アロマが送られてくるたびにCODE Meeeにフィードバックをすれば都度調整される。いわばユーザーと開発サイドが共同で、そのユーザーに合った香りを開発していくのだ。このサイクルを回せば回すほど、CODE Meeeのレコメンドアルゴリズムはより定量化できるようになり、精緻になっていく。

企業向けの香りマーケティングで、消費者への認知度も高める

同社はIBMと提携しており、ビジネスユーザー向けに「最適な香り提案アルゴリズム」を開発している。この協業により人々がどういった香りを好むのか、という従来は数値化しにくかったデータの「見える化」を推進。BtoC事業で蓄積したデータを、BtoBの香りマーケティングに活かす試みを始めている。

ホテルやアパレルショップなどそれぞれの空間にふさわしいイメージの香りを、感性だけでなくより定量的な数値にも基づいて調合するというものや、アーティストとのコラボレーション事例もある。シンガーソングライターの吉澤嘉代子氏とタイアップした事例では、ライブ時のエントランスやパンフレット、グッズからオリジナルの香りがするようにプロデュース。曲の世界観やファン層にマッチした香りを生成した。また映画「羊と鋼の森」の事例では完成披露試写会において、映画のイメージにあわせたオリジナルの香りを染み込ませたカードを挟んで来場者にプレゼントしたという。

「BtoCがメイン事業ではあるものの、他業種や空間とのコラボレーションには積極的に取り組み、その結果ユーザー認知を広めていきたいと考えている。たとえばオフィスとコラボして働きやすさの演出をしたり、車の香りを個別化して、世の中を最適な香りで演出したりしていきたい」(太田氏)。

CODE Meee代表取締役の太田氏
手にしているのはCODE Meeeのアロマ

日本産の精油の知名度もあげてさらに普及へ

太田氏はもともとBtoB事業の大手フレグランス会社に10年ほど勤務。そのあいだに世間ではさまざまな分野でパーソナライズドアイテムやサービスが登場してきていた。

香りのパーソナライズ化については、専門的なスキルや経験が必要になり未経験者には取り扱いにくい分野だ。香りを事業として経験していた自分ならば、起業して香りのパーソナライゼーションができるのではないかと思い、CODE Meeeを起ちあげたという。クラウドファンディングでテストマーケティングをかねて資金も調達し、事業化した。

起業後に当初の想定と違ったのはユーザー層だという。「香りを楽しむ」という意味では20〜30代の女性が多くなると予想していたが、実際には30代の男性が一番多かった。そこでユーザーヒアリングをしたところ、男性のほうが「自分だけのための香りをつくりたい」と、ある種のジンクスを作り出せる機会としてCODE Meeeを捉えているというのだ。

また香りがもたらす効能イメージをしっかり打ち出しているのも男性に受け入れられている理由ではないか、と太田氏は分析する。一般的に男性は機能的、女性は感情的な要素に反応するといわれるが、これを受けて今後男性用のラインと女性用のラインを分けることも視野に入れているという。

出典:CODE Meee

CODE Meeeでは日本産の精油を採用しているが、その理由は主に2つ。独特の香り立ちがあり海外からも評価が高いこと。加えて、認知度の低さから少量生産であるためにコスト高になり、その状況を打破したかったことだ。CODE Meeeが成長することで、日本産の精油の消費量も増え、それをアピールしていくことでより普及にはずみがつくはずだという太田氏の思いがある。

香りを定量化して暮らしをプロデュース

先述のとおりCODE Meeeは香りの定量化に取り組んでいるが、嗅覚は他の五感に比べて定量化が難しい。たとえば、視覚であれば見えたかどうか、聴覚は聞こえたかどうかを計測し数値化すれば個人による大きな差異はあまり出ない。一方嗅覚では、単に匂いがしたかどうかだけでなく、どのように感じたかという定性的な評価が重要になるため、データ化するにあたっては定量に加えて定性的な評価が必要になる。

定性評価はユーザーのフィードバックを採用しているため、使う言葉も異なり、そこにはズレも生じてくる。そこを補うために、さらなる定量データ、たとえば脈や心拍数といったバイタルデータや脳波を使った香りの体感テストを実施し、香りがその人にとってどんな働きかけをするのかを定量化する工夫をおこたらない。

その結果、「自分では柑橘系の香りがリラックスすると思っていたが、実はラベンダーのほうがバイタルデータからは効果が高かった」といったようなこともわかるようになる。これも香り選びの確かな基準になり、オフィスで集中力を高める、イベントのイメージにあわせて体験してもらいたい香りといった明確な目的のための香りも、こういったデータにもとづいて作り出せるようになるかもしれない。

CODE Meeeがゴールとしてめざすのは「パーソナライズされた香りのトータルコーディネート」(太田氏)だ。現在はアロマミストのみを展開しているが、今後は香水やアロマディフューザーなどアイテム数を増やし横展開も考えているそうで、早ければ2019年から取り組みたいという。

太田氏が語るように、嗅覚は他の五感に比べてまだ定量化も進んでいなければ、香りのプロがいなくては事業化しにくいこともあり、パーソナライズドサービスも少ない。が、CODE Meeeが先陣を切ることで、香りの民主化が大きく進んでいくことだろう。次回はサプリメントのパーソナライゼーションをすすめるドリコスを紹介したい。

Text: 納富隼平(Jumpei Notomi)

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