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フェムテック発展のカギはジェンダード・イノベーション。避妊分野での米国最新事情

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これまでさまざまな産業や医療分野において、成人男性対象に偏っていた研究開発に対し、ジェンダー平等の観点からイノベーションを創出する「ジェンダード・イノベーション(Gendered Innovation)」の重要性が高まっている。日本のフェムテックの動きをとりあげるとともに、フェムテックのなかでも、とくにジェンダード・イノベーションが必要とされる避妊分野でリードする米国の最新動向をあわせて紹介する。

フェムテック系福利厚生サービスが増加、関連団体も活発な日本

日本では、健康経営としてフェムテック系福利厚生サービスを導入する企業が増加し、女性特有の健康課題やリプロダクティブ・ヘルスに関する社会的な関心や理解は高まりつつある。

また、国内ではフェムテックに関するさまざまな協会や団体が立ち上げられている。そのひとつで、企業のフェムテック関連ビジネス開発やプロダクト・サービスの推進を目的に2021年3月に活動をスタートし、2022年7月に一般社団法人化した「Femtech Community Japan」には、フェムテック市場への参入に関心をもつスタートアップ・⼤⼿企業、VC・投資家、⼤学・研究機関、医療・ヘルスケア関係者メディアパートナーなど約500名が参加し、国内外のフェムテック動向に関する勉強会や相談会、ネットワーキングなどが定期的に開催されている。

2022年11月時点で存在するフェムテック関連のおもな協会や団体
(編集部調べ)

一般社団法人Femtech Community Japan 代表理事 皆川朋子氏は、「フェムテックの土壌ができつつある一方で、引き続きの課題として、海外のようにデバイスの開発やバイタルデータを取り扱ったエビデンスベースのフェムテックサービスがまだ少ないのが現状。そのカギとなる重要な視点が、ジェンダード・イノベーションだ」と指摘する。

一般社団法人Femtech Community Japan 代表理事 皆川朋子氏
プロフィール/外資ITコンサルティングファームでCRM領域のプロジェクトに従事後、英国Cambridge大学留学を経て、独立系戦略コンサルティングファームの執行役員、人工知能ベンチャー取締役・事業責任者、独立系VCでスタートアップへの投資・事業成長の支援の経験を有する。2021年より女性ヘルスケアに特化した業界団体、Femtech Community Japanを設立。一般社団法人化に伴い、法人企業向け有料メニューの提供を開始した。詳細はこちら

ジェンダード・イノベーションとは、科学や技術、政策に「性差」の視点や分析を取り込むことで新たな視点や方向性を見出し、イノベーションを創出するアプローチだ。

これまでさまざまな分野の研究開発においては成人男性が基準とされており、性差が認識されることはほとんどなかった。たとえば、自動車のシートベルトは男性の体型を前提に開発されているため、妊婦が事故に遭った場合に胎児の死亡率が高く、医薬品の安全性を確かめる動物実験や臨床試験でも、動物のオスや男性が被験者となるケースが多いという。

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