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osinaが新機能をリリース、ユーザー、ブランド、小売店のつながりを強化し目指すリテール革命

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ユーザーが推し商品の紹介動画を作成しSNS投稿するなどで報酬が受け取れるプラットフォーム「osina(オシナ)」が、新機能を矢継ぎ早にリリースし勢いを増している。出稿ブランド側ではROAS1,000%超えの事例もでてきている。運営するNEL株式会社は2024年11月、合計6億5,000万円のシリーズBラウンドで資金調達も完了し、より店頭の商品を動かすサービスの質を高めていくとする。NEL株式会社 代表取締役社長 西田陸氏にosinaの活用事例を交えて話を聞いた。


ロート製薬の施策ではROAS1,000%超えを実現

osinaは、美容ブランドなど企業側がプラットフォーム上にPRしたい商品をその商品の推しポイントなどの情報とともに掲載すると、それを見たosinaユーザーが小売店やECでその商品を購入し、企業側提供の情報を参考に使用感や特徴を紹介するショート動画(UGC:ユーザー生成コンテンツ)を作成し、自分自身のTikTokやInstagramのリールに投稿する。企業側はosinaを通じてユーザーに商品代金の一部もしくは全額と再生回数に応じた成果報酬を支払うという仕組みのサービスだ。

正式リリースから1年3カ月が経った2024年11月現在、osinaの会員数は4万人以上、osinaを通じて制作されたUGCの総再生回数20億回、総投稿数3万本、総報酬金額2億円を突破した。osina会員のメインユーザーはいわゆるインフルエンサーではなく、フォロワーが数百ほどの一般の消費者だが、osinaでの収益が数千万円を超えるユーザー会員も出現しているという。

2024年春にロート製薬では、ホワイトニングやニキビ、肌荒れ予防の効果やボディケアにも使える大容量を推しポイントとして「肌ラボ®白潤 薬用美白化粧水 大容量ポンプ」のプロモーション施策をosinaで実施。osinaを通じて制作されたUGCはTikTok、Instagramを合わせて440件投稿され、930万回再生された。広告費用対効果(ROAS)としては1,051%を実現したという

愛用品登録などの新機能でブランド、ユーザー双方のメリット強化

osinaの新機能として、特定の小売店やECで購入したレシートの提出(ECの場合はサンクスページのスクリーンショット提出)をすることで、購入価格の10〜20%のキャッシュバックのみを行う機能を実装。osinaユーザー側では投稿をせずとも利用できる機能だ。この仕組みでは、店頭の値崩れを防ぎながら、osinaユーザーにとっては実質割引になることで店頭在庫を動かす。「osinaユーザーの30〜40%が10代で、いわゆるポイ活アプリと比較すると若い層のユーザーが多く、企業側からすると、Z世代というエントリー層を獲得し、そこを入り口に商品と出会い愛用者になってもらうといった使われ方もしている」とNEL株式会社 代表取締役社長 西田陸氏は説明する。

また、2024年11月には、ユーザーのマイページに「愛用品登録機能」を実装した。ユーザー自身が持っているさまざまな商品のパッケージとバーコードを撮影して「商品名」や「愛用度」といった情報とともに登録すると、件数に応じて報酬を付与する。「ユーザーが本当に好きで実際に使っている商品を登録してもらうことで、ユーザー側では自身の持つアイテムの管理に便利な愛用品リストができる。一方、企業側にはこのリストから得られるデータを還元していきたい。これまで、メーカーや小売店は購買データや認知度調査のデータは入手できても、購入後に商品を実際に使っているのかどうかのデータはなく、ブラックボックスだった。それを可視化できるデータが入手できる」(西田氏)という。

NEL株式会社 代表取締役社長 西田陸氏
プロフィール/関西学院大学在学時より約3年間、EC運営に携わる。国内大手、ベンチャー企業、シリコンバレーでのインターンを経て、大学卒業後は広告代理店に入社し、マーケティング戦略及び施策提案、進行・品質管理を担当。2017年12月にNEL株式会社を創業し、2021年よりショート動画に特化した広告代理店事業を開始。広告代理店事業に加えて、2022年からショート動画キャッシュバックサービス「osina」などプロダクト事業を展開

つまり企業は、osinaによりユーザーの性別や年齢、愛用品リストにある商品データやその愛用度などのデータを参照し、最適な消費者にアプローチできるというのだ。「消費者が商品を見つけるところから購入後、さらに愛用しているところまでの一連の流れをosina上で企業側とつなげていくことが我々のミッションだ」(西田氏)

キリン堂やMADSと提携しUGC活用のリテールメディア事業を拡大

さらにNELではリテールメディア事業も拡大させている。関西を中心にドラッグストアチェーンを展開するキリン堂とは包括的な業務提携を締結。osina上で随時キリン堂での購入を条件としたキャッシュバックキャンペーンを行いながら、キリン堂のアプリや店頭のサイネージにおいてosinaで作られたUGCを配信し、キリン堂店舗における購買を促進する取り組みを行っている。キリン堂のほかにも大手ドラッグストアやコンビニエンスストアと同様の提携を協議しているという。

また、日本最大級のリテール向けサイネージ広告を展開するMADSとも連携。MADSが提携しているウエルシア薬局、スギ薬局、クリエイトエス・ディー、イオン九州、マルエツの合計約3,200店舗に設置したデジタルサイネージにosinaで作られたUGCを配信することで購買を促進する共同パッケージをブランド向けに販売する。

加えて2024年11月には、NELは三井住友海上キャピタル、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、オリックス・キャピタル、ベクトルなど国内計7社を引受先とした第三者割当増資により、合計6億5,000万円のシリーズBラウンド資金調達を完了した。西田氏は「osinaの収入をメインとするユーザーや、ブランド側ではマーケティング戦略の中心にosinaを据えるプランも増え、リテール、メーカー、ユーザー、三方に対してNEL の責任の重さが増してきた」と話し、プロダクトや営業人員の強化を中心に投資を行い、よりサービスの質を高めるとする。

今後のosinaの成長戦略を描くなかで、西田氏がベンチマークとしているのは、米国のECアプリの「Flip」だ。Flipは同名の会社が2019年に設立され、その後4〜5年でユニコーン級に成長している

FlipアプリはTikTokのようなUXで、ユーザーは他のユーザーが投稿したショート動画を参考に商品を購入したり、自分でも商品を紹介するショート動画の投稿を行う。Flip上には、自分が投稿した動画から商品が購入された際に報酬が得られたり、他のユーザーの動画を視聴したりシェアしたりした際にクーポンが付与されるなど、SNSとして盛り上がるためのさまざまなインセンティブが存在している。

出典:Flip

FlipはECプラットフォームとして、ファンがファンを呼び込む設計で、ユーザーベネフィットを主体においている。これに対してosinaはより開かれたプラットフォームとしてユーザー、ブランド、小売店という関係者すべてにメリット提供できる場だが、やはり何よりも重視しているのはユーザーにとって魅力的なプラットフォームであるかどうかだという。それが西田氏の考える「osinaを通じてリテール革命を起こしていく」ことにつながるからだ。

「ユーザーに商品を買っていただいて、報酬を得ていただき、そしてまた購買していただく。それが繰り返されることで、愛用者が増え、購買が回っていく。リテールの流動性を高めることはこれまでハードルが高いものだったと思うが、osinaの仕組みでしっかり実現していく」(西田氏)

Text: 大塚愛(Megumi Otsuka)
Top image & photo: NEL株式会社