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LADY TODAYに見る中国の智能美装店(スマート化粧品店)の進化

◆ English version: China’s lead in the rise of smart cosmetics stores
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中国を中心に台湾・香港の化粧品業界では顔認証やビッグデータを利用した最新の什器が普及している。中華圏では「スマート化粧品店(智能美装店)」と呼ばれ、ARメイクアプリを搭載したスマートミラーを店頭に設置するメーカーも増えている。上海で今年4月にオープンした香港資本のLady Todayは年内に全土で500店舗展開をめざすという。

Lady Todayは、中国本土に多数の店舗を展開する化粧品チェーン・唐三彩T3Cの新業態で、ARメイク体験を中心としたスマートメイク(智能美粧)を売りにしている。日本や欧米の人気コスメを数多く取り揃え、店頭ではARスマートミラーで各ブランドの化粧品を試すことができ、専門のフェイシャルエステルームも備えている。テンセントの微信(WeChat)とコラボし、購入履歴などからおすすめの化粧品を顧客に提案し、キャッシュレスで決済が可能だ。

上海市内にオープンしたLady Todayの店舗(出典:唐三彩T3C

今年、5月に上海で開催された中国美容博覧会(5月22~24日)で、Lady Todayのゼネラルマネージャーの黄楚玲氏は、美容メディア「360化粧品網」の取材に対し、店舗のスマート化についてこのように述べている。まず、同店の什器に設置されたディスプレイは、顧客が商品をピックアップした瞬間に、商品紹介や価格、関連情報を表示する。こうすることでビューティーアドバイザー(BA)への依存を大幅に減らすことができるという。BAが顧客の後について商品説明を行う伝統的な販売方法では、心理的に顧客を圧迫するだけでなく、本当にほしい商品を買うことができない場合もあると黄氏は指摘する。

このほか、Lady Todayでは店舗に在庫のない商品や、入手困難な商品について、店内に設置された端末から同店のオンラインショップで購入きる仕組みも提供している。黄氏曰く、9月までに200店舗、今年じゅうに500店舗の開店を目指しているという。また1店舗あたりの月間売上目標は80万元(約1360万円)と中国市場においては強気な数字を掲げている。

Lady Todayの店舗内でARメイクを試す女性(出典:唐三彩T3C

韓国のアモーレパシフィックが展開する人気ブランド、イニスフリーの中国店舗でも、やはり微信(WeChat)と協力し、「メイク」「測定」「推薦」「決済」を行うシステムを導入している。すなわち、ARメイク、皮膚診断、商品の推薦、顔認証決済による支払いを行うというものだ。中国ではすでに「智能美装店」によるシームレスな体験が日常になりつつある。

ARスマートミラーという点では、採用しはじめた美容ブランドや小売店は中国以外にも広がっている。今年3月、AR技術を利用したバーチャルメイク分野で技術力のあるカナダのModiFaceを業界最大手のロレアルが買収。世界中にある傘下ブランドの店舗で、ARスマートミラーの設置が進んでいる。一方、ARメイクアプリYouCam Makeupなどを提供する台湾・パーフェクト社もARスマートミラーを開発しており、日本の阪急百貨店やアメリカのメイシーズ、上海のイヴ・サンローランなどの店舗が導入している。今後は中国のように、ARスマートミラーは個人の購入履歴や嗜好と結びつき、決済までワンストップで行う専用の什器として発展していくと思われる。

中国では美容分野に限らず、無人スーパーや、顔認証で決済まで行われるスーパー、ファストフードなどが出現し、その先進ぶりをみせつけている。中国のマクドナルドはやはり微信(WeChat)とコラボし、スマホと店舗のディスプレイ端末で、レジを経ずに商品だけを受け取ることができる店舗を2016年に出店。中国全土で店舗数を増やしている。このシステムが面白いのはハンバーガーに挟む具材をDIYでカスタマイズ可能なところで、店頭のディスプレイでベーコンやチーズ、パテの大きさを選ぶ。微信のアカウントと紐付いているので、次回の来店時は顔認証で識別され、自分が以前に注文したハンバーガーが表示されるという仕組みだ。

デジタルサイネージ上で注文・決済が完了する中国マクドナルドのスマート店舗(出典:マクドナルド中国

中国がこれだけスマートストアが進歩しているのは、顔認識などのAI技術が世界に先駆けてあらゆる分野で実用化され、高性能なディスプレイも安価に調達できるからだ。加えて個人情報を第三者が利用することへの警戒感も少ない国民性であることから、購入履歴や嗜好なども容易に蓄積・応用できる。また日本や欧米と違う点は、若い女性だけでなく40代以上の女性もこうした最新テクノロジーを利用することへの抵抗が少ないことだ。

日本でもすでにNECが2020年に向けて、小売店や飲食店で利用する独自の顔認証ソリューションを提供すると発表している。ネット上での購入履歴と結びつけ、おすすめ商品を提案し、決済まで済ませる仕組みだ。同社のこうしたソリューションは総務省や経済産業省などが策定した「カメラ画像利活用ガイドブック」に準拠しているので、一定のプライバシー保護を担保しつつ、運用することが可能だという。こうした取り組みが広まれば、日本の百貨店やドラッグストアに設置されるデジタルサイネージや什器も進化していくはずだ。

Text: チーム・ロボティア(Team Roboteer)

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