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CES 2018で明かされた「YouCam」パーフェクト社の新O2Oプラットフォーム構想

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バーチャルメイクアップアプリ「YouCam Makeup」を始め、セルフィー(自撮り)アプリやバーチャルネイルを試せるアプリなど、ARを活用したユニークなアプリを提供するパーフェクト(本社台湾)。同社のアプリは、シリーズ累計5億5,000万ダウンロードを突破しており、ミレニアル世代の女性を中心に世界中で絶大な人気を集める。CES2018最後のレポートは、カンファレンスに登壇したパーフェクトのアリス・チャン(Alice H. Chang) CEOみずからのプレゼンテーション。サービスの現状と、今後リリース予定の新サービス、O2O(Online to Offline)戦略で同社の野望をよみとく。

コスメ好きのミレニアル世代からの圧倒的な支持

パーフェクト社が提供するスマホアプリ「YouCam Makeup」は、AR技術を活用し、画面に映し出された人の顔にまるで本当にメイクを施したかのようにバーチャルメイクができるという仕組みだ。リリース以来、その高い技術力とエンターテインメント性で世界中の人々を魅了し、3年でシリーズ累計5億5,000万ダウンロードを突破した。

ユーザーの90%は女性で、うち81%がミレニアル世代(18〜34歳)という。

アプリを使ったセルフィー(自撮り)は1日に3,000万回、バーチャルメイクを試せる機能では、1週間に2億5,000万商品分の“お試しメイク”が行われている。全体のダウンロード数は、毎月1,500万件ペースで増えているという。

チャンCEOによると、アプリユーザーは非ユーザーに比べ2倍以上化粧品を買う傾向にあり、購入額は非ユーザーに比べ、一人あたり2.7倍にのぼるという。(※比較対象は、YouCam Makeupで取り扱うコスメブランドのみ)。

現在の取扱・提携ブランド数は、エスティ ローダー、ロレアル パリ、ランコムなど120種類以上、1万2,000 SKU 以上あり、これらの商品を使いながらバーチャルメイクができる。

コスメカウンターで導入後、売り上げは4倍に

同社の技術はユーザー向けのスマホアプリに留まらず、「店頭コンサルテーション」として、ブランド向けにコスメカウンターでもバーチャルミラーとして提供されている。使い方はスマホアプリと変わらず、鏡に映し出されたユーザーの顔に、次々と選んだアイテム、カラーのメイクが施されていくというものだ。

実際にメイクするのとは違い画面上で次々と変えられるので、1分間に30以上の色味を試せるなどの利点がある。現在導入されているのは、中国・上海のイヴ・サンローランや、英国・ロンドンのエスティ ローダー、日本では東京・銀座の阪急など。阪急では8ブランド、370 SKUの商品がバーチャルメイクの対象になっている。

同社はコスメカウンターでの体験コンセプトを、「Try before your buy(購入前に(バーチャルで)試して)」としている。チャンCEOによるとこのコンセプトが売り上げにも貢献しており、ロンドンのコスメショップで2ヶ月間行ったABテストでは、バーチャルミラーを導入した店舗の口紅の売り上げが、非導入店舗に比べて4倍になったという。米国では老舗デパート「Macy’s(メイシーズ)」50店舗でも導入されている。

ARやAIを活用した新サービスが続々と登場

今後同社はさまざまな新サービスを提供していく。新サービスは次の5つ(すでに提供済みのものもある)。以下の動画でも説明されている。


(1)AR Live Broadcasting for beauty
ARを活用したライブコマース。視聴者がライブで使われたコスメを気に入ればその場でECサイトへのリンクをたどり購入できる。現在、ライブ出演者オーディションを行っている。

(2)Beauty Live Training
ARを活用したライブのメイクアップトレーニングシステム。世界中の誰でもスマホなどのモバイル端末を利用して、リアルタイムにライブトレーニングセッションを開催したり受講できたりする。トレーナーの実績や、セッションへの参加者を追跡できるトラッキング機能もあり。個人利用だけでなく、化粧品会社の新人教育などでの活用も想定しているという。

(3)AI Makeup Look Transfer
AI技術によるモデルメイクの再現。雑誌の表紙や写真など、モデルや女優などのメイクアップ姿を撮影すると、AIがユーザーの顔を分析し、ユーザーの顔面上に同様のメイクアップを施したように見せるというバーチャルサービス。

(4)Real-Time 360° AR & AI Hair Coloring
ARとAI技術を活かしたバーチャルヘアカラーリングサービス。ディープラーニング(深層学習:十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれるディープニューラルネットワーク、略称DNNを用いた機械学習法)のアルゴリズムを用いて、画面上に映ったユーザーの髪色を次々と変えることができる。

(5)AR+AI Applications for Wearable Tech
ARとAI技術によるバーチャルアクセサリーサービス。あたかもサングラスやヘアバンド、ジュエリーなど身に着けているように見せるバーチャルサービス。

「AR+AI+O2O」=リテールのためのBeautyTech

チャン CEOは講演の最後に、「AR+AI+O2O=BeautyTech for Retail」という、O2O(Online to Offline = オンライン からオフライン)を目指す全体戦略を掲げた。

120以上のコスメブランド、1万2,000 SKU 以上の美容アイテムを、スマホアプリや店頭のバーチャルミラーを通じて擬似的に体験したり、アプリ上でクーポンを発行し来店を促すといった具合に、オフラインとオンラインでの行き来を同社のサービスを通じて、自在にすることが、同社の考える「リテールのためのBeautyTech」だ。

ヘアカラーにアクセサリーと、メイクアップの域を超え始めた同社のサービスだが、確かに実際に染める前にどのようなニュアンスの髪色が似合うか確認できれば、より一層ヘアカラーリング需要は高まるだろう。同様にサングラスやジュエリーも、リアルに試したかのような雰囲気が画面上でつかめれば、Eコマースでの購入意欲は大きく高まる。クーポンサービスも含め、ユーザーにとってひとつのアプリで完結すれば利便性も高い。

今回のカンファレンスでは、同社のプラットフォーム戦略が見えてきた。ここが確立すると、あらゆるサービスをこのプラットフォーム上にのせることができる。たとえば、オーダーメイドコスメ。既製品ではなく、自分の好きな色の組み合わせや調合のカラーメーキャップをバーチャルで試してみて、自分に合うと分かれば、それを注文するという完全カスタマイズアイテムだ。実際、ランコムを始めカスタムメードのファンデーションはすでに登場しており(※参考:米国美容業界に広がりつつある「Only for you」サービス。カスタマイズ需要は化粧品にどんな変革をもたらすか)技術的には十分可能だと考えられる。コスメブランドも、自前でアプリなどを構築せずにすみ、ユーザーもたくさん存在するメリットは大きいはずだ。

一方で今後の課題として、バーチャルメイクアップを施した状態と現実の差をどの程度埋められるか、ということもある。今回の新サービス、「AI Makeup Look Transfer」は、モデルの写真を撮影するとAIがユーザーの顔分析をし、同じメイクをユーザーの顔に施したように見せるバーチャルサービスだが、実際にモデルと同じメイクを自分の顔に完全に再現できるかはユーザーの腕にかかっているとも言える。モデルのようなバーチャルメイクの写真を楽しむだけでなく、再現性を高めるためのチュートリアルを、一人ひとりに合わせてどう提供していくかなども期待したいところだ。

すでにアプリ内では上の写真のように肌分析サービスも提供しており、ユーザーひとりひとりの肌状態やパーツの位置、大きさなどに合わせたメイクアップチュートリアルも提供できるようになれば、これほど強いことはないだろう。いずれにせよ、当面はバーチャルメイクのプラットフォームとしてパーフェクト社のひとり勝ちが続きそうである。

Text&Photo:公文紫都(Shidu Kumon)

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