P&G、資生堂、コティ。2019年下半期デジタル施策総まとめ
◆ English version: P&G, Shiseido, Coty: 2H2019 Corporate Strategies in a 7-min Glance (part 2)
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2019年下半期の化粧品売上上位6社のデジタル施策と事業開発施策を2回に分けて解説する。後編は、6社のうち4~6位企業のP&G、資生堂、コティについて紹介する。P&Gはジレットの復調が寄与し過去最高益、資生堂も最高益で世界ランク5位につけたが、中国事業は予断を許さない。経営不振が続いたコティは世界ランク5位から6位へ転落するも、再生に向け着実な歩みを進めている。
※ランキングは、BeautyPackaging のTOP20 GLOBAL BEAUTY COMPANIESより
前回、グローバルトップ3位の企業の動向で、大型のM&Aが続いていることを紹介したが、グローバル4~6位企業も積極的に投資先を発掘し、大型買収や投資を実現している。
P&Gは、革新的なイノベーションを生み出すP&G Venturesがシンガポールに第2の拠点を作るために追加投資を決定。また、全米工学部ランキングで常にトップレベルのイリノイ大学にスマートラボを開設し、世界の消費を動かすミレニアル・Z世代自身が、消費者インサイトをベースにイノベーションを起こしていくことを可能にした。未来への積極投資をすると同時に、男女の平等や貧困問題などの社会課題のなかでも、これまで比較的話題にされにくかったテーマに光をあてキャンペーンを張ることで、P&Gの活動へ共感した消費者が製品を購入するという好循環を確立している。
資生堂は、2019年は増収増益を実現、コティの業績不振もあり世界ランキング5位に浮上した。その一方で日本でのインバウンド売上げを含む中国関連事業が全体の3割近くを占めていることから、新型コロナウィルスによる影響がいまだ不透明で、2020年にどのようなインパクトを与えるのかはまだ見えていない。
ポートフォリオ強化としては、米国市場とクリーン市場を見据えて8億4,500万ドル(約895億円)でドランクエレファントの買収を実現した。2010年に約1,800億円で買収したベアエッセンシャルが北米市場で不振が続いており、ドランクエレファントが投資以上のブースターになるのか市場では慎重に見守る向きが多いようだ。
業績不振で、抜本的な再生計画を提示したコティは、そのプランに従って粛々とブランドの集中と取捨選択を行った。2019年11月には、カイリー・ジェンナー氏が創業したカイリー・コスメティクスの買収に踏み切った。ジェネレーションZに大きな影響力を持つジェンナー氏がコティ再生の希望の星となるのか市場は注意深く見守っている。好調なラグジュアリーとプロフェッショナル事業とは対照的に、コンシューマー事業の不振は続く。リストラのほか、2018年に問題が明らかになったサプライチェーンや購買部門を強化しながら、オペレーション効率を徹底的に高め、再生計画を一歩一歩進めている。
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