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Kylie Cosmeticsにみる超セレブのSNSブランディングは、今のところ一番正しい

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21歳にして年間6000万ドルを稼ぐカイリー・ジェンナー。自身で立ち上げたブランドKylie Cosmeticsの企業評価額は8億ドルともいわれ、米フォーブス誌からは「米国において自力で富豪になった女性起業家ナンバー1」と称せられた。その輝かしい成功は、ソーシャルメディアに新しいマーケティングのルールを持ち込んだことにはじまる。

ジェネレーションZを代表する米国のセレブリティ、カイリー・ジェンナー。人気リアリティ番組『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』に出演するカーダシアン=ジェンナー一家の末っ子として知られ、義姉はKKW Beautyを所有するキム・カーダシアン、姉はスーパーモデルのケンダル・ジェンナー、そして父のブルース・ジェンナーはオリンピック金メダル保持者で、近年、性転換手術を受け、女性名のケイトリンに改名したことでも世間をにぎわせた。

10歳の時からリアリティ番組という舞台で、人生の大半を世間にさらしてきたことは、カイリー・ジェンナーが「ソーシャルメディアの女王」と呼ばれるに至るのと決して無関係ではない。彼女は常に見られている自分を意識し、見せたい自分の表現に磨きをかけた。それと同時に、「有名であること」を利益に結びつける方法を身近で目撃してきたカイリー・ジェンナーは、俳優業などでの実際の成果がなくても、有名人として存在していればそれだけで、タダで広告になることを肌で知っている。

わずか2年でブランドは急成長

カイリー・ジェンナーが2年前に立ち上げたコスメブランド Kylie Cosmetics のローンチを飾る最初の商品、29ドル(約3,200円)のリップキットは販売開始30秒で完売。以来、総売上額は6億3,000万ドル(約690億円)、8億ドル(約880億円)の企業価値を持つと見積られている。歌手のリアーナがLVMH傘下のKendoと提携しコスメライン「フェンティ・ビューティ」を発表したように、セレブが大手化粧品会社のバックアップを受けることは多々あるが、カイリー・ジェンナーは自社株100%を自身で保有している。

リキッドリップスティックとペンシルリップライナーが
セットになったリップキット

この驚異的な企業において、カイリー・ジェンナーの果たす役割は「新しい流行をクリエイトする」ことに尽きる。シグネチャーは本来の唇のラインをはみ出すほどに描いてぷっくりとボリューミーな見ためがつくれる、マットカラーのリップアイテム。広告塔としてのメイクアップモデルはカイリー・ジェンナー自身が務める。

Kylie Cosmeticsの実際の商品の製造や梱包はSeed Beautyに委託、販売や配送はECプラットフォームのShopifyが担う。財務やPRなど実質的な経営は一家を牛耳る女帝である母のクリス・ジェンナーが、10%のマネージング料で引き受ける。そして、「ファンや消費者と直接つながるツールとして、SNSは最大の武器」と語るカイリー・ジェンナーは、Instagram やTwitter、Snapchatに1日に何度もさまざまに趣向を変えたセルフィーを投稿するのである。もちろん、どの商品を使っているのかのキャプションと、商品名のハッシュタグつきである。誰に向けての発信か? Instagramだけでも1億1,300万人、Twitterには2,500万人いる全世界の彼女のフォロワーに対してだ。

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