エスティ ローダーNIVが中国新興ブランド「CODEMINT」に出資、ブランド育成の成功セオリー
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページ|メルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o
世界各地で新興ブランドへの投資に積極的なエスティ ローダーが傘下のファンドNIVを通じて、中国国内の有名インフルエンサーが興したクリーンビューティブランド「CODEMINT(コードミント、紈素之肤)」への出資を決めた。NIVの新興ブランドへの投資方針と、初の中国ブランドへの投資先となったコードミントについて紹介する。
エスティ ローダーのM&A部門から生まれたNIV
2023年9月、エスティ ローダーが傘下のファンド「New Incubation Ventures(ニュー・インキュベーション・ベンチャーズ、以下NIV)」を通じて、中国のクリーンビューティブランド「CODEMINT(コードミント、紈素之肤)」に出資したことが明らかになった。エスティ ローダーが中国ブランドに投資するのはこれが初めてだ。
NIVは、エスティ ローダーがアーリーステージの有望な美容ブランドを発掘し投資することを目的に、2021年に設立したインキュベーションも行うファンドだ。NIVでは、それまでエスティ ローダーのM&A部門を6年間率いていたシャナ・ランダヴァ(Shana Randhava)氏がその知見と経験を生かしてシニア・バイス・プレジデントに就任している。
ランダヴァ氏は、当時まだインディーズブランドだった「The Ordinary(ジ オーディナリー)」で知られるカナダ企業DECIEM(デシエム)への投資を2015年に、また、韓国「Dr. Jart+(ドクタージャルト)」の運営企業Have & Beに対しての投資を2017年に行っている。マイノリティ出資からスタートし、成長を見極めながら最終的に過半数のポジションに移行して傘下におさめる投資手法だ。この戦略は資本効率が高いだけでなく、買収に伴うリスクを軽減し、ブランドの持続的かつ長期的な成長を可能にしてきた。ちなみに、DECIEMでは2021年に出資比率を約29%から約76%に引き上げ、3年後に残りの株式をすべて購入することで同意している。
NIVの最大の目的は、新興の美容ブランドの創業者とアーリーステージでパートナーシップを築くことである。アーリーステージとは、創業者の最初のアイディア段階から売上高2,000万ドル(約30億円)規模を指す。ブランドのライフサイクルの早い段階からサポートに入ることで、美容業界のほかのベンチャーキャピタルやファンドとの差別化も図っている。
NIVの実績としては、2019年にローンチした「男性性を再構築する」メンズメイクとグルーミングブランド「Faculty(ファカルティ、現在Webサイトは停止中)」に300万ドル(約4億5,000万円)を出資、英国発のナチュラルスキンケア・フレグランスブランド「Haeckels(ヘッケルズ)」にも出資している。Haeckelsは2012年に英国のケント州の海辺の街マーゲイトで設立。全ての製品のベースにはマーゲイトの海岸で手摘みされた海藻を使用し、あわせて天然資源の廃棄物活用や、リサイクル可能または堆肥化可能な包装ソリューションを採用することで廃棄問題に取り組む、サステナブルなコンセプトの企業だ。
ここから先は
バックナンバー読み放題プラン
BeautyTech.jpは最新1カ月の記事は無料、それ以前の記事は全文閲覧が有料です。「バックナンバー読み放題プラン」をご利用ください。
【法人用】バックナンバー読み放題プラン
「バックナンバー読み放題プラン」の法人・企業様向けプランです。社内限定で転用・共有していただけます。