エスティ ローダーが韓国Dr.Jart+の親会社を買収、サイエンスと芸術性を評価
◆ English version: Estée Lauder buys out Korean brand Dr. Jart+’s parent company, praising innovation and brand concept
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11月18日、韓国の美容業界を揺るがす大きなニュースが報じられた。韓国スキンケアブランドDr.Jart+(ドクタージャルト)を保有する化粧品メーカーHave&beを、エスティ ローダーが買収したというものだ。エスティ ローダーがアジアのブランドを買収するのは今回が初めてとなるだけに、買収に至った背景や今後について注目が集まっている。
出典: Dr.Jart+ 公式サイトより
エスティ ローダーは、2015年にHave&beの株式の3分の1を取得しており、今回、残りの3分の2も完全に取得して、年末をめどに譲渡を完了する予定とされる。買収金額は明らかにされていないものの、Have&beの昨年の売上げが4,691億ウォン(約435億円)、純利益が916億ウォン(約84億円)であったことなどの状況を考えると、最低でも1兆8,000億ウォン(1,667億円)程度の額が妥当ではないかというのが、おおかたの業界関係者たちの予測である。
Have&be は、イ・ジンウク現代表らが2004年12月に設立した企業だ。翌年には、皮膚科医18人の研究成果と協力をベースにした、ダーマコスメティクスブランドであるDr.Jart+をローンチ。最初の商品となる「Dr.Jart+ BBクリーム」が大ヒットし、その後、順調な成長を遂げてきた。なお、ダーマコスメティクス(Dermocosmetics)は、「ダーマトロジー」(Dermatology=皮膚科学)とコスメティクスを掛け合わせた新語である。日本で言うところのドクターズコスメ、あるいはグローバルではコスメシューティカルといわれる分野に近い。
エスティ ローダーが評価した独自性のあるコンセプト
エスティ ローダー側が高く評価していることのひとつに、ブランドコンセプトがある。Dr.Jart+というブランド名には、「Doctor Joins Art」、つまり「医師が芸術に参加する」という意味が込められている。そして、皮膚を研究する専門家「Specialists」、新しいものを追求する革新者「Innovators」、世界を駆け巡る冒険家「Adventurers」の融合という哲学をベースに、ユーザーの皮膚だけではなく、内面の深いところまで癒していくというブランドアイデンティティの確立に、ローンチ当初から努めてきた。
創業者のイ・ジンウク氏は、もともと大学で建築工学を専攻。卒業後、コスメとはまったく縁のない建築管理会社で社員として働いていた。そんなイ氏が、Have&beの起業を考えるきっかけとなったのは、自身の肌トラブルを治療するため病院に出向いたある日のことだったという。女性たちが病院に陳列されたBBクリームを見て熱狂している姿を見かけたのだ。BBクリームはドイツで開発された機能性化粧品だが、当時は皮膚科でのみ購入できる高価なアイテムだった。
イ氏は、親戚に皮膚科医がいたこともあり、BBクリームの持つ大きな可能性に気がつき、あわせて、製品力こそ競争力と信じて研究や調査を重ねた。そして、2004年に起業。当時の資本金はわずか5,000万ウォン(約500万円)だったという。
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