見出し画像

2024年末発表の韓国ベストコスメ、三冠は16年前にローンチのエストラ「アトバリア365クリーム」

◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

韓国国内では、大手クチコミアプリやリテーラーにより、2024年に消費者から支持・人気を集めたビューティ製品を表彰するアワードが相次いで開催された。それらの受賞企業をみると、新旧そして大手・新興ブランドが混在して成長する韓国市場トレンドを象徴する結果となった。ファヘ(Hwahae)グロウピック(GLOW PICK)オリーブヤング(OLIVE YOUNG)クーパン(COUPANG)が主催した各アワード結果を紹介する。


韓国レビューアプリ大手、ファヘの総合1位はダーマコスメ「ウェラージュ」

韓国では年末年始にかけて、ビューティ領域における2024年の人気・トレンド商品を表彰するアワードが各社によって開催された。今回取り上げるアワードでは、ファヘとグロウピックはユーザーのレビューと評価点などを中心とし、オリーブヤングやクーパンは販売に関するデータをベースに商品を評価した。

まず注目したいのが、10回目を迎える韓国最大のクチコミアプリ ファヘの「ファヘ ビューティアワード2024」だ。同アワードは、約1,100万人のユーザーのレビューや評価点をベースに総合・部門別に各商品を評価する形式を取っている。

ファヘ・ビューティアワード2024
出典:ファへ公式サイト

まず2024年の年間総合ランキング結果は以下のようになった。

1位ウェラージュ(WELLAGE)
「リアルヒアルロニックブルーアンプル 100」

2位ドクタージー(Dr.G)
「レッドブレミッシュクリアスージングクリーム」

3位スキン1004(Skin1004)
「マダガスカル センテラ ライト クレンジングオイル」

4位エストラ(AESTURA)
「アトバリア365クリーム」

5位スイスキン(suiskin)
「若芽ディープクレンジングフォーム」

1位を獲得したウェラージュは、エネルギー関連や小売事業に強みを持つ財閥企業GSグループ系列のメディカルエステ専門企業ヒューゲル(HUGEL)が運営するダーマコスメティックブランドだ。ブランド側は自社商品について「皮膚クリニックの知見・ノウハウを活用した有効成分を高濃縮する商品の開発に秀でている」と説明している。ヒアルロン酸を配合した美容液である「リアルヒアルロニックブルーアンプル 100」は、2019年頃から人気のロングセラー商品だ。

ウェラージュ「リアルヒアルロニックブルーアンプル 100」
出典:ウェラージェ公式サイト

また、2024年下半期の各部門ランキング1位には以下の商品がランクインした。

ベスト新商品部門
ドクタートゥエンティプロジェクト(Dr.twenty project)
「ナイントナー」

ヴィーガン部門ドットソリューション(.solution)
「Cソリューション・ヒアルロンシカス―ジングバブルトナー」

インナービューティ部門プラント(PLANT)
「植物性コラーゲンビオチンゼリー」

ヴィーガン部門1位のドットソリューションは、化粧品・日用品メーカー大手である愛敬産業が運営するブランドで、化粧品小売として徐々にシェアを拡大している牙城ダイソー(韓国ダイソー)とコラボレーションした商品を展開していることでも話題を集めている。

また、2024年から新設された効能/効果部門には、1位にビープレーン(Beplain)「シカテロルトナー」、2位にオングリディエンツ(Ongredients)「スキンバリアカーミングローション」、3位にピュリトーソウル(Purito Seoul)の「ワンダーリリーフ センテラ セラム アンセンティド」がそれぞれランクインした。

トレンド別にランキングしたグロウピック

レビューアプリのグロウピックも、毎年恒例となっている「2024グロウピック アワード」を開催。同アワードでは、ユーザーのレビューおよび投票で選ばれた商品を詳細に説明するとともに、独自の視点で2024年のトレンドを振り返っている。

2024グロウピック アワード
出典:グロウピック公式Instagramアカウント

グロウピックは、2024年の韓国市場動向として、ポットタイプのリップ&チークがクチコミやSNSを中心に人気を集めたと解説している。加えて、MZ(ミレニアルとZ)世代を中心に、流行よりも自身の美を追求する“追求美”がトレンドとなり、肌トーンを調整できるトーンチェンジャー製品が数多く登場したとする。あわせて、ファッションブランドがビューティブランドを立ち上げる傾向が強いことにも着目。化粧品をひとつのオーナメント(装飾品)としてバッグや衣服にぶら下げられるアイテムの増加にも言及している。

また、スキンケアカテゴリーでは無理に若さを追求するのではなく自分の年齢に合ったケアを行うスローエイジングのトレンドが継続したとし、消費者のニーズに合わせたスピキュール(海綿から精製された自然由来の微細針:マイクロニードル)、細胞を修復する力があるPDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)や、ペプチドなどの成分を前面に押し出した商品が注目されたとする。そのほか、サプリメントなどのインナービューティー関連商品もトレンドになったと総評している。

グロウピックは前述したトレンドを10の具体的なカテゴリーに細分化し、「TREND by GLOWPICK」という部門を設け商品を表彰している。受賞した商品リストは以下の通りだ。

スピキュールVTコスメティクス
「リードルショット100」

PDRNアヌア(ANUA)
「ヒアルロン酸カプセル100セラム」

ペプチドコスアールエックス(COSRX)
「ザ・6ペプチドスキンブースターセラム」

パッククレンザーハンユル(HANYUL)
「新芽のヨモギクレンジングパックフォーム」

トーンチェンジャーVDL
「トーン ステイン カラー コレクティング プライマー」

ブラー(ぼかし)ポットハートパーセント(Heart Percent)
「ドットオンムード・カスタムリップアンドチーク」

オーナメントビューティコーラルヘイズ(Coralhaze)
「グロウロックゼリーティント」

フィックスヘアマスカラナルカ(narka)
「コアリビルド ハイプフィット ヘアマスカラ」

塗るコラーゲンCKD
「レチノコラーゲン 低分子300 毛穴 弾力 マスク」

食べるレチノールバイタルビューティー(VITALBEAUTIE)
「スーパーレチノールC」

オリーブヤングやクーパンもアワードを開催

韓国国内の化粧品小売最大手オリーブヤングも独自のアワードを開催した。同社は1億6,000万件の購買データをベースにアイテム別に支持を集めた商品をピックアップしている。

2024オリーブヤングアワード
出典:オリーブヤング公式サイト

オリーブヤングが各アイテムカテゴリーで1位に選出した商品は以下の通りだ。

スキンケアラウンドラボ(ROUND LAB)
「1025独島トナー」

エッセンスグーダル(goodal)
「グリーンタンジェリン ビタC ダークスポットケアセラム」

クリーム:エストラ
「アトバリア365クリーム」

マスクパックトリデン(Torriden)
「ダイブイン低分子ヒアルロン酸マスク」

パッドメディヒール(MEDIHEAL)
「マデカソサイド ブレミッシュパッド」

クレンジング魔女工場(manyo)
「ピュアクレンジングオイル」

サンケア:ラウンドラボ
「シラカバ水分日焼け止め」

アイメイクアップクリオ(CLIO)
「キル ラッシュ スーパープルーフ マスカラ」

アイシャドウウェイクメイク(WAKEMAKE)
「ソフトブラーリングアイパレッド04ラベンダーブラーリング」

リップメイクアップロムアンド(rom&nd)
「ザジューシーラスティングティント 03 ベアーグレープ」

ベースメイクザセム(THE SAEM)
「カバーパーフェクション トリプル ポット コンシーラー」

コントゥアリングトゥークールフォースクール(too cool for school)
「アートクラスバイロダンシェーディングマスター 01クラシック」

クッションジョンセンムル(JUNGSAEMMOOL)
「エッセンシャル スキン ヌーダー クッション」

韓国EC最大手のクーパンも、化粧品関連のアワード「クーパン・ビューティアワード2024」を開催している。「ロケット配送」という自社サービスをもとに販売量・販売額を分析し支持を集めた商品を割り出して表彰した。カテゴリー別には合計175商品をピックアップしたが、2024年のベスト商品としては以下の3商品を最終的に選出している。

クーパン・ビューティアワード2024
出典:クーパン公式サイト

ダルバ(d’Alba)「スプリームインテンシブセラム」
エストラ「アトバリア365クリーム」
マージー(MERZY)「ザ ファースト ブロウペンシル」

ファヘ、オリーブヤング、クーパンのアワードをすべて受賞し“3冠商品”となったエストラの「アトバリア365クリーム」は、損傷した皮膚機能を強化するとうたう高保湿クリームだ。同ブランドはアモーレパシフィックが2008年にローンチしたダーマビューティブランドである。

エストラ「アトバリア365クリーム」
出典:エストラ公式サイト

すでに日本、ベトナム、タイに進出しているエストラは、2025年1月にセフォラと独占契約を締結。同2月から米国市場に本格的に進出を開始すると発表している。

韓国では2024年は「新興ブランドの年」とメディアによって報じられてきた。大手メーカーの不調に比べ、力のある新興ブランドが続々と登場しシェアを拡大する傾向が顕著になってきたからだ。それを象徴するように、各サービスのアワード受賞商品は、大手・中堅・新興ブランドが入り乱れる形となった。一方で、各アワードを総合した結果においては、業界最大手であるアモーレパシフィックが擁するエストラの商品が底力を示す形となった。

ブランドの多様化が加速するなか、2025年の韓国市場ではさらに激しい競争が繰り広げられることが予想される。

Text: 河鐘基(Jonggi HA)
Top image: エストラ公式サイト