人への回帰

シリコンバレーの美容スタートアップ覇者たちが見すえる「人」への回帰

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前回、サンフランシスコで開催されたBeautyTech SF Meet Upの概要と豪華な登壇者たちを紹介した。「リテール(小売)の破壊的革新と新しいビジネスモデル」のテーマで繰り広げられたディスカッションの内容について2回に分けて触れていきたい。キーワードは、「セルフケア」「ナチュラル」「人どうしのつながり」だ。

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今回のBeautyTech SF Meet Upでは、スタートアップといってもすでに順調に収益をあげていたり、資金調達に成功している顔ぶれが集まった。その中でひとりだけ、大手企業側のパネリストがいた。セフォラでクリエイティブディレクターをつとめるホリー・シーゲル(Holly Siegel)氏だ。最初のパネルは、女性誌編集者の経験もある彼女が、いまの美容業界のトレンドについて口火をきった。

体験をともなう「セルフケア」にお金も時間もかける

「あらゆるステージのブランドやメーカーと長年仕事をしてきた私が今年のトレンドを少し上位概念で紹介すると、それはセルフケア(自己療法や、自分で自分の美容状態を管理すること)だ。従来は、セルフケアというのは、いままではヒッピーぽいというかニッチなマーケットだったが、最近はごく一般的な人々がセルフケアに取り組み初めている」。

そう言って引用したのが、New York Timesのライター、モリー・ヤング(Molly young)氏の言葉だ。Goop(女優のグゥイネス・パルトロウが運営するハイクラス向けのライフスタイルマガジン)や 、Moon Juice(100%オーガニックのコールドプレスジュースなどを販売するビューティー&ウェルネス企業)について語ったときのものだという。

「彼女たちが売っているのは、今日1日の中の、些細な気持ちの変化から、食べ物を選ぶシーン、美容やエクササイズの習慣、バスタイムや睡眠時間といった日常のできごとに何時間もかけることを許容する、そういった時間は価値のあるものだと認める概念そのものなのです」。

つまり、Moon Juiceでいえばただの高いジュースを売っているのではなく、消費者が無我夢中になれたり自分に没頭できるきっかけと体験を提供しているということで、それは我々美容業界がしばらく忘れていたことであり、そしてもっとも大切なことだと思った、とシーゲル氏はいう。

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