コルゲート、P&G、資生堂。2021年上半期デジタル施策総まとめ
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コルゲート、P&G、資生堂。2021年上半期デジタル施策総まとめ

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2021年上半期の化粧品売上上位6社のデジタル施策と事業開発施策を2回に分けて解説する。1〜3位企業の前編に続き、後編は4~6位企業のコルゲート・パルモリーブ、P&G、資生堂について紹介する。
※ランキングはBeautyPackagingのTOP20 GLOBAL BEAUTY COMPANIESより

4〜6位企業はデジタル施策とブランド力を高める努力が奏功

前回のグローバルトップ1〜3位の企業動向では、それぞれが断続的に続く世界中でのロックダウンによるリアル店舗の休業やトラベルリテールへの影響をものともせず、成長基調に戻りつつあることを紹介した。

今回は、グローバル4~6位企業の動向をみていく。

4位のコルゲート・パルモリーブ、5位のP&Gに共通しているのが目的主導型ブランドとして、環境問題、差別問題、格差問題などの社会的課題に対してアプローチしていく姿勢を明確に、ブランド力を高める工夫を続けている点だ。一方、資生堂は、2020年はパンデミック対応の初動にやや出遅れがあったものの、デジタル施策を次々とうち、2021年は日本以外の地域すべてで成長を遂げた。マスク生活が当たり前となるなか、スキンケア商品に強みを持つ資生堂のプレミアム製品は大きく伸びている。

2021年上半期の株価においては、3社とも乱高下をみせた。結果として、コルゲート・パルモリーブは5.0%減、P&Gは3.0%減、資生堂は14.2%増となり、ロレアルの20.9%やエスティ ローダーの19.3%という数字に比べると、見劣りがするのは否めない。資生堂は2021年上半期の決算発表が8月5日にあったため、7月に入って低迷していた株価は伸びに転じている。

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コルゲート・パルモリーブ、P&G、
資生堂の株価の動き
出典:Yahoo! Finance

4位: コルゲート・パルモリーブ
「プレミアムイノベーション」を推進し、困難な時期を乗り越える姿勢

図1

コルゲート・パルモリーブ(以下CP)の2021年第2四半期(2021年4月~6月)の結果は、売上が対前年比9.5%増の42億6,000万ドル(約4,678億6,000万円)だった。オーラル・パーソナル&ホームケアの同四半期の売上高は、34億6,600万ドル(約3,804億円)、1Hの売上高は70億2,400万ドル(約7,709億円)だった。

エリア別でみると、2Qでは、南米、ヨーロッパ、アフリカが対前年比2桁成長で、上半期でみると、ヨーロッパ、アジアパシフィック、アフリカが2桁成長だった。利益率は、2Qが8億7,500万ドル(約960億円)で、上半期が18億700万ドル(約1,984億6,000万円)だった。利益率では、2Qも上半期でも北米が大きく足を引っ張る形となった(それぞれ21.3%減、21.5%減)。これは、原材料と梱包材費用、物流費の増加と、広告投資の増加によるものとCPは発表している。一方、アジアパシフィックが2Qは13.6%増、上半期は25.8%増、南米がそれぞれ10.9%増、10.0%増と、利益率を大きく伸ばしている。

CPは、原材料とロジスティクス費用がかさむなか、ビジネスにおけるすべての分野でデジタルを活用。よりプレミアムなものを求めはじめた顧客の動きに呼応し、高付加価値商品を提供していく「プレミアムイノベーション」を推進することで価格アップを実現し、困難な時期を乗り越えようとしている。具体的には、リアルタイムで消費者からのフィードバックを分析し、製品のアップグレードを迅速に行うなどの施策をとっている。

他社と同じようにCPもマイノリティへの支援を表明しており、2021年上半期では、ハーバード大歯科の博士課程のマイノリティ学生を支援する奨学金基金を設立したり、第2回Juneteenth(ジューンティーンス)イベントを開催し、黒人文化や歴史を共有する活動などを行っている。

ジューンティーンスとは、1865年6月19日に米・テキサス州で発令された奴隷解放宣言にちなみ、アフリカ系米国人の間で155年以上祝われてきた記念日だ。2020年に白人警察官によって殺害されたジョージ・フロイト氏の事件を機に全米で活発化したBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動が後押しとなり、Twitter、ナイキ、ハーバード、NFLなどの米国企業や教育機関が同日を有給の休日とし、2021年には米国の祝日として制定された。

また、デジタルウエルビーイングの取り組みとして、いじめに対するオンライン上の啓発活動を非営利団体のThe Cybersmile Foundationと協業で行っており、2021年に購入されたすべてのCP製品1個に対して1ドルを同団体に寄付することを約束している

CPとCybersmile Foundationが実施した調査では、Z世代の73%がオンラインでの虐待、いじめ、いやがらせの標的にされた人を見たことがあるとしており、ネットいじめは自信をもって自己表現をするうえでの大きな障害となっていることが判明している。CPはインクルージョンと自己表現の理想にもとづいて構築されているブランドという自負があり、ソーシャルメディアでのいじめに関する意識を高め、この現実を変えることを目指す一連の活動で、Z世代から好意的に受け止められているようだ。

CPのデジタルでの主な動き

■ 2021年6月19日 Stop Cyber Bulling Dayに、CPがThe Cybersmile Foundationと協業し、オンラインでのいじめに対する啓発活動を行うと発表

CPの事業開発での主な動き

■ 2021年3月30日 コルゲート・パルモリーブとフィリップスがラテンアメリカの電動歯ブラシで協業を発表

CPのその他の動き

■ 2021年1月13日 ハーバード大学歯学部のマイノリティ歯科学生を対象に、歯科医学博士(DMD)学位取得を支援するための奨学金を設立

■ 2021年3月9日 リサイクル可能なプラスチックチューブを開発し、この技術をサードパーティと共有したことで、Fast Companyの2021年Most Innovative Companies(最も革新的な企業)に選ばれた

■ 2021年3月11日 元ジェネラル・ミルズのシニア・バイスプレジデントで渉外を担当していたキンバリー・A・ネルソン氏を取締役に選出

■ 2021年4月13日 100%再生可能電力への取り組みと、二酸化炭素排出量削減の取り組みなどが認められて、11年連続でENERGY STAR パートナー・オブ・ザ・イヤーを受賞

■ 2021年4月21日 Morning ConsultのMost Trusted Brands 2021の15位にランクイン

■ 2021年5月6日 LATINAStyle Magazineの50 Best Companies for Latinas to Work in the US に選出

■ 2021年5月26日 DiversityIncのTop 50 Companies for Diversityに選出

■ 2021年6月3日 持続可能性と社会的影響レポートで、気候変動との戦いや製造廃棄物削減の成果を発表した。2020年に発売された新製品の99%で持続可能性プロファイルが改善されている

■ 2021年6月12日 Best Places to Work for LGBTQ Equality 2021で100点満点を取得、5年連続で取り組みが評価されている

■ 2021年6月14日 ガートナーのサプライチェーンTOP25に3年連続でランクインし、今年は2位を獲得

■ 2021年6月29日 3BL Mediaの100 Best Corporate Citizens of 2021に選出 

5位: プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)
サステナビリティでブランド価値を向上させ、コスト増にも対応

図1

2021年7月30日に発表されたP&Gの2021年事業年度(2020年7月~2021年6月)は、売上高が対前年比7%増の761億ドル(約8兆3,492億7000万円)だった。外国為替、買収、売却の影響を除く本源的成長は6%増。ボリュームが3%増加した内訳は、プライスミックス(価格設定)による影響が2%、価格上昇が1%となっている。

ECの売上も35%増加した。CEOのデビッド・テイラー(David S. Taylor)氏は、2021年は「最も力強い年の1つ」として、「パンデミックの前に持続的に強い成長を実現してきた私たちは、その立場をさらに強化した」と語った。決算発表では、イノベーション、ブランド構築、デジタル化、サプライチェーンの変革、ESGの取り組みにおいて「過去18カ月間、Covid-19の危機を乗り越え、その過程でビジネスをさらに強化してきた。2020年の4月の決算発表では、Covid-19が突きつけた挑戦に対抗し前進するのだ、戻るのではない」と述べた。さらに「私たちは消費者にサービスを提供するためにハイリスクハイリターンな選択をしていくといったが、それは今まさに私たちのチームが行っていることだ」と強調した。

競合のユニリーバと同様、梱包、材料、輸送コストの増加によって、商品コストの上昇が2022年度の収益に打撃を与える可能性も示唆した。P&Gは値上げを実施することも視野に入れ、自社製品の価値に対する消費者の認識を高め、新規あるいはアップグレードされた商品を導入することにより、市場シェアを維持することを計画している。

2021年1月~3月期(第3四半期)の業績は、売上5%増の181億ドル(約1兆9,900億円)だった。

ビューティ事業は、売上が8%増の33億1,600万ドル(約3,638億1,000万円)、利益は32%増の5億7,700万ドル(約635億円)。ビューティ事業の本源的売上高(企業買収や合併などによらない既存事業の直接的な収益、オーガニックセールスの意味)は、前年と比べ7%増加。スキン&パーソナルケア部門の本源的売上高は、1桁台後半の成長を達成した。

背景には、プレミアムブランドである「SK-Ⅱ」の成長により製品ポートフォリオが有利になっていること、北米のスキンケアでのプレミアムな製品革新、ならびに価格改定を要因としている。ヘアケア部門の本源的売上高は、製品のラインナップを刷新し拡販努力が奏功し、かつ市場復活の早かった中国地域に牽引されて、1桁台後半の増加となった。また、通貨価値の下落を理由とした価格改定も、ヘアケア部門の売上の成長に寄与した。

小型家電を含むグルーミング事業は、売上が4%増の14億3,800万ドル(約1,580億円)、利益が1%増の2億5,600万ドル(約281億8,000万円)だった。グルーミング事業セグメントの本源的売上高は、前年と比べ4%増加した。電化製品部門の本源的売上高は、家庭での電気カミソリやスタイリング機器への需要の高まり、製品革新と価格改定により、20%を超える増加となった。カミソリ・替刃事業の本源的売上高は、通貨価値の下落を理由とした価格改定に加え、女性用カミソリの販売が増加したものの、パンデミックでひげそりの頻度が減少したことにより男性用カミソリの消費が減少したために相殺され、前年同期と同水準だった。

2021年4月~6月期(第4四半期)におけるビューティ事業は、35億1,000万ドル(約3,864億6,000万円)で、対前年比11%増、利益は、7億200万ドル(約773億円)で、対前年比23%増。本源的収益成長は6%で、主にイノベーション、価格の上昇に加え、時期や地域でばらつきがあるもののSK-IIブランドの総体的な成長が要因だった。ただし、在庫問題による北米での販売量の減少により、利益の一部が相殺された。

グルーミングは、対前年比10%増の16億6,000万ドル(約1,827億7,000万円)、利益は3億6,400万ドル(約401億円)で、対前年比17%増の結果となっている。本源的収益成長は、対前年比で6%増加。シェービングケアの本源的売上高は、パンデミック関連の消費の減少により悪影響を受けた基準期間と比較して、製品革新、価格設定の変更、および販売量の増加により1桁台半ばで増加。また、家電製品の本源的売上高は、プレミアム製品の販売によるものと、価格増加に対して基準期間におけるパンデミック関連の消費の増加による数量の減少により部分的に相殺され、1桁台半ばの増加となった。

テイラーCEOは、企業のサステナビリティへの姿勢が消費者にとって何を買うかの意思決定要因になりつつあり、これがP&Gがサステナブル経営に積極的に取り組むようになった大きな理由だとしている。たとえば、東京オリンピック2020において、P&Gの持つ知見をもとにした再生プラスチックが表彰台に使われたことをPRするとともに、製品においても、ジレットが再生プラスチックを使用していることやアリエールが低温での洗浄でも機能する点にもハイライトをあて、二酸化炭素排出量削減を推進する同社の環境保護施策をアピールしている。

P&Gのデジタルでの主な動き

■ 2021年1月29日 オールドスパイス グルーミングラインは、「Smell Ready for Anything」キャンペーンを発表

■ 2021年2月3日 黒人の歴史とルーツにスポットをあてるThe Black History月間を設定したP&Gのヘアケアブランドは、根強く残る人種差別と偏見をなくすための啓発を目指し、ハッシュタグ#RootedInScience(科学にルーツがあるの意味)のSNSキャンペーンを行った。#RootedInScienceは、P&Gと関係の深いバイオ化学メーカーのモンサントなどの企業でもキャンペーンに使用されているワードだ。

図1

ロイヤルオイルとパンテーンゴールドシリーズは、アフリカのどこにルーツがあるのかをトレースするためのDNAテストキットを提供するなど、黒人ファミリーが祖先とつながるのを支援するキャンペーンを開始した

■ 2021年3月29日 P&Gは、黒人クリエーターに対するインクルージョンの取り組みを拡大する活動の一環で、3月27日に2021NAACPイメージアワードで初公開された映画「Widen The Screen」を通し、黒人への偏見を是正するアクションとして、黒人の暮らしの豊さを描き、映像作品のなかで描かれる人種間の違いによって、人々が間違ったイメージを持ち、偏見につながっている事実を認識することを呼びかけた

■ 2021年4月6日 女優のジョーダナ・ブリュースターが妊娠検査薬Clearblueのイベントに参加し、#Conceivinghoodキャンペーンで妊娠と出産のリアルトークを行う

■ 2021年4月15日 「It’s Our Home」キャンペーンで、自宅での小さな行動が地球に大きな変化をもたらすことを提唱

■ 2021年5月12日 P&GとGLAAD(米国でLGBTQ+の人々のイメージに対するメディアモニタリングを行う非政府組織)は「The Visibility Project」を発表し、広告におけるLGBTQの可視性を向上させるための新しい研究を発表

■ 2021年5月18日 ジレットヴィーナスが陰毛に関する調査を行い、女性の87%が陰部に関するケアに不満を持っていると発表し、肌に優しい陰毛ケアができる新商品をローンチし、#SayPubicキャンペーンを開始

■ 2021年5月24日 生理用品のAlwaysが月経を取り巻く状況の認識を高めることで、若い世代が自信をもって暮らしていけるようにするために、「Always」というタイトルのレポートをリリース。オープンな対話を促進していくことをサポートする

■ 2021年6月7日 パンテーンの「What’s Your Legacy」キャンペーンでは、6つのオリンピック金メダルを獲得したアリソン・フェリックスと提携し、有色人種の女性であり母親である人々へのエンパワメントとしてレガシーを創り出す毎日の瞬間を讃えた

■ 2021年6月30日 P&GはPromundo、UN Women、WeConnect Internationalなどの団体と経済的なジェンダーギャップ解消のためにパートナーシップを組み、Women’s Forum for the Economy & Societyで#ChooseEqualへの取り組みを加速

P&Gの事業開発での主な動き

■ 2021年1月22日 Rhinosticsと提携し、革新的な鼻腔スワブ検査を市場に投入し、PCR検査のスピード向上を目指す

■ 2021年2月10日 ボーイングの最高戦略責任者兼戦略・事業開発シニア・バイスプレジデントを役員として招聘

■ 2021年6月9日 神戸市と包括連携協定を締結し、従来の「人材育成」「働き方改革」に関する協定に、「産学官民連携でのイノベーション創出」「環境サステナビリティ」「緊急時支援」の3項目を新たに追加

P&Gのそのほかの動き

■ 2021年1月13日 Olayは、2030年までに、STEMのキャリアにおいて、女性の数を2倍にし、有色人種の女性の数を3倍にする10年間の取り組みを発表。テクノロジーを活用し、女子中学生のSTEMへの関心を養う重要な時期に学校が介入することを支援し、STEMのジェンダーギャップを埋めるとする

■ 2021年2月4日 ジレットは、肌と地球にやさしい新製品ライン「Planet KIND」をローンチ。Planet KINDのパッケージはリサイクル可能で、85%の再生紙、85%の再生プラスチック、またはアルミニウムで作られている

■ 2021年2月9日 オールドスパイスとシークレットは、使い捨てプラスチック包装なしで作られたつめかえ可能な制汗ケースを、大手ブランドとして初めて発売した

■ 2021年2月11日 P&Gの主導で、インテルやデル、マイクロソフト、ウォルマートなどの米国の企業連合を形成し、2,500万ドルを投資し、教育のデジタル格差を解消するために、One Million Connected Devices Now(今すぐ100万台の接続デバイス)運動を開始した

■ 2021年3月4日 ジェンダー平等の促進を支援する100万ドルの誓約の一環として、シークレットがYWCAとパートナーを組み、10万人以上の女性とその家族のために、安全で安心な育児、能力開発などのプログラムを支援すると発表。経済的困難やキャリアにおけるさまざまな課題にも関わらず、働く母親が子どもたちをサポートする姿を描いた「シークレットスーパーヒーローママ」のドキュメンタリーも同時にリリースした

■ 2021年3月4日 ジレットがジレットゲーミングアライアンスの復活を発表

■ 2021年3月9日 日本初、再生プラスチックを使用した使い捨てカミソリが日本市場に登場

■ 2021年3月22日 ハーバルエッセンスが、自然保護団体のザ・ネイチャー・コンサーバンシーおよびテラサイクルと提携し、「Renew the Forest」キャンペーンをローンチ。ウォルマートで指定のシャンプーまたはコンディショナーを1本購入するごとに、木を1本植える資金を提供するもので、3万4,000本以上の植樹を目指す

■ 2021年4月27日 ロイヤルオイルズ・バイ・ヘッド&ショルダーズとパンテーンのゴールドシリーズは、Rooted in Science Scholarshipの11人の受賞者を発表。HBCUおよびUNCF加盟校でSTEM分野の学位を取得しようとしている黒人女性に奨学金が授与された

■ 2021年5月5日 東京オリンピック2020キャンペーンで、Athletes for Good Fundの52人の受賞者を発表

■ 2021年5月27日 「平等な機会とインクルーシブな世界の実現」に向けて LGBTQ+へのアライ(理解者・支援者)の輪を広げるP&G独自の「アライ育成研修」を開発し、5月末より社外への提供を開始

■ 2021年6月3日 東京2020オリンピックおよびパラリンピックで、使用済みプラスチック容器を消費者から回収し表彰台に再生利用したものを、表彰式アイテム発表会にて披露

■ 2021年6月16日 Tampaxは、ヘルスケア分野でのキャリアを追求するHBCUの黒人医学生を支援するために、UNCFとFlow It Forward奨学金プログラムを開始

■ 2021年6月18日 P&Gとトライベッカ・スタジオが、トライベッカ映画祭の「ジューンティーンス」記念日の一環として、Widen the Screen Film Programプレミアを開催し、8編の黒人映画製作者によるオリジナル映画を公開

■ 2021年6月22日 NASAと提携し、2022年に国際宇宙ステーションで汚れ除去試験を開始するための宇宙用の洗濯石鹸を世界で初めて開発に着手

6位: 資生堂
スキンケア好調で日本以外の地域が復調、成長の道筋に光明

図1

2021年2月9日、資生堂は中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を発表し、「危機に打ち勝ち、2023年に完全復活」を目指すことを目標に掲げた。また、2030年に向けたビジョン「PERSONAL BEAUTY WELLNESS COMPANY」を打ち出し、生涯を通じて一人ひとりが自分らしい健康美を実現するのをサポートする企業を目指すことをあわせて発表した。

2021年を「変革と次への準備」期間と位置づけ、事業ポートフォリオの再構築を中心とした構造改革、財務基盤の強化を図る。創立150周年となる2022年は「再び成長軌道へ」として、インバウンドの回復やグローバルブランドの成長を図るとともに、DXの取り組みを加速させる。そして、2023年を「完全復活」とし、売上1兆円、営業利益15%の達成を目指す。

主要戦略は、以下の3つ。

1. 高収益構造への転換
① 事業構造改革による収益性改善
② コスト競争力強化・生産拠点の生産性向上
③ 中国を中心としたアジア圏での成長強化

2. スキンビューティーへ注力

① スキンビューティーブランド育成・ポートフォリオ拡充
② 他社との協業によるイノベーション強化
③ インナービューティー事業の開発

3. 成長基盤の再構築

① サステナビリティを中心とした経営への進化
② ブランドを強くするマーケティングの革新と組織強化
③ デジタル事業モデルへの転換・組織構築
④ 人材・組織のさらなる多様化と能力開発

この中期経営計画において、「デジタルを活用した事業モデルへの転身・組織構築」を掲げており、2021年7月1日にグローバルのデジタル領域で多くの実績を持つアクセンチュアとの合弁会社、資生堂インタラクティブビューティー設立した。ビューティ領域に特化したデジタル・IT戦略機能を担う子会社として、デジタルを中心とした事業モデル改革、グローバル標準のITインフラとオペレーション構築、デジタル・IT領域での人材強化に取り組み、DXを加速させる。

このような大きなビジョン・中期経営計画を掲げた資生堂が、2021年8月5日に発表した2021年上半期の結果は、売上高5,077億円(対前年比21.5%増)、営業利益244億円だった。地域別の売上高対前年比推移でみると、日本は緊急事態宣言の影響などで、1%減(第1四半期12%減、第2四半期13%増)だったが、中国が35%増、北米が46%増、欧州が35%増と欧米・中国を中心に復活している。とくに、米国の第2四半期は115%増、欧州は67%増と、第2四半期はすべての地域で対前年比2桁成長を達成した。スキンケアブランドが堅調で、全体の63%(15%成長)を占めた。

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出典: 資生堂2021年上半期実績

ECはプレステージを中心に成長し、グローバルにおけるEC比率は30%に着地している。

日本国内の売上回復はこれからだが、グローバルの回復と高い利益進捗が株式市場でも評価され、決算発表後、株価は大幅に伸びた。

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出典: Yahoo! Finance

資生堂のデジタルでの主な動き

■ 2021年3月16日 2020年より一部のデパート等で展開してきたWebカウンセリングを、SHISEIDOとクレ・ド・ポー ボーテのデパートカウンターへ拡大

■ 2021年3月22日 SHISEIDO MENからオンライン会議でメンズメイクが試せる ARフィルターが登場。オンライン会議でモニター上の顔映りが気になるときや、メンズメイクにトライしたいときに、バーチャルで気軽にメイクすることを可能にする

■ 2021年3月30日 “デジタル疲労”が肌に与える影響を確認

■ 2021年4月9日 オンライン上でも自分の魅力を伝える「リモート演出力」を紹介するオンライン美容セミナーで、就活生を応援

資生堂の事業開発での主な動き

■ 2021年2月3日 事業ポートフォリオの再構築のため、TSUBAKIやSENKA等グローバルに展開するパーソナルケア事業をCVCキャピタルパートナーズへの譲渡を発表。新会社の全株式および関連事業資産の譲渡価格は約1,600億円。新会社設立は2021年上期を予定2021年7月1日付で事業譲渡を完了した

■ 2021年2月5日 SHISEIDO MENがFCバルセロナとパートナーシップを締結

■ 2021年2月9日 資生堂、アクセンチュア株式会社との戦略的パートナーシップによりデジタルトランスフォーメーションを加速し、オンラインとオフラインを融合した体験を提供する新事業モデルへの転換を推進すると発表

■ 2021年4月28日 中長期戦略の「WIN 2023 and Beyond」にもとづき、Dolce&Gabbana社とのライセンス契約を一部解消

■ 2021年5月11日 アクセンチュアと合弁会社 「資生堂インタラクティブビューティー株式会社」の7月設立を発表。同社は資生堂およびそのグループ会社に、デジタルマーケティング業務とデジタル・IT関連業務を提供する

■ 2021年6月8日 「デジタルトランスフォーメーション銘柄2021」「コロナ対応部門(カスタマーケア部門)」に選定。SHISEIDOと三越伊勢丹ECサイトmeecoが協働のライブコマースや、国内初のオンラインウェブカウンセリングなどの取り組みが評価された

資生堂のそのほかの動き

■ 2021年1月27日 「資生堂 Hand in Hand Project」スタート。「自分の手を守ることが、医療現場の手助けにつながる」とうたい、正しい手指消毒による感染予防と手洗いや消毒による手荒れを防ぐハンドケアを推奨するとともに、対象となるハンドソープ、消毒液、ハンドクリームの販売利益を医療現場サポートのために寄付する。6月30日までの期間延長も決めた

■ 2021年2月2日 広島県と「女性活躍の推進に関する協定」を締結

■ 2021年2月9日 中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を策定

■ 2021年2月15日 「We Are One Ocean・30x30」オフィシャルパートナーに就任、2030年までに海洋生物と環境の30%を保護・保全することを呼びかけ、より美しい海の実現を目指す

■ 2021年2月17日 第15回日本ファシリティマネジメント大賞 優秀ファシリティマネジメント賞を受賞

■ 2021年3月8日 女性の教育に貢献した女性を表彰し、寄付金を通じて少女たちの社会的地位向上を目指すグローバルチャリティプログラム「パワー・オブ・ラディアンス・アワード」で、カザフスタンの若い女性や少女たちに向けて、質の高いSTEM教育の提唱と普及に貢献している、カザフスタンのアリョーナ・トカチェンコ氏を選出

■ 2021年3月22日 令和2年度「なでしこ銘柄」に選定

■ 2021年4月1日 100%植物由来の新素材カネカ生分解性ポリマーGreen Planet™を世界で初めて容器に採用したサステナブルなリップパレットを発売

■ 2021年4月2日 「ドラえもん」が見守るグローバルサステナビリティキャンペーンで、「化粧品をつめかえて使用する」習慣を日本から提案・発信

■ 2021年4月14日 クレ・ド・ポー ボーテが少女たちのSTEM教育推進を目指し、ユニセフの活動を支援する取り組みの2年目を開始

■ 2021年6月1日 イオンにて化粧品の使用済み容器回収を開始

■ 2021年6月3日 2021年7月1日付で環境対応パッケージ開発機能を統括し、技術開発および戦略実行のハブとして、商品開発部門と連携してスピーディーな製品化に結びつける目的でサステナブル開発推進室を新設。グローバルICT部をグローバルIT戦略部へと改称し、グループ全体のIT領域での戦略的取り組み、およびITガバナンスをリードする機能に特化すると発表

■ 2021年6月16日 「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名が決定

グローバルトップ6企業はすべてパンデミック前に復調へ。それぞれの戦略

パンデミックから1年半、世界で断続的に続く都市のロックダウンや小売店舗の閉鎖などのマイナス面を、ECやライブコマース、オンラインカウンセリングなどのデジタル施策で乗り越え、グローバルの美容市場は回復しつつある。サステナビリティ、格差、差別問題などへの対応が、消費者の購買行動に影響を与えることもトップ企業は熟知しており、各社ともに社会的課題に対して、マーケティングのみならず、寄付をはじめとする支援プロジェクトを積極的に行っている。また、これらの活動によるブランド価値向上により、梱包、材料、輸送コストの増加が引き起こす商品コスト上昇の悪影響を抑えようとする動きも顕著だ。

昨年の記事で、「ロレアル、ユニリーバはこの10年の改革の成果が出ている。ロレアルはデジタルシフトを武器にコロナ後の美容業界を描き、ユニリーバはパーパスドリブン企業として『徳のある企業』を掲げ、両社ともコロナ後を見据えた戦略で、粛々と対応している」と書いたが、ロレアル、ユニリーバだけでなく、コルゲート・パルモリーブもP&Gも、そして資生堂も未来を見据えて動き出し、2019年のパンデミック前の成長路線に戻りつつあることがはっきりとみてとれる。

4位のコルゲート・パルモリーブは、P&Gと同じく、目的主導型ブランドとして、社会的課題に対してアプローチしていく姿勢をみせながら、20年以上にわたり続けてきたバリューチェンのデジタル化によるコスト抑制力を武器に、プレミアムイノベーション推進による価格アップを実現しようとしており、利益を生み出す企業への進化をはかっている。

5位のP&Gはパンデミックが始まった際、多くの企業がマーケティング費用を絞ったなか、「社会課題を提起し、それを変えていくP&G」のスタンスを変えず、積極的なマーケティング展開で、増収を果たしたことは記憶に新しい。現在ではサステナビリティが購買へ与えるインパクトに気づき、マーケティング戦略を調整しながら、さらなる強いブランドを作ろうと邁進している。

6位の資生堂も、日本国内の消費がまだ戻らないなかで、欧米、中国で大きく売上を伸ばした。日本では2020年4月にCDOが就任後、デジタル施策を次々と打ってきたが、2021年2月にアクセンチュアとの合弁会社設立を発表し、ビューティ領域に特化したデジタル・IT戦略機能子会社、資生堂インタラクティブビューティーを同7月1日に設立。2022年は創業150周年記念の年となる。2023年に完全復活を目指す資生堂の2021年後半に期待がかかる。

2020年、パンデミック真っただ中で、業界1位のロレアルがビューティ市場はかならず回復すると予言したが、先進国を中心にワクチン接種が進み、街の人出も増加してくるなか、美容ニーズは戻りつつある。業界全体でデジタル化を急速に進めた結果、ユーザーの間でもオンラインとオフラインを融合させたビューティ体験が徐々に浸透している。

Text: 秋山ゆかり(Yukari Akiyama)
Top image: jafara via Shutterstock

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