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ShowFields、マルイがD2Cを通して提供する「購買体験」は長きファンをつくる

◆ English version: Marui aims to cover 25% of its sales floors with D2C brands in the next four years
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前編で、マルイが手がける、「デジタル・ネイティブ・ストア」としての新しい店舗のあり方を探る試みを紹介した。後編では、D2Cのショールーミングという機能を活かし、マルイが提供する全方位へ向けた「OMO型購買体験」を取り上げる。

D2Cのショールーム化という点でいえば、米ニューヨークで2019年開幕したショーイベント「House of Showfields」が、リテール業界にセンセーションを巻き起こしたのが記憶に新しい。そこにあるのは、斬新な購買体験の提供だ。

図1

House of Showfields
(著者撮影)

ニューヨークのSOHOに位置する「Showfields」は、建物丸ごとがD2Cブランドのショールームとして運営されている。店内にはShowfieldsがキュレートしたブランドの展示スペースが並んでおり、訪れた買い物客は実際に商品を手に取り、体験することができる。

そのShowfieldsが2019年夏に仕掛けたイベント「House of Showfields」は、”没入型シアター形式”や”観客参加型”と呼ばれる形態をとる新しいタイプのイベントで、来場者は約30分間のアトラクションを通して、商品に関する世界にどっぷり浸ったのちに、それらの買い物を現地、あるいはあとでオンラインでも楽しむことができるという動線だ。消費者は商品に関する知識を備えた段階で購入の機会が与えられるため、通常よりも購買に結びつく確率が高くなる。

ヴィーガンのスキンケアブランド「Nuria」では、通常、Showfields内の同店にきた買い物客がアイテムを試す割合は全体の約半数だが、House Of Showfieldsの来場者はほぼ全員が自分の肌に商品を実際に塗布してトライアルし、ショーが始まった7月最初の週末のNuriaの売上げはそれまでの2倍に上昇した。そのほかにも、4倍の売上げをたたき出したブランドもあるといい、D2Cブランドがリアル世界との接点を持つことがいかに重要かを物語っている。

同じ現象は前編で紹介したマルイでも見られる。マルイで過去にポップアップストアを開催したサブスクリプションサービスを提供するあるブランドは、実際に店舗で接客をして購入に至った顧客は客単価が上がり、さらにその後の解約率も下がったケースが多かった。「近年はオンラインの広告費も高騰傾向にあることから、リアル店舗を持つことは、最初は出店コストがかさむものの、既存客を積み上げることで、結果としてより高いLTVを実現できる事例が多い」と株式会社丸井 代表取締役社長 青木正久氏は語る。

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