アモーレパシフィックとLG生活健康が追求するパーソナライズ、入浴剤やヘアカラーも
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アモーレパシフィックとLG生活健康が追求するパーソナライズ、入浴剤やヘアカラーも

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韓国国内では美顔器やIoT、スマートファクトリーといったビューティテック市場の成長に改めて注目が集まっている。なかでも大手の投資が盛んに行われているのが、パーソナライズ領域だ。業界最大手アモーレパシフィックとLG生活健康の事例をレポートする。

韓国の重要産業のひとつに制定されるビューティテック

美顔器やIoTなどのホームビューティデバイスの順調な売上拡大などを背景に、韓国ではビューティテック市場のさらなる成長に期待がかかっている。LG経営研究院のリサーチによれば、韓国国内のホームビューティデバイス市場は、2013年の800億ウォン(約81億円)規模から、2018年には5,000億ウォン規模(約507億円)まで成長。2022年には1兆6,000億ウォン(約1,623億円)規模まで拡大すると見込まれている。

美容関連市場の成長を注視する韓国政府も、ビューティテックを国の重要産業のひとつに定め、積極的に後押しする構えだ。2021年には、パーソナライズコスメ開発や関連産業を活性化させるため、9カ国8,000人分の皮膚・遺伝子データが活用できるデータプラットフォームを、2025年までに独自に構築していく目標も発表した。

また、スマートファクトリーの規制緩和で店頭での展開が可能になり、「パーソナライズ」が消費トレンドとしてますます注目されるなか、韓国化粧品業界をリードするアモーレパシフィックやLG生活健康は、関連ソリューションの開発・展開に意欲をみせる。

アモーレパシフィックは脳波測定から入浴剤をその場で提供、パーソナライズ新ブランドCUSTUM.MEも

アモーレパシフィックはCES2022において、「Mind-linked Bathbot」と「Myskin Recovery Platform」という2つのソリューションを発表し、いずれもCESイノベーションアワードを受賞している。

Mind-linked Bathbotは、8つのセンサーが搭載されたヘッドセットを使用し、ユーザーの脳波を測定。取得されたデータをベースに、各自の気分や感情に合わせたアロマおよび入浴剤をロボットが調剤し製造、その場で提供するという「パーソナライズ×オーダーメイド」ソリューションとなっている。測定終了から商品提供までの時間は約1分とされており、ユーザーは自販機でインスタントコーヒーをオーダーするような感覚で、パーソナライズされたビューティアイテムを手にすることができる。

一方、Myskin Recovery Platformは、肌診断およびパーソナライズされた肌改善情報を提供し、その改善プロセスをモニタリングできるスキンケア総合プラットフォームとなっている。専用ハードウェア端末である照明付ミラーとスマートフォンを併用するのが特徴で、ユーザーはスマートフォンのカメラとミラー、また皮膚内の水分と弾力を測定する小型センサーデバイスを使い、肌の変化をセルフで日々診断。この肌診断データと化粧品処方をAIが分析し、各自の肌に適合するスキンケア製品など、肌状態の改善のために、持続的にアップデートした情報やソリューションがアプリ上で提供される仕組みだ。

アモーレパシフィックは、パーソナライズソリューションや関連コスメの展開にかねてから注力してきた、韓国美容業界のなかでも最大のプレイヤーだ。2021年時点で韓国国内では約120の事業体がパーソナライズコスメの販売事業登録をしているが、そのうち9つはアモーレパシフィック関連の売り場や事業体となっている。1社が保有する美容パーソナライズ事業としては国内最多だ。

アモーレパシフィック傘下のLaneigeの売り場
出典:Laneigeのリリース資料

保有する「IOPE」「Laneige」「espoir」「Innisfree」など各ブランドでは、それぞれの特性に応じたパーソナライズコスメの販売を展開しており、2022年2月には「CUSTOM.ME」というパーソナライズを前面に打ち出したスキンケアブランドをリリースしている。

CUSTOM.MEは、ユーザーが公式サイトで質問票に回答してスマートフォンの自撮り顔画像をアップすると、皮膚研究の専門家が評価した臨床データと掛け合わせて、AIが精密な肌診断を行い、その結果にもとづき、カスタマイズした「エッセンス」と「エンハンサー」の2製品が提案される仕組みだ。さらに、購入後は製品パッケージのQRコードをスキャンすることで、CUSTOM.ME+アプリを通じて、美容アドバイザーによる1対1のチャットカウンセリングが受けられる。チャットでは質問への回答やアドバイスのほか、各種スキンケアや美容コンテンツが受け取れるという。

CUSTOM.ME
出典:AMORE MALL

アモーレパシフィックはまた、2022年4月に入って、IT大手のSK C&Cとの協業を発表し、ウエルネスデータを基盤にしたパーソナライズ健康管理プラットフォームの開発にのりだすことも宣言している。これは、AIやブロックチェーン技術をベースに、個人の肌状態やメンタルヘルスをサポートしつつ、運動コンテンツや健康食品をレコメンドする総合ヘルスケアプラットフォームというコンセプトだ。

化粧品やビューティ分野に限定せず、業界外企業との積極的な協業を通じて、ウエルネスやライフスタイルなど、隣接領域と融合するより広い視野からパーソナライズソリューションにアプローチしていく姿勢をみせている。

LG生活健康は、サロン向けパーソナライズヘアカラーやマイクロタトゥー機器で米国市場開拓

一方、アモーレパシフィックと競合のLG生活健康も、パーソナライズ文脈でビューティテック市場参入に拍車をかけている。2022年2月には、米国のプロフェッショナルヘアケア専門企業 Farouk Systemsとともに、スマートオーダーメイド染毛剤システム「LG CHI COLOR MASTER」を開発し、米国でリリースすることを発表した。

LG CHI COLOR MASTERは、美容室向けに開発された、顧客にパーソナライズした最適なカラーリング剤をその場で製造・提供するカラーリングソリューションだ。

LG CHI COLOR MASTER
出典:LG生活健康プレスリリース

ヘアスタイリストはタッチパネルを操作して顧客を登録し、顧客の顔をマシンまたはタブレットで撮影してカルテを作成する。続いてヘアスタイリストは、自身の経験や知識から顧客におすすめの “スターティング” カラーを画面上の100以上の色見本から選び、さらに顧客が気になる色や要望をヒアリングして、別のカラーも加えることでカスタマイズしたカラーリング剤をパネル上で処方する。

髪色のARカラーシミュレーションで事前に染色後の仕上がりを顧客の顔画像上で確認したのち、必要な製剤の量やハイライトの割合などが表示された画面を最終確認し、搭載された12のカートリッジからAIが自動調合した製剤がその場で抽出される仕組みとしている。

再現できるカラーの種類は3万色以上、調合そのものにかかる時間は2分以内という。アンモニアを添加していないため、刺激臭がないのも特徴だ。

LG CHI COLOR MASTERを開発するのに要した期間は約4年間で、カラーリング剤の吐出方式や使いやすさ、ソフトウェアなどに関する20件以上の特許の出願を完了した。LG生活健康側は同ソリューションを通じて、これまでヘアスタイリストたちが大きな手間をかけていたカラーリング剤の調合を効率化するのみならず、調剤に必要なスペースを大幅に削減できると説明している。あわせて、酸化などの理由で廃棄されるカラーリング剤を30%以上減らすことが可能で、地球環境にも良いとしている。

LG生活健康は、LG CHI COLOR MASTERのほかにも、ユニークなパーソナライズソリューションを用意している。一例では、10センチ以下のミニタトゥープリンター「Printly(仮名称)」を開発、2022年中のリリースを目指している。

Printly
出典:LG生活健康プレスリリース  

同製品は、LG生活健康の色調研究所が独自開発したヴィーガンインクを端末から噴射して、アプリで選んだデザインを肌にプリントする方法で、安心かつ気軽に簡易タトゥーを体験することができるとする。リリース後には、2021年に親会社の株式56%を取得してグループに加えた米国のヘアカラーブランド「Arctic Fox」の流通チャネルを通じて、米国での販売を開始する予定で、順次、韓国国内でも販路を広げる計画だ。LG生活健康の関係者は、韓国メディアの取材に対し次のようにコメントしている。

「自由な自己表現を好むミレニアル&Z世代を狙い、長年蓄積してきた化粧品ノウハウと技術力を組み合わせてミニタトゥープリンターを開発することになった。(中略)日常のなかでさまざまに活用できるファッションおよびビューティアイテムとして脚光を浴びることを期待している。(中略)今後は、(プリントタトゥーの前後のケアとして)プライマーやクレンザーなど自社で開発した製品も連動して使用できるよう、Printlyの活用範囲を拡張していく予定だ」

アモーレパシフィックがおもに消費者に向けたパーソナライズソリューションを提供する一方、LG生活健康は、ヘアサロンなど事業オーナーや事業会社向けに製品を開発し米国市場の拡大を目論む。

小売大手のオリーブヤングも、AIを使ったパーソナライズソリューションの強化にのりだすとのニュースもある。業界大手がこぞってビューティテックへの投資を加速し、韓国政府もプラットフォーム構築を進めるなか、ユーザー側がどのように受け入れ、使いこなしていくのかにも注目していきたい。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: LG生活健康プレスリリース

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