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J-Beautyの海外進出は高い技術と独自性がカギ。コスモプロフ・アジア2019

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アジア最大級のビューティ見本市として香港で開催されたコスモプロフ・アジア2019レポートの2回目は、日本からの出展ブランドを取り上げる(1回目はこちら)。香港国際展示場に設けられたジェトロのブースに出展した小・中規模の日本の化粧品メーカーの試みから、メイドインジャパンの製品を海外展開する際、成功へと導く鍵は何かを考える。

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日本の中小企業を対象にした海外進出支援として、コスモプロフ・アジアへの出展サポートを担当するジェトロ市場開拓 展示事業部海外市場開拓課の春田麻里沙氏は「(香港の政情不安という)困難な状況ながら、ジェトロのブースでは予定の20社が参加することができた。今回は運営側として、出展各社が香港に渡航してからの交通手段への影響や避けるべき地域などの現地情報をリアルタイムで共有することに力を注いだ。また、開催前日の11月12日に、350社以上が所属する香港の化粧品同業者団体と、ジェトロブース出展企業との単独商談会も実施して、将来につなげる機会を増やすことができた」と語る。

参加企業のなかでも、とくに来場者から人気だった3社を取り上げ、海外で求められている日本製品とはどのようなものかを探ってみたい。

オンリーワンの商品が持つ圧倒的な強み

輸出経験の少ない企業に対し、より広く海外事情を学んだり、海外バイヤーとの商談の機会を提供する意味合いから、企業がジェトロの支援を受けてコスモプロフに出展できるのは3回までと決まっている。また、最小のブースの面積が通常の9㎡より小さい7.5㎡とあって、展示する商品数をあまり持たない、創業間もない企業でも参加しやすいのもメリットだと春田氏は説明する。

そんなコスモプロフで、参加1年目は手探りの情報収集、2年目に顧客を掴み、3年目の今回は代理店が決まるという順調な成長を遂げているのが、特殊な皮膜の二重まぶたコスメ「ルドゥーブル」を開発、製造、販売するアチーブである。

春田氏によると「毎年、香港最大のコスメドラッグストアであるSASAを含め、化粧品同業協会の重鎮およびバイヤー20名が、新商品を探すためジェトロブースを一軒ずつ回ってくれる。3,000社近い出店企業がひしめく広大な会場では、まずはブースを見つけて足を踏み入れてもらうことが必須。これがきっかけとなり、その後商談に進むケースもある」という。

市民デモの影響で交通網が分断されるなど、例年に比べ会場全体の人出が少ないにも関わらず、アチーブのブースは黒山の人だかり。一重まぶたの人気ビューティーブロガーが使い方を説明しながら、ルドゥーブルでぱっちりとした二重に変身する体験ビデオがモニターで流されており、これに見入る人も多かった。

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自ら会場入りしたアチーブ創業者の本多梅乃氏は、「二重まぶたを作るというと糊やテープのイメージがあるかもしれないが、ルドゥーブルは速乾性がある乳液タイプ。まぶたに塗るとすぐに乾いて薄い人口皮膜ができ、まぶたのラインを上に引き上げる。最初はテカるが、指でなぞるだけで消えて見えなくなるから自然な仕上がり。ウォータープルーフなので海もプールもOK。安全性が高く、ユーザーも3歳から80歳までいるほどで、老若男女を問わない。しかも使っているうちにだんだんクセがついてきて、本当の二重になることも多い」と製品への強い自信をのぞかせる。

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本多梅乃氏(左)と
営業マネージャーの本多乃子氏

本多氏は30年以上化粧品メーカーに勤務し、目元に特化した化粧品開発を行なってきた。自身もかつては目元にコンプレックスを抱いていたといい、整形のリスクを避けながらそれを解消するべく、研究を重ねて完成させた渾身の製品がルドゥーブルだ。成分、使用法、パッケージなどすべてがオリジナルで「簡単には真似できないように作っている」と本多氏。

従来、日本の化粧品は、肌や骨格に共通点が多い東アジアや、経済発展が著しい東南アジアからの引き合いがメインだが、ルドゥーブルには、加齢によりたるんだまぶたを引き上げるリフトアップ効果もあることをうたうと、もともと二重まぶたの人が多い欧米のバイヤーからも大きな反響が寄せられた。

ほかにはないオンリーワンで完成度の高い商品には、飛躍のチャンスが巡ってくるという代表的な例かもしれない。

日本ならではの高い技術力とこだわりの原料

香港の街中では「日本製造」の四文字を大きく掲げた現地ブランドの製品や広告を目にしない日はない。中国語の単語の間に平仮名の「の」を挟むことで、あたかも日本の製品のようにみせるのも珍しくない。そのくらい日本製品には好印象があり、品質が高く評価されているのだ。また、さまざまな国から来ている出展者からも、「1つのことに徹底してこだわって極めようとする、日本のクラフツマンシップに惹かれる」との声もしばしば耳にした。

そんな「日本らしさ」を体現しているのが、今回が2回目の出展となるビエスト化粧品だ。現役エステティシャンの前田ふみえ氏が、極度の敏感肌で自分にあう化粧品がなかったことから開発を決意して創業。アンチエイジングに特化したサロン向けスキンケア製品を専門にしている。

ビエスト製品の核となる原料は、プラチナから抽出される抗酸化作用に優れた白金ナノコロイドだ。「原料業者から、産学連携で白金ナノコロイドの開発が進んでおり、化粧品への配合を考えているという情報をもらい、興味を抱いたのがきっかけ。ビタミンC、ポリフェノールなどの抗酸化物質は、特定の活性酸素を一度除去するだけだが、白金ナノコロイドは全11種類の活性酸素を26時間除去し抑制し続けることができる。この特性を最大限に生かしながら、防腐剤未使用の白金ナノコロイドを使ったプラチナシリーズを開発した」と前田氏は語る。

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前田ふみえ氏

今回のコスモプロフでは、白金ナノコロイドに組み合わせることで、相乗効果によりさらに高い抗酸化作用を発揮する「水素」に着目した「Fumieシリーズ」も出展した。水素は発生させた途端に消えてしまうため、化粧品としての商品化が難しかった。前田氏は、化粧水の使用寸前に水素を発生させるとともに、発生した水素を逃がさないという仕組みを、独自開発の耐気圧アルミボトルで実現した。

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Fumieシリーズ

「4年間、試行錯誤を繰り返して完成させ、自分の名前を付けたほどの自信作。二層になった容器のジョイント部分を外すと、水素発生剤がケイ素の膜で包んだ水素を含む化粧水に混ざり合って中和し、容器内に水素が充満する仕組み。水素発生は開封1ヶ月目がピークで2ヶ月間は続き、その後は一般の化粧水と同じレベルに落ち着く。水素発生で容器内が7気圧に達するため、普通の容器では膨張してしまう。これを防ぐために、厚みのあるボトルを特注した」(前田ふみえ氏)。

これに加えて、もう1つフィーチャーされている製品は、昨年のコスモプロフで、日本の国産オーガニック原料や高度な技術への需要が海外でいかに高いかを実感したのをきっかけに新開発した、イチジクの発酵液を主成分にしたapシリーズである。

apシリーズは、日本の発酵技術によって有効成分の濃度を上げて効果を高めている。エレガントな容器デザインにもこだわり、まずはきらびやかな見た目に惹かれて商品を手にした来場者が、製品説明を聞くうちに、一緒に並べられたプラチナや水素の製品にも関心を示すという流れをつくっていた。

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apシリーズ

今回のコスモプロフでは、シンガポール、ミャンマー、グルジアの業者とFumieシリーズの水素パック、インドの業者とは美白スキンケア、地元香港ではOEMや空港免税店での販売などの各種商談が進んでいる。

「ヨーロッパにおけるスイス製コスメと同じくらい、アジアでは日本製の評価が高いと来場者から聞かされた。ブランドの知名度よりも、効果がはっきり見える製品や、目新しさがある原料や技術を探しているバイヤーが多いと感じた」と前田氏は手応えを語る。

ジェトロの春田氏は、「バイヤーのなかには、“日本製”を掲げた自社ブランド製品を作るために、自社工場を所有する日本の企業とのOEMを希望する海外企業も多い。また、実際に海外で販売する場合には、国ごとの規制に合わせて成分を調整する必要が出てくるため、そのようなニーズに柔軟に応えられる体制が整っている企業は、商談がまとまりやすい」との見解を述べた。

キャッチーなプレゼンテーションが受けるのは万国共通

アチーブ、ビエストと並んで、多くの来場者が足をとめていたのがコジットのブースだ。コジット営業部の林祐平氏は「私たちは化粧品メーカーではなく、アパレルに近い雑貨を主にした商品デザインを得意としている。イチからがっちりと商品開発をする専業メーカーと真っ向勝負するのではなく、たとえばSNS用に自撮りをする直前に使うことで写真映えする顔色になるスプレーなど、企画力を生かして隙間を狙ったアイディアコスメ商品を揃えている」と説明する。

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Gloss me オーロラミスト・オイルイン

東急ハンズやロフトなどに卸しているというだけあって、展示ディスプレイもこなれており見やすい。なかでも注目を浴びていたのが、豆腐パックそっくりなパッケージ入りの豆腐石鹸だ。九州産のふくゆたか大豆を使った品質とユニークな見た目で高い評価を得て、見積もりや追加資料の依頼も数多く受けたという。

一方で「ヨーロッパ系の来場者のエコ意識が予想以上に高く、非プラスチックのパッケージを求める声が多数聞かれるなど、海外展開をしていくうえでの課題もみえた」と林氏は明かす。

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豆腐石鹸

「いつもより来場者数は少なかったかもしれないが、こんな時だからこそ、わざわざ足を運ぶほど熱意のあるバイヤーが世界各国から訪れていて、とても充実していた」というのが、今回の出展者に共通するコメントだった。

高い技術が生み出す高品質と信頼性が市場を拓く

コスメプロフでは、化粧品メーカーをはじめ、コンサルティング会社や調査会社、ワールドワイドなECプラットフォーマーなど、各国の業界エキスパートがビューティビジネスの最新トレンドや注目のトピックスを語る「コスモトーク」が開催される。プログラムの1つとして、経済産業省と日本化粧品工業連合会(JCIA)とが連携し、2013年から日本の化粧品の魅力を発信するプロモーションイベント「JAPAN Beauty Week Seminar」がスタートしており、今回はJCIA 国際部長の神戸哲也氏によるセミナーが行われた。

神戸氏は2016年から日本の化粧品の輸出額が輸入額を超えたことをグラフで示しながら、この伸びは中国を中心に海外で日本製化粧品の需要が高まっていることが大きな要因とする。そして、「日本製品は品質において優れている」と世界各国で信頼されていることが、その背景にあると示唆する。実際、大手化粧品メーカーを中心に研究開発に力をそそぎ、数多くの重要な発見や新技術の開発がなされているほか、綿密かつ細やかな品質・安全性テストにより製品の質の担保に努めている事例が紹介された。

こうした日本の高いクオリティと技術はソフトの面でも発揮される。神戸氏のプレゼンテーションに続き、メイクアップアーティストの田邉剛氏が登壇して、日本風のエイジングケアメイクの技を披露した。

ベースメイクであれば、頬骨付近にはラメ感の強いハイライト等を使用せず、骨格に合わせたファンデーション量の調節によりメリハリをつけることでリフトアップしてみえるとか、ほうれい線は黄色が強めのパウダーによる光の反射で線を消すなど、顔の部位ごとに細かいテクニックを駆使して若々しい表情を作り上げ、聴衆を感心させた。

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日本製化粧品のキーワードとして「技術・品質・信頼」が世界的に認知されている現状は、インターナショナルな市場で、韓国をはじめとするライバルと伍していくうえで、極めて有効なツールとなる。期待に応えて、さらなる製品クオリティの総合的な向上を果たすためには、人材とアイディアがますます重要になることを改めて感じとった。

Text: 甲斐美也子 (Miyako Kai)

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