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コスモプロフ・アジア2019、新トレンドとして食材と美容の融合、K-Beautyは健在

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11月の香港の風物詩であるアジア最大級のビューティ見本市、コスモプロフ・アジア(Cosmoprof Asia)。2019年の今年は香港が政情不安にゆれる真只中での開催となり、例年の勢いは欠けたものの、2020年以降の美容業界での新たなトレンドを知る格好の機会となった。現地レポートの前編は、クリーンビューティ流れをくみ食材からの抽出成分、その企画力にますます磨きをかけているK-Beauty、そしてマイクロニーズなどのトレンドを取り上げる。

2019年11月13日~15日、香港中心部湾仔にある香港国際展示場をメイン会場として、コスモプロフ・アジア2019が開催された。今年度は香港での政情不安が開催直前に激化し、開催を危ぶむ声もあった。

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残念ながら来場者が激減した印象は避けられなかったが、「こんな時でも足を運んでくれたバイヤーには、本気で取引先を探す意気込みが感じられた」「毎年、満員電車のように会場が混み合い、どこの誰と話したかも分からなくなるほどだったが、今年は来場者とじっくり話ができた」という出展者からの前向きなコメントも聞かれた。

約3,000社が出展し、2020年の美容業界の潮流を占ううえでも注目のコスモプロフ・アジアだが、サステナビリティを包有するクリーンビューティ志向の基本路線は変わらず、むしろヴィーガンなど、より自然なものを希求し深化していく方向にあるようだ。また、韓国勢がさらに勢いを増しており、トレンドセッターとしてのKビューティが健在であることも印象づけた。また、パーソナライズの進展に伴い、個別化を意識したマイクロなニーズやニッチなマーケットを狙う製品やブランドも増えている。

ビューティとライフスタイルの融合が強化

ここ数年の「ナチュラル&オーガニック」人気を発端に、食の世界でのトレンドが美容業界に波及する動きが確実に強まっている。今年のコスモプロフ・アジアではさらに一歩進んで、動物由来の原料不使用を貫く「ヴィーガン」が存在感を発揮していた。

マスク、クリームなど、さまざまな製品でヴィーガンがうたわれるが、その原料をみていくと、シアバター、グレープシードオイル、ハイビスカス抽出物、ローズマリー抽出物など、食材としてもお馴染みの成分が並んでいる。これらはいずれも、抗酸化作用が期待される成分でもある。同時に、スーパーフードや蜂蜜など、ヘルスコンシャスな消費者に人気の天然食材を原料に使用した製品が世界中で登場している。

ポーランドで1983年に創業したEveline Cosmetics は、日本には未進出ながら世界70カ国以上に販売網を持ち、スキンケアからメイクアップまで幅広いラインアップを持つ大手企業である。

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「Beauty Food-Ritual Bio Vegan」と名付けられた新製品は、アーモンドミルク、アーモンドオイル、クランベリー、アボガドオイルなど、ヴィーガンには馴染みの深い主要食品でもある天然成分を原料にして作られたフェイスクリームのシリーズだ。

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また牛乳と比べてアレルギーを発症しにくいと注目の山羊ミルクや、オリーブなどを主成分としたクリームもあり、“食べられるもの”を化粧品に融合させることへの熱意が感じられた。欧州最大の農業国であるポーランドでは、高品質な食材がふんだんに手に入るのが同社の強み、と担当者は述べている。

日本でも2019年から販売がスタートした韓国ブランドDear Dahliaの「Paradise Dream Velvet Lip Mousse」は、抗酸化効果での特許を取得したダリアの花の抽出物を主成分にした100%ヴィーガンのリップスティックである。その機能性で高い評価を受け、今年度のコスモプロフ・アジア・アワードのメイクアップ部門で最優秀賞を受賞した。

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根強い人気があり出展される製品数もいまだに多いマスク製品にもヴィーガンが増えている。水分不使用のドライマスクを、手持ちの美容液やクリームを塗った上に載せることで、配合成分を活性化して効果を高める「Add-on(付け足し)」をコンセプトにしたブランドAdd-on beauty では、特許のベクトル化技術を使って、有効成分を真皮に到達させるマスクを主製品にしている。

ヴィーガン向けのVegan Nutritionをはじめ、デトックス、保湿、そして、自撮り前のお直しとして顔の疲れを取り除き、肌を輝かせる即効性をうたうSelfie Glowと、トレンドを意識して絞り込んだ4種類のドライマスクをラインナップする。

このように、食も含めたライフスタイルと適合する化粧品を提案する動きが強まっている。

環境に優しい多機能化粧品

サステナビリティが最重要キーワードになっている昨今、「使用する化粧品の数を減らすことが、資源の無駄を防ぎ、廃棄物の削減につながる」という考え方が生まれている。コスモプロフ出展製品から浮き彫りになったトレンド分析結果を発表する「コスモトレンド」で、「Reduce for Seduce(削減は魅力的)」という項目にとりあげられた、「多機能化粧品」がそれにあたる。

従来はリンスインシャンプーなど、機能を重視というより時短を選ぶ人向けの製品だったが、コスモトレンドで紹介された製品はいずれも、最先端技術や斬新なアイデアによる“高機能かつ多機能”が売りになっている。

韓国企業ながら欧米での基盤を先に築くことに注力し、韓国やアジアでの知名度はまだ低い、いわば逆輸入タイプのブランドWHENの男性向けスキンケアライン「SUPERWHEN for Men」もその1つだ。たとえば、洗顔料とシェービングクリームを兼ねた「Cleansing & Shaving Smoother」では、マイクロバブルで肌の汚れを落としつつ、シェービングでのダメージをしっかり防ぐ。同時に大気汚染からのダメージを防ぐ特許取得成分のURBALYSを使用し、肌の保護バリアを強化して、さらにはデトックス効果も期待できるという。

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また、同社のスリーピングパックは、ジェルとクリームが二層になっているのが特徴だ。「夏はジェルでさっぱりと、冬はクリームでしっとりとしたいなど、ユーザーが自分の好きな配分で2種類を混ぜ合わせて使えるようにデザインした」と、WHENブランドを展開する、J.C People広報マーケティング部シニアアカウントマネージャーのローレン・チョー氏は話す。

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同じく韓国ブランドのTOVでは、リップバームとハンドクリームの両方に使用できる2-in-1製品を展示。トップ部分を時計回りにひねると薄く赤みもつくリップバームになり、トップ部分を外して反対にひねるとハンドクリームになる。

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左:顔を冷やしながら塗り、
日焼けダメージを緩和する
Camellia Cooling CC
右:2-in-1製品のWild Rose Lip & Hand

マイクロ部位向け製品が花盛り

目的を絞り、顔や体の一部にだけに特化したマイクロ部位向け製品も目立っていた。マスクでは、昨年から目元、口元などの部位別マスクが流行しつつあるが、今年はさらにその部位が細かくなり、多岐にわたるようになった。

特にシートマスクは、材料となる不織紙や最新素材バイオセルロースの生産能力を持つ専門メーカーによるOEMが発達しているのに加えて、Eコマースが発展するなかで、PB製品の開発も盛んになっており、各社がトレンドをしっかり押さえた、多彩で斬新な製品を展示していた。

1995年フランス創業Mediatic Labsによるパリ発ブランドL’Actionでは、唇にボリュームを加える、まつげを長くする、涙袋を小さくするなど部位と機能をピンポイントで絞り、なおかつ1分間で効果が得られるとうたう「1 min Solutions」シリーズを展開。パッケージにも、部位や目的がはっきり示されていて分かりやすい。

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人気ヘアサロンから始まった韓国のヘアケアブランドFlaboisは、山羊ミルクと牛乳を主成分にしたヘアトリートメント「Milk Bomb」が欧米市場で人気を博している。1回使用分の小分けパックが、牛乳カートン型のケースに収納されているのもユニークだ。

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フェイスマスク大国である韓国の美容企業Adwinの自社工場では、シートマスク本体のフォーミュラはもちろん、シートの形状や柄、マスクを収めるパウチ型パッケージを自由にデザインすることができる。そんな強みを生かした製品展示では、ヒップアップ用やネイル用、鼻の毛穴用などニッチな需要を取り込んだ製品をずらりと並べ、圧倒的バラエティが伝わる構成になっていた。

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シルバーフォイルやゴールドなどの
素材を強調したアンダーアイ用パックは、
透明パッケージ入り

植物由来原料にナタ菌を培養発酵することで作り出されるバイオセルロースを使ったマスクは、ナタデココのような触感で、密着性が高くて肌からずれにくく、保水性も高いため肌に美容成分をしっかり浸透させられる。

こうしたバイオセルロース製品を得意とする、上述の韓国ブランドのWHENにも、部位別のマスクがある。『美女と野獣』をもじった「Beauty and Breast」は、バストとデコルテ用のパックで、胸元の露出を好む欧米での人気商品だが、「服装がより保守的な韓国ではあまり受けなかった」と担当者は明かす。

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左:Beauty and Breast
右:首のケア用マスク

部位別ケアの波は、美容機器にもうかがわれた。韓国のNODEが出展した唇専用の美容機器「NARCI Lip Enhancer」は、人間工学を採用し丸みを帯びた形状で、医療機器メーカーとしての技術を美容に転用した製品だ。

最適化パルス電磁界(PEMF)により細胞の活性化と血流の促進をし、血色が悪くかさついた唇に潤いと弾力を与えるという。耳に紐をかけてハンズフリーで20分間使用する仕組みである。

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また、クッションファンデなどを得意とする韓国のELROELのLED美顔器は、フェイスラインと首の2カ所に使えるようにデザインされていた。

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ニッチで高機能な天然原料の発掘

肌を温めたり冷やしたりすることで、美容成分の浸透や効果を高めるという美容法では、温めるなら生姜、冷やすならミントなどの天然成分が昔から用いられてきた。今回のコスモプロフでは、世界中から高機能でニッチな天然成分を探し出してくる、製品開発者の努力の跡がうかがわれる製品も各所で目に留まった。

洗剤メーカーの韓国ブランドAll About Sooでは、「ガンナムスタイル」のPSYを担当している有名スタイリストとのコラボで、肌を冷やして日焼けと高い気温による肌ダメージを軽減するUVケアラインを展開。実際に塗ってみると、一瞬で肌がひんやりし心地よい。「スタイリストという仕事柄、屋外での撮影が多いことから生まれたアイデア。肌を冷やす機能のために採用したのは、アイスランドの氷河水」と担当者は説明する。

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スペイン発のSkintsugiは、日本語の「金継ぎ」と「スキン」を掛け合わせたブランド名など、自社開発の美容技術をアジア風のスタイルでパッケージしたスキンケアブランド。原料にも韓国・済州島の火山水を使用している。

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企画力、開発力ともにK-Beautyの存在感が突出

このように、現地の会場で人々の注目を集めていたり、気になり惹きつけられる製品のブースを訪れると、意識していないにも関わらず、韓国発ブランドであることが多い。かつてのK-Popのセレブリティを前面に出した展示手法は少なくなり、韓国発であることをあまり感じさせないブランドが多いのも今年の特徴である。韓国が、企画力、開発力、品質勝負の実力派ブランドの宝庫であることを改めて実感し、Kビューティが再び隆盛しつつあることを強く感じさせられた。

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「韓国でのバイオテクノロジー技術が商品企画と直結して、新しいアイデアが続々と生まれている」(J.C People広報担当チョー氏)。確かにそんなスピード感を見せつける製品が多数見受けられた。

交通網の乱れが激しく、会場にたどり着くのも一苦労という来場者が多かった今回のコスモプロフ。そんななかでも世界中からブランドが一堂に会しての、最新トレンドの発掘や情報交換が繰り広げられたことで、アジア美容業界の次の一歩に確実に寄与しているはずだ。

後編では、海外での販路を拡げるべく、日本からジェトロの特設展示スペースに参加した企業やブランドを取り上げる。

Text: 甲斐美也子 (Miyako Kai)

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