IPSY、世界最大の美容サブスクとして独走の背景にあるファンとアルゴリズム
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米ビューティ・サブスクリプションのIPSYが、充実したコミュニティプラットフォームと、独自のアルゴリズムによるパーソナライズした購買体験を提供することで、業績を大きく伸ばしている。さらには、初の自社ビューティブランドのローンチを発表し、ビジネスモデルの拡張にも抜かりはない。ひとり勝ちと称されるIPSYの新たな戦略と、その背景にある哲学を考察する。
IPSYは、カリスマメイクアップアーティスト、ミシェル・ファン(Michelle Phan)氏が2011年に創業した、ビューティボックス・サブスクリプションとECサイトを運営する企業である。急速に成長を続け、現在は月間300万人を超えるアクティブ会員数を誇る世界最大の美容系サブスクリプションサービスとなった。その収益は5億ドル以上で、美容以外の業界を含めても、サブスクリプションとしてはアリババ、アマゾンに次ぐ世界で3番目に大きなサービスだ。
そんなIPSYの強さの基盤は、他社のサブスクリプションサービスとは一線を画す充実したコミュニティプラットフォームと、膨大な顧客データを駆使して会員それぞれにパーソナライズした購買体験を提供するところにある。 2019年9月26日には、その基盤を強化する革新的な戦略を発表。続く11月には自社オリジナルのビューティブランドComplex Cultureを立ち上げ、第1弾の商品ラインナップを明らかにした。IPSYが打ち出す新たな動きを順に追いながら、彼らが目指すものを探っていこう。
好調な新サービスで客単価がアップ
ビジネスの柱となるビューティボックス・サブスクリプション「グラムバッグ(The Glam Bag)」は、月額10ドル(現在は12ドル・約1,300円))で、約50ドル(約5,500円)相当のさまざまなコスメサンプルを詰め合わせたポーチが毎月送られてくるという仕組みでスタートした。
グラムバッグ
撮影:東リカ
2018年8月には、サンプルではなくフルサイズを求める会員の声を反映して、月額25ドル(約2,700円)で約120ドル(約13,100円)相当の製品が5つ送られてくる新サブスクリプションサービス、「グラムバッグ・プラス(The Glam Bag Plus)」が誕生し、好評を得た。
今年2019年はさらに、愛を込めて“beauty-obsessed(美容オタク)”と呼ばれる会員に向けて、月額50ドル(約5,500円)で約250ドル(約27,300円)相当の製品が12個送られてくる「グラムバッグ・アルティメート(The Glam Bag Ultimate)」も登場した。
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