「パーソナルケア企業好調」「セレブブランド人気ランキング」がキーワード【海外トレンド 2022年7月- 8月】
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毎月1回、ビューティ業界にインパクトを与える海外ニュースを俯瞰し、注目すべきポイントと報道の裏側にある背景を解説。グローバルな視点からビジネスの潮流を紐解く。今回は、主力ブランド「ニベア」に牽引され2022年上半期の好調な業績を発表したバイヤスドルフなど、グローバルなパーソナルケア企業の動向と、インターネットで最も人気のセレブ美容ブランドランキングについて取り上げる。
バイヤスドルフのニベアなど、パーソナルケアブランドが好調も、各企業は慎重姿勢
★注目ポイント
欧米ではポストパンデミックのフェーズに移行し始めており、外出する機会が増加し店舗にも客足が戻ってきている。これに伴い、パンデミックにより健康・衛生志向を強めた一般消費者の日常的なケアへの関心がこれまで以上に高まり、パーソナルケア製品の需要が伸びた。その影響で大手メーカーの2022年上半期の業績はおおむね好調だった。ただし、世界的なインフレや不安定な国際情勢もあり、各社とも下半期に向けて慎重な姿勢は崩さない。
バイヤスドルフは、2022年上半期の決算において、世界全体のグループ売上高が44億7,000万ユーロ(約6,077億5,000万円)で、前年同期比15.5%増となり、本源的売上高の伸びは10.5%であると報告した。また、コンシューマービジネス部門の売上高は17.3%増の36億3,000万ユーロ(約4,935億4,000万円)で、すべてのブランドと地域で成長をみせ、なかでも、ニベア製品の売上が急増し、2桁の売上増となったことを発表した。総純利益は5億500万ユーロ(約686億6,000万円)で、2021年上半期から25%増加した。
主力スキンケアブランドのニベアのオーガニックセールス(既存事業売上高)は、上半期に11.2%増加。とくに、ニベアのLuminousシリーズのグローバルでの売上は前年同期比で倍増し、同ブランドのフェイスケア部門の主要な成長要因となっている。同じく、ニベアのサンケアもパンデミック前の2019年を上回る業績をあげ、デオドラントとシャワージェルも高い需要があり、ニベアのパーソナルケア部門で傑出した売上をみせた。
バイヤスドルフのもう一つの主要なスキンケアブランドであるラ・プレリーの上半期の売上高は、中国におけるCOVID-19のロックダウンの影響を受け、1.8%増にとどまった。デパートに入る前のPCRテスト義務など、多くの規制が売上に影響を与えたとされる。
一方、DermaブランドのEucerinとAquaphorは、本国ドイツと米国を含むバイヤスドルフの主要地域で26.6%の既存事業売上高の伸びを記録、中南米でも好調だった。
バイヤスドルフのヴィンセント・ワーナリー(Vincent Warnery)CEOは、「バイヤスドルフは年初からの力強い成長の勢いを第2四半期に持ち越し、グループレベルで2桁の売上増を達成した。また、収益性も大幅に改善できた」と述べている。
だが、同時に、なおも進行中のサプライチェーンにおける困難、潜在的なガス不足によるリスク、および、下半期に向けたインフレをめぐる懸念を表明。ワーナリーCEOは「2022年後半には、経済的・政治的緊張からさらなる逆風が吹くと予想し、現時点では業績予想を(修正せずに)据え置いて経過をみていく」としている。
バイヤスドルフと同様に、2022年上半期は大手パーソナルケア企業のほとんどで純売上高が増加しており、堅調に業績を回復している。しかし、コストの上昇や外国為替など通貨の課題といった、さらなる厳しい状況が待ち受けていることを各社CEOは予想している。
ユニリーバのアラン・ジョープ(Alan Jope)CEOは、2022年上半期の純売上高は14.9%増加し、プレステージビューティ部門とヘルス&ウエルネス部門はいずれも2桁成長を遂げ、上半期の全世界の売上高の4%を占めたと明かし、全体で成長を遂げ、困難な外的要因にもかかわらず順調に進んでいるとする。だが、コストのインフレ率が記録的な高水準で推移しており、2022年下半期にはピークに達する可能性が高いとみている。
これに対処するため、同社は消費者需要の弾力性と競争力の管理に取り組みながら、コスト高の一部を相殺するための価格決定を継続する予定だ。ジョープCEOは小売パートナーと建設的かつ事実にもとづく話し合いを続けながら、カテゴリー別、地域別に価格戦略を実施するとして、「インフレの課題は続いており、世界的なマクロ経済の見通しは不確実だが、2022年以降も卓越した事業運用に重点を置いていく」と述べている。
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のジョン・モーラー(Jon Moeller)CEOは、2022会計年度の業績発表に際し、純売上高は前年度比5%増の802億ドル(約10兆7,700億万円)、純利益は3%増加したとして「厳しいコストと事業上の逆風に直面しながらも、トップラインの成長、収益の伸び、株主への多額の還元を実現した力強い1年だった」と述べた。
ビューティ部門の既存事業売上高は前年同期並みで、ヘアケア事業の売上は、中国におけるパンデミックに起因する事業縮小やロシアでの事業縮小による販売数量減はあったもの、価格引き上げにより一桁前半の伸長となった。スキン&パーソナルケア事業の既存事業売上高は、価格引き上げと技術革新による販売数量の増加があったが、中国でのロックダウンの影響などから、スーパープレミアムブランドであるSK-Ⅱの売上が減ったため、差し引きで一桁前半の売上減少となった。
一方、ヘルスケア部門の第4四半期の純売上高は5%増、同じくベビー、フェミニン、ファミリーケア部門は3%増で、全体の売上高の向上に貢献した。
次年度は今より大きな逆風が吹くことが予想されるが、優越性、生産性、創造的破壊(古い非効率的な方法を駆逐する経済的な新陳代謝)、機動的で説明責任のある組織構造の推進といった、P&Gの総合戦略に引き続きコミットするとしている。
コルゲートパルモリーブは、2022年上半期の純売上高は全世界で3%増加し、とくに中南米で9%と力強い成長を遂げたが、原材料、パッケージング、ロジスティックのコストが継続的に上昇し、全世界的には純利益が16%減少した。
同社のノエル・ウォーレス(Noel Wallace)CEOは「広範なマクロ環境による大きな逆風にもかかわらず、第2四半期は堅調な結果で、当社の戦略が機能していることを示す」として、逆風を相殺するため引き続き価格改定を行い、プレミアムイノベーション、ブランド構築、デジタルに注力を続け、有機的売上高の成長を促進すると述べた。加えて、重要なのは、消費者の気持ちの変化と行動を綿密に追跡し、需要を予測することだとしている。
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