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ヒラリー・クリントンも激励に駆けつけ、若い女性を勇気づける美容フェスの意義

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4月21日・22日ニューヨークで開催されたBeautycon・NYCの現地レポート第2弾。前回紹介したミレニアルズやジェネレーションZの取り込みに成功した理由を受け、Beautyconが打ち出す新しい美の方向性を考察する。座談会では、ゼンデイヤからプラスサイズモデル、女性CEOなど多様な女性たちが登壇。会場にはヒラリー・クリントンまで激励に訪れた。

ユニコーンが象徴するダイバーシティの時代

Beautyconの基本スローガンは、「あらゆる人種、あらゆる性別、あらゆる年齢、あらゆる国とオリジン、あらゆるセクシャリティ志向、あらゆる宗教。あらゆる体型、あらゆるナチュラルビューティ、あらゆるユニコーン」というもので、ダイバーシティへの賛美を前面に打ちだしている。ちなみにユニコーンは、米国ではLGTBQの象徴となっているものだ。レインボー、ラメ、ピンクやブルーのカラーヘアともにLGTBQカルチャーの重要な要素であり、これらはまた、ジェネレーションZたちが大好きなアイテムでもある。

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来場者のメッセージが書き込まれたユニコーン像

会場の奥にはユニコーンが飾られたコーナーが設けられ、「What does beauty mean to you?(あなたにとって美とは何?)」という質問が書かれた黒板風の壁は、チョークで書き込まれた来場者のメッセージで埋めつくされていた。

「おのれを愛すること」をめぐるディスカッション

自分にとっての美とは何かという問いかけは、セレブやユーチューバー、インスタグラマーが登壇するパネルディスカッションのテーマにも反映されていた。美容フェスで行われる座談会だから主に美容トレンドについて語られるのかと思いきや、まったくそうではなかった。

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女性CEOたちがパネリストとして登壇した「SHE-eo」

たとえば「SHE-eo」(シーイーオー)というディスカッションでは、女性CEOたちが「ウーマン・エンパワメント(女性の活躍)」について語り、「美容業界はほとんどが、男性がCEOを務める男社会。女性実業家たちは助け合わなくてはならない」というパネリストの発言に大きな拍手がわいた。BEAUTYCONを立ち上げたモージ・マーダラCEOと親しいヒラリー・クリントン元国務長官が激励のためラウンジを訪れたというアナウンスも流れ、ウーマンパワーの高まりを後押しし応援する空気が圧倒的だった。

同時に「ダイバーシティ」「セルフ・アファーメイション(自己肯定)」といったテーマが取り上げられることも多かった。

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ステージで発言するゼンデイヤ。左はウーバーの最高ブランド責任者のボゾマ・セントジョン

映画『グレイテスト・ショーマン』にも出演している女優で歌手、ティーンズのファッションアイコンとしても名高いゼンデイヤが登壇した際は、観客がぎっしりと詰めかけ、通路に座り込んだジェネレーションZが溢れんばかりの声援をあげていた。

ゼンデイヤは美容や健康法についても語りつつ、「ブラックの女優としてハリウッドで働くことについてどう思うか?」という問いに対し、「私は(黒人としては肌の色が)ライトスキンだから、ハリウッドが受けいれられるバージョンのブラック女性であるという事実、それは変えていかなくてはいけない。私たちにはもっと多岐にわたる美があるのに、それが一面でしか代表されないなんておかしい」と発言。

また「自分を愛するとはどういうこと?」と尋ねられ、「ある日起きたら急に自分を愛するようになっていたなんてことはない。よちよち歩きの歩みでいいから、プロセスを少しずつ進めばいいと思う。私は自分に対してはネガティブな言葉は言わないわ」と答えていた。

このほかに興味深かったのが、「Niche is The New Norm(ニッチであるのは、新しい普通)」と題されたディスカッションだ。

女性ラッパーのLizzo、ジェンダーに挑戦するパフォーマンスを続けているトランスジェンダーや、「ブタ」「ブス」「デブ」と書いた自分の顔をメイクで変身させるチュートリアル動画で大反響を呼んだバングラデシュ系アメリカ人インスタグラマーNabela、韓国系モデルなど4人がパネリストとして登場したのだが、このうちの2人がプラスサイズと呼ばれる肥満体型の女性だった。ほんの数年前までは、米国でこうしたタイプの女性がビューティインフルエンサーとして人気を得るというのは考えられなかった。

体型に対する中傷に立ち向かう歌詞で知られるLizzoが、「化粧品会社はかつて“これが美”というのを教えてきたけれど、私たちの世代は商品を勝手に使いこなす。こうしろと押しつけるのではなくて、たんに製品を出してくれればいい。生まれた時は誰もが完璧なのに、劣等感を押しつけてくるのは、自社製品を売りたい化粧品会社のせい」と語る痛烈な言葉に、会場から大きな共感の拍手があがっていたことは、化粧品業界の作り手側は胸に刻むべきかもしれない。

等身大の自分らしさを求める消費者像

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サポーターとして招待されたという10代のモデル2人組

米国のミレニアルやジェネレーションZにとっては、メイクは自己表現の1つになってきている。「自分がこうメイクしたいからするのだ、他人がどういおうと、自分が好きならいい」「自分の最大のファンは自分」といった言葉が、ステージ上でもしょっちゅう飛び出していた。ビューティというのはもはや、かくあるべき美の規範よりも「自分らしさ」「自己承認」と密接に結びついて語られるのだ。そして、そんな彼女らがロールモデルとして賛同するインフルエンサーもまた、等身大の存在であることを良しとする。

実際の一般来場者に話を聞いてみたところ、Beautyconを知ったのは「YouTubeから」「インスタグラムから」「みんながその話で持ちきりだから」といった答えがほとんどで、「ネットワーキングしたいから」「インフルエンサーに会いたいから」参加したという人がとても多い。

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ミュグレーのブースでセルフィーを撮っていた姉妹

「ここには何でもある。何をやってもいいから楽しい。何をしても、どういう格好でもかまわない。自由がある」と語る10代の姉妹の一方で、ミレニアル世代と思われる主婦は「大企業の商品ではなくて、独立系の新しいブランドを探しに来た」と話し「有色人種の女性が運営している独立系の会社をサポートしたい気持ちがある」と付け加える。彼女たちの消費行動の根底には、自分らしさを大切にする考え方と、マイノリティや企業理念が共感できるところを選んで支援したいという意思があることが感じられた。

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カラードの肌に対応したBLK/OPL

美というものは時の流れによって変化する。肌の色も、性別も、人種も、宗教も、文化的な背景も、ありのままに受け入れて、他人と比べるのではない、それぞれが信じる固有の美を一人ひとりが磨く時代の到来を思わせる今回のBeautyconだった。

Text&photos: 黒部エリ(Eri Kurobe)

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