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米国のティーンたちが恋こがれる美容フェス、Beautycon 2018の熱い2日間

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まるでアイドルバンド総出演の音楽フェスのように、ティーンたちが押し寄せる美容フェスティバルがある。それが、2018年4月21日・22日の2日間ニューヨークで開催されたBeautycon・NYCだ。ガーリーに彩られたインスタ映えする会場では、人気ユーチューバーの登壇にミレニアルズやジェネレーションZが歓声をあげる。何が彼女たちをひきつけるのか。その理由を2回にわたって探る。(後編はこちら

1万6,000人が参加するNY最大のビューティフェス

2018年4月21日・22日、ニューヨーク市マンハッタンにあるジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターを会場にBeautyconが開催された。その名のとおり美容に特化したコンベンションで、NYでの開催は2回目となる。

参加費用は一日券39ドルにはじまり、特典付きのオールアクセスパッケージ999.99ドル、ホテル宿泊付きの1999.99ドルと幅広いが、全てのチケットがソールドアウトになり、2日間の来場者数は1万6,000人にものぼる。

造花で彩られたターゲットのブース

会場に入って最初にパッと目にとまるのが巨大な花飾り。全米にあるチェーンスーパーで、最近コスメの品揃えの充実ぶりが光るターゲット(Target)のブースである。見まわすと、広大な空間はどこもかしこもガーリーな雰囲気に溢れている。ブースを構える参加ブランドは90以上、かかわっているクリエイターは150名を超える。各ブースともメイクやヘアスタイリング 体験、自社製品のお試しコーナーなど趣向を凝らして来場者を呼び込んでいる。

今年のテーマは「ビューティバザー」であり、「ルールを破り、リスクを引きうける者たちのコミュニティ」というスローガンが挑発的だ。来場者は圧倒的に女性。ほとんどが友達と連れだって来ていて、20〜30代のミレニアルズが主流を占め、さらに特徴的なのは10代の少女たちも多いことだ。高校生のグループもいれば、母親に連れられて来場したローティーンも少なくない。

ニューヨークでは美容関係のトレードショーはいくつも開催されるが、基本的には業界人向けのBtoBイベントで、10代が来ることはない。ジェネレーションZと呼ばれる年代を取り込めるBeautyconの魅力とは何なのだろう。

ターゲットのブースのブランコで撮影する少女たち

そこで、ターゲットのブースでセルフィーを撮っている少女たちに問いかけてみた。2人はともに15歳で、Beautyconは昨年に続き2回目。今年も来た理由は「好きなユーチューバーが来ていて会えるから」だそう。何が楽しみ?という質問には「いっぱい写真が撮れて、メイクしてもらったりできること」と答えてくれた。引率役の父親が同伴しており、「今日の僕の役目は、娘たちのパパラッチをすることだよ」と、こちらも嬉しそうだ。彼女たちは純粋に“ビューティの遊園地”としてのBeautyconを満喫しているらしい。

BtoBからBtoCとなって急激に成長したBeautycon

若い世代からの支持を得て急成長したBeautyconの背後にある頭脳といえば、モージ・マーダラCEOにほかならない。もともとBeautyconはロスを拠点にしてユーチューバー同士が出会うミートアップの場だったのだが、マーダラ氏が2014年にCEOに就任し大きく方向転換、BtoCのビューティイベントに生まれ変わってから規模が急激に拡大し、現在はロサンゼルス、ロンドン、NYの3カ所で開催されるまでになった。

マーダラCEOはカリフォルニア大学卒。デジタルのクリエイティブエージェンシーExopolisでCEOを務め、「Blackberry Loves U2」の広告キャンペーンで大成功を収めた。そして、デジタル・コンシューマー・キャンペーンを請けおうMade With Elasticというエージェントを立ちあげた経歴をもつ。彼女のツイッターの自己紹介には「早期テック利用者、デジタル信者、カルチャーの管理人、エンターテイメント・マーケティングの黒帯有段者」と書かれており、立ち位置が明快だ。

こうしたマーダラCEO のもとで、Beautyconは「ミレニアルズとジェネレーションZに向けたイベント」とコンセプトをはっきり打ち出しており、参加システムも徹底的に若い世代向けにしている。

画像:参加申し込み後には、リストバンドやパンフレット、ノベルティが送られてくる

あくまでも若い世代の消費者向けのイベント

オフィシャルサイトから申し込むと入場券としてリストバンドが送られてくるので、これをアクティベイトする。サイトにはスケジュールが細かく表示されることはなく、アプリをダウンロードすると、当日に「今からメインステージでディスカッションが行われます」といった通知が送られてくる方式だ。事前に日程表が出ないあたり、業界インサイダーにとって使いやすいシステムとはいえず、トレードショーとしての機能はない。あくまで、一般消費者のためのフェスという位置づけなのである。

来場キットには、いかにも10代が喜びそうなシールやアップリケなどノベルティが同封されている。このあたりの手法は、ミレニアル世代に的を絞ったアプローチで成功したGlossierとも似ている。

無料メイクアップ体験ができるSUTRAのブース

大手ブランドと新興の独立系ブランドがともに出展

では、具体的にどんなブランドが参加しているのかを紹介していこう。
今回のBeautyconでは、新しく2つのカテゴリーが設けられた。ひとつがヘルスとウェルネスに特化したエリア「B-ウェル(Be Wellの略)」。もうひとつが「K-タウン(Korean Townの略)」で、韓国系スキンケアやコスメ、ファッションなどを、韓国というくくりにまとめ大々的に押しており、米国市場での韓国ビューティパワーの伸びを象徴している。

コリアンビューティを一堂に集めたK-タウンエリア

Beautyconでは、ロレアルやカバーガールといった大手ブランドに並び、URBAN DECAYDashing Devaアナスタシア・ビバリーヒルズなど、勢いのあるブティックブランド、そして、新興の独立系ブランドが数多く出展しており、ティーンヴォーグ賞を受賞した英国発のPixiや、ナチュラル・ヘアケアのNOT YOUR MOTHER’S などが知られている。

興味深いのは、参加する新興ブランドにはいくつかきわだった特徴があるところで、その1つは「若年層向けのリーズナブルでポップなブランド」が多い点だ。

スタッフのパステルカラーのヘアもキュートなLIME CRIME

ポップなカラーのヘアダイのLIME CRIME や遊び心のあるメイクアップコスメを揃えたPOPessence が代表的な例だ。またCATRICELOV といったドイツ発ブランドも驚くほどリーズナブルな価格と機能性で人気が高い。

2つめには「ダイバーシティに配慮したブランド」が増えていること。有色人種の肌に対応したメイクアップコスメの、BLK/OPL、アフリカ産の天然原料を積極的に使用するNYAKIOとSHEA MOISTURE。さらにカーリーヘアにむけたヘアケアを提案するEDEN BODY WORKSなど、多岐にわたる製品がみられる。

3つめとして、クルエルティフリー、ビーガンといった「エシカルな面を打ち出すブランド」が目立つ点もあげられる。VOW BEAUTYやリップバームのWINKY LUX、フルーツや野菜を原料にしたフェイスマスクのYES TOなど、動物実験をしないことや天然の植物由来の原料へのこだわりをうたう製品が目につく。またBeauty Kindのように、売上げの5%を自分が支持する活動団体に寄付できるコンセプトをかかげるブランドもある。ミレニアル世代の共感を得るには、エシカルな姿勢がいかに重要かという表われだろう。

ブース人気の勝敗を決めるのは「インスタ映え」と「体験」

ナイスバディな男性モデルと一緒のショットが撮れるM・A・C

90あまりのブランドがひしめくなか、来場者を引きつけるうえで絶対にはずせないものとなっていたのが、セルフィーなど写真が撮れるコーナーだった。ブランドとしては1人でも多くの来場者に自社のハッシュタグをつけて画像をSNSにアップしてもらうことをもくろんでいる。そのために、いかに“インスタ映え”するセッティングを作れるかが鍵だ。

ブースをプールにみたて浮き輪を用意したレブロン、滑り台を設置したamika、上半身裸の男性モデルとツーショットが撮れるM・A・Cなど、いかに写真を撮りたくなるか、そしてそれをSNSで拡散したくなるか、各社とも知恵を絞っているのがうかがわれる。

ブースの集客のために、さらに上乗せしたアイデアとしては「体験」が大きい。ポンズでは、参加者の手にカラフルなペインティングをして、それをポンズのコールドクリームできれいに落とすという「体験」を提供してみせた。若い世代にとっては、ポンズといえば母親や祖母が愛用するイメージが強いと思われる。だが、こうした体験をすることで、20代の参加者からも「ポンズが面白かった」という声が聞かれた。

また、アナスタシア・ビバリーヒルズでは、参加者たちに輪投げゲームをさせて、その得点に応じたサンプルを賞品としてあげるという方法を取っていた。また、キラキラのラメのフェイスペインティングをして、髪を猫耳ヘアにしてくれるブースもあり、これもジェネレーションZたちに大人気だった。

そしてPRの方法としては古典的なのだが、功を奏していたのが“かぶりもの”ノベルティだ。たとえばNYAKIOでは、ユニコーンの角がついたゴムカチューシャを配っていたが、これが非常にかわいらしく、しかも目立つので、拡散に役だっていた。

NYAKIOのユニコーンカチューシャ

なかでも目立っていたのが、アモーレパシフィック。同社はグループ全体のブランドをひとつのブースにまとめたのだが、入場する人にLEDでピカピカ発光する王冠のようなカチューシャを配布。つけている人を見かけたほかの来場者が「どこでもらえるの?」と尋ねた結果、ブースを訪れるという抜群の拡散効果を得ていた。

ユーチューバーとのミートアップ

ユーチューバーとのミートアップを設定するブースも多かった。

セレブ御用達ヘアスタイリストのTokyo Stylez(中央)

パリス・ヒルトンは本人が自ら広告塔となって、自社ブースで来場者と写真を撮るサービスを提供。カイリー・ジェナーやカルディBといった今をときめくセレブのウィッグ・スタイリストとして有名なTokyo Stylezは、舞台上でモデルのウィッグを実際にカイリー風ボブに切っていくデモンストレーションで好評を博した。ちなみにTokyoはトーキョーではなくて、トキオと発音する。彼のスタイルを見ると、どのあたりが東京なのかは正直、謎なのだが、少なくとも東京がヒップだという認識はされているのだろう。

アーバンディケイのブースは長蛇の列

以上のように、多くのブースが工夫を凝らしたなかでも、ずば抜けて人気を集めていたのは、M・A・Cとアナスタシア・ビバリーヒルズで、新作を買い求める来場者が多く見受けられた。またアーバンディケイの行列も非常に長かった。

これだけミレニアルズとジェネレーションZを集客しているBeautycon。来場者たちに足を運ばせる理由はどこにあるのか、そして、Beautyconが打ち出す新しい美容の方向性とは何なのか、後編でレポートしたい。

Text&photos: 黒部エリ(Eri Kurobe)

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