音声コンテンツは体験を拡張する「広義のAR」 stand.fm中川綾太郎氏の試み
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SNSや動画プラットフォーム全盛のこの時代、スマートフォンにおける「画面の取り合い」はすでに飽和状態だ。そこで脚光を浴びているのが「音声」である。「stand.fm」 は音声のもつ可能性を追求し、新たなコミュニケーションと人々のつながりを構築することに挑戦している。運営元の株式会社stand.fmの 代表取締役共同代表を務める中川綾太郎氏は、それを「声でつながるやさしい世界」と表現する。デジタル時代の音声コミュニケーションの可能性を探る。
続々と登場する音声配信プラットフォーム
音声だけなら、歩きながらでも、何かをしながらでも、情報に接することができる。AmazonのAudibleで本を「聴く」人も増え、Z世代やその下の若い層はスマートスピーカーや音楽などから「音声」に慣れ親しんでいる。
米国では音声SNSのClubhouseというプラットフォームを運営するスタートアップが約100億円の企業価値と評価された。ネットフリックスも音声メディアに参入するという報道もあり、2021年は日本でも音声コンテンツのさらなる台頭が予感される。
美容業界ではASMR系のYouTuberをプロモーションに取り入れる企業もある。ラジオの復活という見解もあるなかで、デジタル時代の音声コミュニケーションがさらに活発になれば、当然プロモーションの一手段としての活用が予想される。
実際に「声」に着目したコンテンツ配信プラットフォームは国内でも続々と現れ始めている。Stand.fmのほかにも「Voicy」や「Spoon」などの知名度が高く、UUUMが立ち上げた「REC.」などもある。海外では欧米を中心にポッドキャスト(音声配信)がトレンドとなって久しく、AppleやSony Musicがともに米国の独立系ポッドキャストとして大手のWonderyの買収を画策している。日本でもラジオがインターネットで聞けるサービスradikoは、アプリ会員が1,000万人目前だという。
この音声コンテンツトレンドを加速させているのが、家庭用AIスピーカーの普及や音声入力だ。情報のインプット・アウトプットを音声で実現することを可能にし、画面に向かってキーボードを叩く、あるいはスマホでの文字入力という検索や消費の習慣が、徐々に変化しようとしている。世界的には、若い世代はもとより、機械操作に疎い層をも巻き込みながら進む大きな行動変容だ。
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