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花王など日本企業が積み重ねる消費者が「使いたくなる」サステナブル容器のいま

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ESGに積極的に取り組む花王に代表されるように、サステナブルな社会を目指し、多くの日本企業がパーソナルケアや化粧品容器のエコ化の推進に努めている。具体的にはプラスチック使用量を削減するためのリサイクルや、生分解性素材への転換、リフィルの導入などだ。各企業の試みをみていく。

日本では日用消費財における詰め替え容器の利用が広く浸透しており、ドラッグストアやスーパーマーケットのヘアケア製品、洗浄剤の棚には詰め替え用商品が数多く並んでいる。だが世界的にみると、日本はプラスチック使用量が多い国のひとつだ。2018年に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書によると、日本人1人あたりのプラスチックの消費量は年間32kgで、米国に次いで2番目に多い。

海洋汚染など地球規模の自然環境の悪化に伴い、環境の保全と持続可能な社会の実現に向けた意識の高まりを受けて、国内の各メーカーはプラスチックの使用量を抑える容器の開発を進めている。しかし、消費財全体の使用量が増えているため、日本のプラスチック使用量は増加し続けているのが現状だ。そのため各メーカーは環境にやさしい容器の開発はもちろん、消費者の価値観や生活習慣、社会の仕組み自体を変えていくことも求められている。海外での取り組みを取り上げた記事に続き、今回は日本国内メーカーの容器エコ化の取り組みについて紹介する。

業界のスタンダードや生活習慣まで刷新、花王の容器開発技術

ESG(環境・社会・ガバナンス)に早くから積極的に取り組んでいる企業が花王だ。環境省主催の「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門で金賞を受賞したほか、2019年の「世界で最もサステナブルな企業100社」に選定されるなど、花王の取り組みは国内外で高い評価を受けている。

同社では包装容器の開発に対しても、1960年代から力を注いできた。1968年に包装容器の開発を専門に行う「包装技術部」を設置し、1995年には現在の「包装技術研究所」の前身となる「包装技術開発研究所」を設立。現在は東京都墨田区のすみだ事業場を中心に、消費財から化粧品まで多数の容器の開発を行っている。

サステナブルというだけでなく、「使いやすさ」を大前提として、長年にわたり包装容器を研究し続けてきた結果、それまでの常識を覆す新しい容器が誕生している。その象徴的な存在のひとつが、シャンプーとリンスの容器につけられている「きざみ」だ。目の不自由な人でもボトル側面のギザギザを触っただけでシャンプーとリンスを識別できるように開発されたのが1991年のことである。これが業界の統一規格となるよう花王が各社に働きかけ、現在では日本のスタンダードとなった。花王では今、詰め替え用品のキャップにもこのきざみを採用している。

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