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美容ブランドと自宅にいるユーザーの「つながり」を感じるコミュニケーション事例

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COVID-19の影響下で厳格な外出制限が長期化する欧米では、美容ブランドが自社コンテンツで自宅にこもらざるをえない人々のメンタルやライフスタイルをサポートしはじめている。さらに一歩踏み込んで双方向のコミュニケーションも活発になってきた。一方、都市部での外出自粛が強まる日本では、インフルエンサーらが“家にいる”ことの呼びかけを始めた。ブランドとユーザーのコミュニケーションのあり方が変わりつつあるなかで国内外の事例を紹介する。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、美容業界にも多大な影響が波及している。米国ではセフォラやウルタなどの化粧品リテールをはじめとし、多くのブランドが店舗を休業している。オンラインストアに顧客を誘導するブランドも多い一方で、配送センターの閉鎖に伴い発送のめどが立たないブランドも散見される。

世界レベルで前例のない危機的状況にあるなか、大手企業を中心に多額の寄付のほか、消毒ジェルやマスクの緊急製造、石鹸など自社製品の無償提供といった、業界全体で協力し助け合うことでCOVID-19を乗り越えようとする機運が生まれている

そうしたなかで、エシカルなポリシーを持つブランドや、コミュニティとのつながりに重きをおくブランドでは、自宅でできるセルフケアの紹介に加えて、ともに困難に立ち向かう仲間としてユーザーのメンタルをケアし、結束を強めることで社会に貢献しようとする動きがあらわれている。

メンタル・セルフケアに関する情報を発信

実際、大勢の人々が厳格な外出制限や自宅隔離を余儀なくされる状況で、ストレスや不安のケアは深刻な社会問題になってきており、SNS上でも#selfcareのハッシュタグを頻繁に目にするようになった。これまでは、おすすめ商品の紹介、メイクアップのコツや、チュートリアル動画などの投稿が一般的だったビューティブランドのSNSアカウントが、ヨガや瞑想といったメンタルケアに関わる内容にシフトする傾向もみられる。

図1

Goop
Webサイトのトップで
同社のCOVID-19対策と店舗の閉店、
オンラインストアの継続を発表

グウィネス・パルトロウ率いるクリーンビューティ&ライフスタイルブランド「Goop」では、同サイトのメンタルウェルネスに関する記事コンテンツへのトラフィックが急増しており、COVID-19が流行する以前に掲載された記事「不安を低減する8つの方法」は、3月の第3週のアクセス数が、その前の4週間の平均と比較して734%増加した。サイト流入のキーワードとしてはメディテーション(瞑想)やオンラインワークアウトといった単語が増え、ウェルネス関連の記事はPV(ページビュー)がアップしているとオンラインメディアのGlossyが報じている

さらにGoopでは、今の社会状況にフォーカスしたコンテンツの割合を増やしている。「毎日を乗り切るためのツール」や「子ども向け自宅学習のおすすめコンテンツ」、また「隔離生活で楽しみを見つけ社会をサポートする方法」「今パートナーとどう親密さを深めるべきか?」などのほか、ライフスタイルブランドらしく実用的な育児系情報も配信している。

またInstagramのストーリー上で「コミュニティ・オフィス・アワーズ」と題したインタラクティブなフォーラムをシリーズで開催。これはGoopがフォロワーに取り上げて欲しいテーマのリクエストを募り、それに対して専門家が回答するというもので、第1回目のセッションで一番多く寄せられたリクエストは不安に関するものだった。Goopのチーフ・コンテンツ・オフィサーのエリス・ローネン(Elise Loehnen)氏は「今は間違いなく非常事態にあり、誰もが全く先のみえない日々を過ごしていて、抱えた不安の対処法を探している」と語った。また、ポッドキャストでも有識者を招いてCOVID-19に関連する正確な情報を発信するなど、情報の質にも気を配っているとする。

ニューヨークのウェルネスハブ(ウェルネス関連の製品やサービスを揃えた複合施設)「Chillhouse」はマンハッタン内にある2つの店舗を4月末まで閉店しており、グッズを販売するオンラインストアのみオープンしている状況だ。代わりに同社が運営するオウンドメディア「The Chilltimes」でセルフケアに関するコンテンツを発信しており、同サイトには、「不安をやわらげる5つのセルフケア」といったタイトルで、家庭でできるケアの紹介にあわせて、インセンスステックやアロマキャンドル、マグネシウムのサプリメントなど関連商品をピックアップした記事や、メンタルヘルスを向上させるためのコラムなどが並ぶ。

図1

The Chilltimes

2010年創立、クルエルティフリーを掲げるクリーンビューティ・スキンケアブランドの「Indie Lee」もライブストリーミング「マインドフル・マンデー」シリーズを開催。これはInstagramのストーリー機能を使って自宅隔離のストレスと向き合う方法について話し合ったりシェアしたりするものだ。「あなたの心の声に耳を傾けて。休むべき時は休息を。誰かが恋しくなったら電話を」「スクリーンの見過ぎはNG。デジタルデトックスと15分のストレッチをしよう」「今は生産性を求めるのでなく、あなたの内面を大切に」といったアドバイスや励ましの言葉が交わされる。これまでのライフスタイルとは異なる生活を強いられるなか、心と体のバランスをどう取るべきかという情報を発信し、ユーザーに寄り添うコンテンツとなっている。

図1のコピー

Instagram上で開催された
「マインドフル・マンデー」のキャプチャ

またInstagramライブではメイクアップアーティストのクリステン・アネット(Kristen Arnett)氏ら美容・ウェルネス業界からゲストを招き、同ブランドのアイテムを用いたセルフケアルーティンを公開した。あわせて、創業者のインディ・リー(Indie Lee)氏は「今は売り上げを追う時期ではない。この危機を乗り越えるとともに、いかにコミュニティを一体化するかが重要だ」と語っている。

また同社はオンライン講座「バーチャル・マスタークラス」を開催。リー氏自らが、マインドフルネスやクリーンビューティに対する自身の哲学を語るとともに、実際にしている朝のスキンケア方法を紹介する。オンラインで申し込み後、Indie Leeから送られてくるサンプルを使ってクラスを受講する流れになっており、参加費は10ドルだが、チケットはIndie Leeのオンラインストアで10ドルオフクーポンとして使えることから、実質無料である。

参加型のオンラインイベントも多数開催

Indie Leeのように、ユーザーを巻き込んだオンラインイベントタイプの取り組みを行う企業はほかにもある。「Wander Beauty」はInstagramで自宅隔離の間どう過ごしているかなどを問うサーベイを行い、ユーザーから寄せられたコメントをコミュニティにシェア。また、フィットネスプログラムを提供する「P.volve」とパートナーシップを組み、ライブストリーミングのワークアウトクラスを開催するなど、一方向のコミュニケーションに留まらない体験型のコンテンツを提供している。

図1

Wander BeautyとP.volverとが行った
フィットネスプログラムの様子
写真奥の女性がWander Beautyの
共同創始者リンゼイ・エリンソン
(Lindsay Ellingson)氏

また、巣ごもり続きで“退屈”しているブランドファンを楽しませるためのオンラインアクティビティを提供する事例もある。

LVMH傘下の「Fresh」は同社のスタッフが主宰するデジタルミーティングへの参加をユーザーに呼びかけたほか、Instagram上で「ビューティビンゴ」を開催。ビンゴの項目は「一週間ノーメイクで過ごしてみよう」や「ビンジ・マスキング(一度に2種類以上のフェイスマスクを使用すること)」などセルフケアに関する内容で、結果をコメント欄に書き込んだり友達をタグ付けしたりすることで、直接人に会わずとも、世の中とつながり双方向のコミュニケーションがとれるコンテンツを投稿している。

また2015年創業のヴィーガンスキンケアブランド「YOUTH TO THE PEOPLE」はInstagramライブを通してオンラインイベント「GOOD VIBES AT HOME」を開催した。3月26日から28日までの3日間、同社のダイレクター・オブ・エデュケーションのローラ・クライン(Laura Cline)氏による「フェイシャルケアアイテムの手作り講座」や、共同創業者グレッグ・ゴンザレス(Greg Gonzalez)氏のライブDJのほか、カーディオダンスクラスなどが行われた。告知用のInstagram投稿では「みんなに良いバイブを送りたい。この自主隔離期間、私たちはみんなの気分を上げ、インスパイアし、つながりあえるイベントをしたい」と宣言し、ファンコミュニティを盛り上げた。

UUUMクリエイターたちの呼びかけ

また、現在のところは、欧米並みのロックダウン(都市封鎖)に至っていない日本では、「自分を感染させず、他人へも感染させない」ために、自主的に外出をやめる選択を呼びかける動きが出ている。

ユーチューバーなどのマネジメントを行うマルチチャネルネットワークのUUUMでは、休校や在宅勤務により長時間を自宅で過ごす人々へのエールと、自分とみんなのために、休日もできるだけ自宅で過ごそうというメッセージを込め、UUUMクリエイターが「#うちで過ごそう」を付けたTwitter投稿に取り組んでいる。 クリエイターたちが、エクササイズや料理、ゲームなど、それぞれの自宅での過ごし方を動画や画像で紹介する内容で、170を超える投稿があがっている(2020年4月3日時点)。

図1

出典:UUUM

また「LUSH」は感染拡大を防ぐ目的で、新宿店と池袋駅前店、渋谷駅前店にて、同社のハンドソープを無料で使い手洗いができるようシンクを一般に開放した(2020年4月8日~5月6日まで新宿店など休業)。またWebサイトでも自宅でできるセルフケア方法をレクチャーするブログを公開している。

図1

LUSHのセルフケアに関するコンテンツ

先行きが不透明ななかで、不安を抱えながら自宅にこもっている人々のメンタルケアを求める気持ちに応える各ブランドのアクションや、不自由な生活を少しでも和らげるための提案、そして、自分のため、みんなのために外出しないことを促す活動の背景にあるのは、社会やコミュニティと個人の連帯を訴える意志である。

自分にできることでCOVID-19との戦いに貢献しつつ、お互いを思いやり、手をとりあって状況を乗り越えてゆく。これこそが、この未曾有のパンデミックを収束に導く手段であることを人々は理解しはじめている。

Text: 橋本沙織 (Saori Hashimoto)、BeautyTech.jp編集部
Top image: BRUNO CERVERA

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