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私たちは独りじゃない。世界の美容業界は助け合ってCOVID-19を乗り越える

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今日、4月1日はエイプリルフールだ。だが、今日の企画は「エイプリルワイズ」と称したい。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の勢いが止まらないなか、罪のない嘘による小さな笑いより、未来に希望をつなぐ真実のニュースがふさわしい。COVID-19がもたらすさまざまな困難に手を差し伸べる、美容業界の “エイプリルワイズ” な試み、寄付やサービスの無償提供などを紹介する。それはSolidarity(連帯)、そして私たちは独りじゃないというメッセージだ。

COVID-19は症例数が78万件を超え、なお拡大を続けている。ヨーロッパ各国をはじめ、全国規模のロックダウン(封鎖)や厳格な外出制限を定める国も増えている。多くの人が不自由な生活を強いられるのはもちろん、医療現場での物資の不足や医師への感染も伝えられる。そんななか、化粧品生産ラインを活用する消毒ジェルの製造や関係団体への寄付、自社製品やサービスの無償提供など、自分たちにできることをしようと多数の美容関連及びそのほかの企業が立ち上がっている。

ロレアルのように、COVID-19で休業を余儀なくされたヘアサロンや化粧品専門店などの中小ビジネスに対し、営業が再開するまで売掛金の回収を停止したり、ディストリビューターへの支払いを早めたりと、資金面で業界をサポートする企業もある。

また、ヨーロッパの大手化粧品リテールDouglasは3ヶ月間、自社ECサイトをマージンなしで無料開放し、中小の小売店や化粧品メーカーが同サイトを通じて製品の販売ができるようにすると発表した。

既存の生産ラインを使い消毒ジェル製造

LVMH、エルメス、ロレアル、クラランス、コティ、そしてエスティ ローダーなどの大手化粧品・香水ブランドが次々とスキンケアや香水の生産ラインを利用し、手指の消毒用サニタイザーの製造を開始。医療機関を中心に無償提供をはじめた。

ロレアルの「ガルニエ」は、自社製品を置いてくれる顧客であるスーパーマーケットなどの欧州の食料品店に数百万本の消毒ジェルを提供する。これは、封鎖のなかでも生活の生命線である食料品店は開いており、感染リスクにさらされながら働く従業員の健康を守れるようにとの配慮からだという。

こうした動きに呼応して、米国FDAは感染が収束するまでの期間、市販薬メーカーがハンドサニタイザーを製造しやすいよう認可基準を緩和するガイダンスを発表している。

医療現場にマスクを緊急供給

マスクもまた医療の現場で深刻に不足しているもののひとつだ。

LVMHはグローバルネットワークを活かして、中国でマスクの生産が可能な業者を確保し、医療関係者(医師、看護師、薬局)向けに1,000万枚のマスク(700万枚が外科用、300万枚がFFP2タイプ)を発注した。少なくとも4週間は再注文が可能で4,000万枚が配布できるとする。500万ユーロ(約6億円)相当の初回費用はLVMHが負担する。

また、サンローランとバレンシアガも医療用マスクの製造に乗り出す。親会社のケリングによると、生産工程と材料が認可され次第、中国で生産し、300万枚をフランスの保健関連機関に提供するという。同じくケリング傘下のグッチは、マスク110万枚と医療用オーバーオール5万5,000着をイタリアに寄付する予定だ。

関連団体をサポートする多額の寄付

COVID-19被害者支援団体や保健機関への大型寄付も目立つ。

Fenty Beauty の共同経営者であるリアーナは、自身のチャリティ団体を通じて500万ドル(約5億4,000万円)を複数の団体に寄付。ロレアルは100万ユーロ(約1億2,000万円)をパートナーであるNPOに、エスティ ローダーのチャリティ基金は7,900万ドル(約85億5,000万円)を、国境のない医師団や、ニューヨーク・コミュニティ・トラストの新型コロナウイルス部門、赤十字社、中国婦女発展基金会に拠出した。ヘンケルはWHOと国連に200万ユーロ(約2億4,000万円)を寄付している。

一方、Huda Beautyは、COVID-19による外出制限で仕事ができないフリーランスのメイクアップアーティストに対し、1人あたり1,000ドル(約10万8,000円)、総額10万ドル(約1,080万円)の寄付をすると発表した。

Kylie Cosmeticsを率いるカイリー・ジェンナーも、米国の医療関係者に向けてマスクや防護服を供給するために100万ドル(約1億800万円)の資金を提供した。

重要な市場と位置付ける中国での寄付活動に積極的なのは資生堂だ。1月末に武漢市慈善総会に100万元(約1,560万円)を寄付したほか、2月には上海慈善基金会に1,000万元(約1億6,000万円)を寄付している。

外出制限が発令されると、食品の大量購入は避けるようにとの勧告にも関わらず、不安な生活者はパニックになり買い占めに走りがちだ。その結果、食料品のディストリビューションが滞り、生活困窮者に十分な食料がいきわたらないという事態が発生する。

それに対応するため、キールズは50万食の食事を、チャリティ団体Feeding Americaと関連するフードバンクに供給した。P&G傘下に加わった脱毛ブランドのBillieと、インディブランドのGrande Cosmeticsも収益の一部を米国のフードバンクに寄付している。また、レディー・ガガのメイクアップブランドHaus Laboratoriesも、1週間の売上の20%をニューヨークとロサンゼルスのフードバンクに寄付した。

石鹸など生活必需品を提供

長期の外出制限により慢性的に物資が欠乏する地域の医療関係者や一般生活者をサポートするため、自社の商品などを届ける施策も行われている。

資生堂(中国)投資有限公司は中国婦女発展基金会のプロジェクトに賛同し、中国専用ブランド「AUPRES」のハンドクリームとボディークリーム、「PURE&MILD」のハンドクリーム、合計7万7,000個の商品を支援物資として提供した。同社は、欧州では消毒ジェルを特別生産して医療施設に送付するほか、日本ではハンドソープなどの商品を自治体に配っている

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出典:国際商業ONLINE

また、花王が武漢市の医療従事者支援対策として、大人用オムツ23万枚とハンドソープ6,000本を寄贈したほか、ユニリーバも3月25日付けで、石鹸、消毒液、漂白剤、食品など1億ユーロ(120億円)相当の製品の寄付を発表した

ロクシタンでも医療で働く人々のために、7万リットル相当のハンドサニタイザーや、自社製品の石鹸やハンドクリーム2万5,000個の寄付をスタートしている。

デジタル化推進サービスを無償化

COVID-19による消費の落ち込み、インバウンド事業の停滞、実店舗の売上不振が懸念される日本では、オンライン施策の拡充が浮揚のカギとみられており、ベンチャー企業を中心にさまざまなレベルでデジタル化を助けるサービスの無償提供がはじまっている。

その一例としては、YouCamメイクのパーフェクトは美容部員のトレーニングや研修に特化したARツール「ライブARトレーニング」を、化粧品メーカーと小売店を対象に、7月末まで無償で提供する。

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ライブARトレーニング 
出典:パーフェクトプレスリリース

また、ミニアプリやチャットボットなどの自動接客ツール「anybot」を運営するエボラニは、従業員の体温や体調、安否確認を自動で行うサービス「anybot PROJECT」を立ち上げ、4月末まで無償で提供。VR技術を活用した職場体験や研修などの事例を持つジョリーグッドは、アドベンチャーワールドと共同で、「VR動物園」を障害者支援施設で過ごす子どもたちに向けて無償提供。外出できないストレスの緩和を図る。

日本最大級の中国人女性プラットフォームを運営するLIANBABYは、中国人インフルエンサーによるPRサービスの2ヶ月間無料提供を開始した。COVID-19の影響で、中国市場でのPRや販売が伸び悩む企業は、商品の提供と引き換えに、インフルエンサーによる商品体験やクチコミ拡散などのPR活動が行える。

また、大手企業のように多額の寄付ができるほどの資金がないD2Cブランドやインフルエンサーなどが、ユーザーやコミュニティに向けて「ともに頑張ろう」という励ましあいのメッセージを発し、人々を元気づけることで社会に貢献しようというソーシャルキャンペーンも活発になっている。BeautyTech.jpでは、こうした事例の紹介もしていく予定だ。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: Tyler Nix via Unsplash

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