AI+人のレコメンドはどう進化するか。先行する米Stitch Fix、仏Jolimoiからの学び
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テクノロジーと人を組み合わせたパーソナライズサービス設計を重視する傾向について、前編では、株式会社ZOZOが2023年2月にスタートさせた「niaulab by ZOZO」の超パーソナルスタイリング体験を紹介した。後編では、コロナ以前からデータに加えて人の提案を加味したレコメンドで急成長を遂げた欧米のオンライン専売小売企業、ファッションのStitch Fixと美容のJolimoiについて、パンデミック中〜後のビジネスをどう変化させたのかを振り返り、今後のパーソナライゼーションの行方を考察する。
■米国ファッション企業「Stitch Fix」
新規会員獲得に向けて、AIによるキュレーション提案サービスを導入するも苦戦
「Stitch Fix」は、2010年に米国でスタートしたAIとスタイリストの知見を組み合わせたオンラインパーソナルショッピングサービスで、2017年11月には米ナスダック市場に上場を果たし、創業者のカトリーナ・レイク(Katrina Lake)氏は、当時、上場企業の最年少女性CEOとして注目を集めた企業だ。
Stitch Fixでは、まず、ユーザーが希望の価格帯やスタイル、サイズなどのアンケートに答えると、入力されたデータにもとづいてAIがアイテムを選出する。そのなかから最終的にスタイリストによって5点が選ばれ、スタイリングのポイントなどが書かれたカードとともに「Fix」としてユーザーのもとに届けられる。もし、気に入らなければスタイリング料20ドルを払うのみで無料で返品でき、5点のうちどれか1つでも購入すれば、スタイリング料は洋服の代金に充当され無料となる。そして、5つすべてを購入すれば、購入金額が25%オフになるという仕組みだ。
回数などの縛りはなく、ユーザーは、季節の変わり目やイベントなど必要なタイミングでFixを注文でき、購入後のアンケートに回答すればするほど、自分の好みにあったFixを受け取ることができるようになる。
パンデミックで多くのユーザーがオンラインショッピングに移行したことが追い風となり、Stitch Fixの2019年の純収益は16億ドル(約2,106億円)で前年比29%増加、純利益は3,690万ドル(約49億円)、会員数は前年比18%増の320万人となった。ロックダウンでユーザーが求める服がおしゃれな外出着ではなく、自宅でよりリラックスできるものに変化したときも、Fixユーザーからの具体的なフィードバックからそのシグナルをすぐにキャッチし、倉庫の在庫変更などにも迅速に対応できたところも成長要因の1つだ。
しかし、COVID-19関連の規制が解除されるとともに、ユーザーの多くがオフラインで買い物をするようになると、Stitch Fixの成長速度は減速。そこで導入されたのが、2021年9月に発表された新サービス「Stitch Fix Freestyle」だ。これは、ユーザーが入力したアンケートの回答にあわせてAIがキュレーションした商品が専用ページに表示され、そこから商品を購入するという、スタイリストによるヒューマンタッチの部分を排除した従来型のECサイトに近いサービスで、ユーザーはFixを購入しなくても直接アイテムを単品で購入できるようになった。
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