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Kylie Skinなどセレブもヴィーガンコスメブランドを立ち上げ、市場が拡大中

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レディー・ガガがヴィーガンのメイクアップ製品を自身初のコスメブランドとして2019年7月に立ち上げ、世界的に大人気のカイリー・ジェンナーのコスメブランドは5月よりヴィーガンスキンケアラインを発売開始した。ヴィーガン市場は2025年までに208億ドル規模にまで成長するという調査もあり、ヴィーガンコスメの今後の市場性と可能性を考える。

「2018年はヴィーガニズムがメインストリームになった年」と報じられたと以前紹介したが、2019年になってヴィーガンの盛り上がりはさらに加速している。

「Jillian Dempsey」「Lime Crime」「Milk Makeup」などこれまでにも数々のD2Cヴィーガンコスメブランドが誕生しているが、このところ世界的に名前を知られるビッグスターやセレブリティが、プレステージなヴィーガンコスメを立ち上げているのだ。

2019年7月、レディー・ガガがAmazonをグローバルリテーラーとして独占契約しクリエイトしたコスメブランド「HAUS LABORATORIES」は、ガガ自身がコンセプトや企画に深く関わっているとされ、ヴィーガンでクルエルティフリー、そして、ジェンダーレスな製品であるとうたう。

「カイリーコスメティクス」人気が世界で爆発し、21歳で「米国の最年少ビリオネア」の記録を作ったカイリー・ジェンナーもまた、5月にヴィーガンかつクルエルティフリーのスキンケアライン「Kylie Skin」の販売を開始した。

さらに、長年ビヨンセのメイクアップを手がけてきたサー・ジョンが、ウールワースと提携して自身のヴィーガンコスメライン「Volume 1」を南アフリカで販売開始したほか、数々のセレブを担当しているメイクアップアーティストのニッキー・デローストが、ヴィーガンメイクアップブランド「RÓEN BEAUTY」を2019年になって発表している。

一方、ヘンケルは2019年2月、ヨーロッパで販売しているシャンプーブランド「Schauma」をヴィーガンブランドとしてリブランドすることを発表し、 クラランスは同じく2月、18~25歳のZ世代をターゲットにした新ヴィーガン・スキンケアライン「My Clarins」を立ち上げた

このように、セレブや大手メーカーの目立った動きが散見され、ヴィーガンブランドの数は、確実に増えている。その背景にはもちろん、ヴィーガンビューティに対する消費者の関心が高まっていることがある。たとえば、2017年2月から2018年1月の12ヶ月で、英国における美容系ヴィーガン製品の売り上げは38%増となるなど、その成長ぶりは具体的な数値でも裏付けられている(The NPD Group調べ)。

ヴィーガンコスメの定義と認証制度

ヴィーガン市場の現在とこれからをみていく前に、まずはヴィーガンとは何かということを確認しておこう。

Image: Yulia Furman via shutterstock

英国ヴィーガン協会では、「ヴィーガン主義とは、食物や衣類、日用品など日々必要とするアイテムから、動物からの搾取と虐待を、可能な限りまで排除する生き方」と定義している。食生活におけるヴィーガンは肉類はもちろん、乳製品、卵、蜂蜜なども摂取しない完全菜食のことと定め、コスメやパーソナルケア製品、衣類の分野でヴィーガンというと、昆虫や鳥類、魚類を含む動物由来原料を一切使用しないものを指す。あわせて、動物実験には反対の立場をとっている 。この方針をもとに、英国ヴィーガン協会ではグローバルなヴィーガン認証制度をもうけ、3万点以上の製品が登録されている。

2019年3月、LUSHはすべての製品で卵を原料に使用するのを廃止すると発表したが、これはヴィーガンへのステップを前進させる試みの一例だ。卵の代替品として、豆のゆで汁であるアクアファバや亜麻仁(フラックス)を使用するとしている。 

一方、ヴィーガンと隣接する考え方の「クルエルティフリー」は、製品の開発や製造段階で動物実験を行わないことを示すもので、リーピングバニー認証、PETA(People for the ethical treatment of animals)認証などの制度がある。

化粧品に関する動物実験の最近の動きとしては、2019年7月にEUで化粧品の安全確認を行う新しい試験方法「VeganSure」が認証された。動物実験を行う化粧品の販売が禁止されているEUでは、同時に安全報告書の提出が義務付けられており、従来は動物由来の中和剤や培地を用いた試験方法が用いられていた。しかし、VeganSureでは、これをすべて植物性あるいは合成化合物に転換したのである。

安全確認でも動物由来のものを一切使用しない選択肢ができたことは、動物愛護の姿勢を示すのに積極的な多くの化粧品メーカーやブランドに好意的に受け取られているようだ。このような代替案が登場したことで、動物実験を禁止する国や地域はますます増えていくと予想される。

またヴィーガンとかぶる部分も多い「オーガニック」は、製造工程で有機栽培された原料を使っているものをいい、USDAオーガニック認証、NATURE認証、BDIH認証などの認証制度があるが、それぞれガイドラインが異なっている。

成熟しつつあるオーガニックコスメ市場と、クルエルティフリーへの賛同の機運を追い風に、使用原料の条件をより厳格に定めることで一歩踏み込むヴィーガンコスメ市場が伸びているという見方もできそうだ。

米小売大手のターゲットでは、ビューティ関連製品売場で、「ヴィーガン」、「クルエルティフリー」、「植物性原料」など14種類の表示マークを用いて、ナチュラルでエシカルな製品を購入したい消費者が、自分の求めるタイプの商品を見つけやすくする工夫をはじめている

市場の拡大背景はヴィーガン人口とクルエルティフリー需要の増加

グーグルでの「ヴィーガン」の検索ボリュームは、2012年から2017年の5年間で4倍に伸びており、世界のヴィーガンコスメ市場は年成長率6.3%で増加し、2025年までに208億ドルの市場に達するとの予測もある。

Image: 4 PM production via shutterstock

ヴィーガンコスメへの注目の高まりは、ここ10年でヴィーガン人口が360%増えた英国での支持増加も大きいが、米国でのヴィーガンコスメ市場が成長していることも要因だ。米国のヴィーガン人口は2014年から2017年の3年で、約6倍の1,960万人になった

さらに、2018年から2019年にかけて、カリフォルニア州、ネバダ州、イリノイ州の3つの州で、動物実験を行った化粧品の販売を禁止する法案も制定された

だが、何より大きいのは消費者意識の変化だろう。世界的な傾向として、現在の消費者は自分の消費行動が社会や環境にどのような影響を与えるのかということを意識しはじめている。商品を選ぶ際には、原材料や生産地を細かくチェックし安全性を確認するとともに、作り手であるメーカーの透明性やエシカル度にも目を向けて吟味する。ソーシャルメディアの発達は、一般の人々が製品情報はもちろん、企業の具体的な取り組みや評価といった情報にアクセスするのを容易にした。健康や環境に害をなさない、動物を苦しめない、より自然の摂理にかなった製品を求める気持ちはかつてないほど強まっている。

そして、こうした流れを引っ張るのが、仕事に就く年齢になり購買力をつけはじめたZ世代だ。10年後の自分たちが生きる環境を守るためには、今、行動を起こさなければと彼らは考える。様々なオプションや周囲の理解も増え、ヴィーガンであることは以前のように珍しいことでも、難しいことでもない。

2004年生まれで、ネットフリックスの人気ドラマシリーズでブレイクした女優のミリー・ボビー・ブラウンが、コスメブランド「Florence by mills」を立ち上げた。「同世代にも使いやすく、安全なアイテムを提供する」と、本人がInstagramの動画で語るその製品は、ヴィーガンでクルエルティフリー、どんな肌色にも対応するといい、10代のトレンドをまさに象徴している。

美容大国の韓国でも、MEMEBOXで4年間勤務した女性が、米国のヴィーガンコスメトレンドをまのあたりにして独立、韓国でヴィーガンのD2CブランドであるMelixirを立ち上げた。ミレニアルやZ世代向けのコンテンツやコミュニティを重視したマーケティングでじわじわと支持者を集めている。


わかりやすさ、買いやすさをつくる動画を活用

このように、Z世代、ミレニアル世代がコアターゲットのヴィーガンコスメブランドのマーケティングアプローチは、D2Cの小規模ブランドが多いというのもあり、デジタルを中心としたものだ。

メイクアップブラシなどヴィーガンに認定されたメイク用品ブランドのEcotools は、インフルエンサーによるYouTubeのハウツー動画を配信し、おすすめ商品とインフルエンサーがセレクトした商品がセットになって毎月届けられるボックスも販売している。

一方、ブランドローンチからわずか数年でカルトな人気ブランドに成長した、100%ヴィーガンのMilk Makeup はSalesforce Commerce CloudをECサイトに導入。同社のサイトにアクセスする顧客の60%がモバイル経由であることをかんがみ、商品の検索から購入までの流れのシームレス化を図った。

各ユーザーごとにパーソナライズされたコンテンツの表示を自動化したほか、商品の使用法の解説やメイクチュートリアルなどの関連動画を個々の製品ページにも埋め込んで、顧客エンゲージメントをアップさせる施策をとった。その結果、オンラインの売上高は3桁の年間成長率を示すに至ったという

100% ヴィーガンのヘアカラーブランドArctic Foxは、ブランド創業者のクリスティン・リーヌ(Kristen Leanne)氏自らが、商品を自分の髪に使用する様子を動画として配信。仕上がりの色合いや風合いをリアルな声として紹介している。ヴィーガンのヘアカラーであるため、「きちんと色が染まるのか」、「どんな肌触りになるか」といった消費者の不安を、この動画によって払拭している。

ハラル市場やインド市場での展開

欧米マーケットでの需要の高まりが注目されるヴィーガンコスメ製品だが、親和性のあるハラル市場や、宗教的にベジタリアンが多いインド市場での可能性も無視できない。

ハラルとは、イスラム法の教えで禁じられている豚由来の原料やアルコールなどを避けることを指す。ハラルコスメとヴィーガンコスメでは、ハラルはアルコールの使用はNGだが、ヴィーガンでは認められるといった違いがあるが、動物実験を禁じている点は共通する。中東や東南アジアなどの、ムスリム系住民が占める割合の高い国々で、今後、ヴィーガンコスメへの関心が強まることも予想される。

これに加えて、年成長率17%の急伸をみせ、2020年には26.8億円に拡大すると予想されるインドのコスメ市場も見逃せない。インドでは、都市部を中心に、世界的な潮流である、環境に配慮するサステナブルへの志向が芽生えつつあり、有害な化学物質を含まない100%植物性の製品や、家畜を含む動物愛護を考慮する人々が増えてきているという。Market Research Futureの調査によれば、2019年-2024年の世界のクルエルティフリー市場は、成長率6%で2024には100億ドル規模との予測もあり、化粧品輸出国としての成長を目指すインドが、その一翼を担うことは多いにあり得る。

大手企業やセレブコスメがヴィーガンコスメ市場に次々に参入していることに加え、健康志向によるヴィーガン人口の増加と、動物実験に反対する声の高まりを受けて、ヴィーガン市場が今後大きく成長していくことは間違いなさそうだ。あわせて、ヴィーガンコスメに対する消費者の期待値もいっそう高まっていくだろう。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: FotoFreshka via shutterstock

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