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ロレアル、ユニリーバ、エスティ ローダー。2020年上半期デジタル施策総まとめ

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2020年上半期の化粧品の売上上位6社のデジタル施策と事業開発をまとめた。2020年上半期は、新型コロナウイルスのパンデミックによる都市のロックダウンや外出規制による店舗の閉鎖、そしてオンラインへの急激なシフトはもとより、グローバル化しすぎたサプライチェーンの再構築をはじめ、黒人差別撤廃運動のBlack Lives Matterから包括的な美、美の多様性に方向転換を迫られるなど、業界は大きな変化を求められた。今回は6社のうち1位~3位企業のロレアル、ユニリーバ、エスティ ローダーについて紹介する。4位~6位企業については次回に紹介する。

※ランキングは、BeautyPackaging のTOP20 GLOBAL BEAUTY COMPANIESより

はじめに: 1位〜3位企業を取り巻く背景

2020年2月に世界規模での流行に発展したCOVID-19パンデミック下で、すべての美容企業が「対応」モードに突入した。現金・製品の寄付を通じて慈善団体をグローバルに支援し、製造業務の再構築をはかり、深刻なリスクにさらされる小売関係者の保護を中心に施策を次々と打った。また、何カ月にもわたる都市のロックダウンや外出規制、海外旅行の禁止、小売業の閉鎖により、消費者の化粧品の購入・使用の行動は、美容およびパーソナルケア全体で劇的に変化し、売上の多くは美容セグメントで低下した。インディーズブランドは最も深刻な打撃を受けており、今後の美容業界は大きく変わっていくとみられている。

そのような危機的状況のなか、ユニリーバは第1四半期の売上は横ばいだったものの、美容とパーソナルケアの売上は約2%増加。抗菌石鹸ブランドのLifebuoyがとくに好調で、Vaselineも好調だったことが背景にある。ロレアルは、同社の予想通り中国事業は成長に戻り、全世界の売上は全体的には減少してはいるものの、様々な施策が評価され株価は順調に回復している。上位3社の株価を見ると、ロレアルは2020年1月からの半年間で6%成長と健闘している。ユニリーバはマイナス3%、エスティ ローダーはマイナス10%という結果だ。

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今回記事の上位3社の株価の動き
出典: CNBC

コロナ危機のなか、2020年5月米ミネソタ州ミネアポリスで発生した黒人男性を白人警官が死亡させた事件をきっかけに、世界的に広がった黒人差別撤廃運動、Black Lives Matterも美容業界に大きな影響を与えた。これまでも米国の美容業界では人種差別問題や児童労働問題の是正、職場の多様性を推進してきたが、今回の事件により、“美白”は白人至上主義の価値観であり、肌の色の多様性を尊重していないとする抗議がSNSであがったことを受け、「美白化粧品」からブランドが撤退する動きが出た。

6月19日にジョンソン・エンド・ジョンソンがアジアや中東で販売している美白製品の一部を中止すると発表した。続いて、6月25日にユニリーバは、スキンケア製品から色白(fair/fairness)、美白(white/whitening)、明るい(light/lightening)などの表現を削除すると発表した。インドを中心に展開しているスキンライトニングクリームのブランド、Fair & Lovely(フェア&ラブリー)のブランド名を、Glow&Lovely(グロウ&ラブリー)と変更することも決定した。

その後、6月27日にロレアルがスキンケア製品から美白に関する言葉の使用を取りやめると発表するなど、グローバル企業が次々と自社商品のキーワードの変更を発表した。包括的な美、美の多様性を消費者が求め、企業がそれに応じる形となった。

1位 ロレアル: コロナ禍でも健闘、デジタルトランスフォーメーションを加速し、圧倒的トップを維持

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2月に発表した2019年12月期通期決算は、過去10年で最高の売上高成長率で、対前年比8%増の298億7,000万ユーロ(約3兆6,000億円)、営業利益は対前年比12.7%増の55億4,000万ユーロ(約6,680億円)、営業利益率は18.6%と記録的数字をたたき出した。ランコムやイヴ・サンローランなどのリュクス事業が2桁成長し、売上高は17.6%増の110億1,980万ユーロ(約1兆3,290万円)と過去最高業績を達成した。

マス向けのコンシューマープロダクツ事業はロレアル パリが健闘し、売上高が6.0%増の127億4,820万ユーロ(約1兆5,370億円)、サロン向けのプロフェッショナル事業は5.5%の34億4,190万ユーロ(約4,150億円)で全部門で増収を達成した。

地域別では、アジア・中東・アフリカを含む新興国市場が売上高で20.5%増の140億2,950万ユーロ(1兆6,900億円)を超えた。電子商取引(EC)の売上は全体の15.6%まで伸びた。この時点では、新型コロナウイルス感染拡大するなかでも、「中国におけるビジネスやアジアにおけるトラベルリテール事業への影響は一時的なもので、現時点で評価するのは時期尚早」として、今年度の増収増益に自信を持っていたが、5月に発表した第1四半期(2020年1~3月期)の結果は、売上高が前年同期比4.8%減の72億2,000万ユーロ(約8,480億円)となった。

しかし、化粧品業界全体でみると、新型コロナウイルスのパンデミックにより、第1四半期が8%減だったことから、ロレアルは比較的健闘していると評価されている。エリア別では、西欧が7.9%減、北米が2.5%減、アジアパシフィックが2.5%減、経済が再開した中国事業は6.4%増だった。そして、ECが大きく成長し、52.6%増、アクティブコスメ事業も2桁成長を継続できたと発表した。

「(パンデミックの)危機は美容部門のデジタル変革を大きく加速。ECは8週間で、3年かかっていたはずの結果を達成」とリュボミラ・ロシェ(Lubomira Rochet)CDOはFinancial Timesのインタビューで語った。パンデミックが収まったのちも消費行動の多くがオンラインで行われるとロレアルはみており、メイクやヘアカラーのバーチャル・トライオン、ビデオチャットによる1対1の美容相談などのマーケティングツールの活用をさらに進めていくとしている。

ロレアルは従来の広告からオンライン広告マーケティングへとシフトし、パンデミック前には全体予算の50%だったものを70%に引き上げた結果、2020年4月のオンライン売上高はラテンアメリカでは300%増、アフリカ・中東は400%増となっている。さらに、Amazon、ブーツ、AS Watsonなどの15社がロレアルのModiFaceをWebサイトとアプリに追加するなど、いわば「ロレアルテクノロジー」が急速にEC企業にも浸透しており、これらを軸にデジタル変革を進めていく予定だ。

売上の強化だけでなく、COVID-19パンデミック下で、ロレアルは影響を受ける人々への支援を積極的に展開した。25万ドルをFeeding Americaに、100万ユーロをコロナウイルスで被害を受けた人を支援する団体へ、Professional Beauty Associationと提携して、マスクなど必要な製品がなくて仕事ができないが、免許を持つ専門家のための救済基金に20万ドルを寄付するなどしている。手指消毒剤の生産を継続し、ヨーロッパでは病院、介護施設、薬局などの医療従事者へ無償配布するだけでなく、食品小売業者全体に配布した。さらに、パンデミックの影響を受けたサロンのプロフェッショナルを保護するための措置も講じている。営業が再開するまで売掛金の回収を停止したり、大きな影響を受けたディストリビューターには支払いサイクルを前倒し、現金払いをするなどした。

2020 年5月12日のロレアル取締役会の決定事項として、ロレアルは増配を断念し、グループ会長兼CEOのジャン-ポール・アゴン(Jean-Paul Agon)氏の報酬を2020年通年で30%減額するなど、企業が取りうる社会的責任を果たす姿勢をみせている。

さらに、パンデミックで環境問題への取り組みが後回しになるなか、6月には2030年までのサステナビリティ計画「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」を発表し、サステナビリティとインクルージョンへのコミットメントの強化を発表した。

ロレアルのデジタルでの主な動き

■ 2020年1月6日 CES 2020で、パーソナライズされた自宅でのスキンケアと化粧品を実現する、世界初の3-in-1デバイス「Perso」を発表

■ 2020年3月4日 ビューティテックフォーグッドチャレンジを開始

■ 2020年3月19日 ロレアルのCDO(最高デジタル責任者)であるリュボミラ・ロシェ氏がWFAグローバルマーケッター・オブ・ザ・イヤーを受賞

ロレアルの事業開発での主な動き

■ 2020年1月24日 理容美容専門の学校「Real Campus, by L'Oréal」を開設し、Hairdressing and Entrepreneurship学士号を提供

■ 2020年2月4日 2020年ドバイ万博のオフィシャルビューティ製品・サービスパートナーとしてパートナーシップを締結

■ 2020年2月4日 ロジェ&ガレ ブランドの独占売却交渉に入る

■ 2020年3月31日 ミュグレーブランドとアッツァーロのフレグランスの買収を完了

■ 2020年6月18日 米国のナチュラルスキンケアブランド「セイヤーズ ナチュラルレメディーズ」の買収契約を締結

■ 2020年6月29日 ロジェ&ガレのインパラへの売却が最終決定

ロレアルのその他の動き

■ 2020年1月21日 職場におけるジェンダー平等を推進するための活動が評価される

■ 2020年1月31日 従業員の人権に関する方針を発表

■ 2020年2月3日 4年連続でCDPのトリプルAスコアを獲得し、世界の環境リーダーに認定

■ 2020年3月18日  欧州全体のコロナウイルス連帯プログラムを開始

■ 2020年5月13日 COVID-19危機のなか、社員の職場復帰を確実にするためにeラーニングモジュール、#Safetogetherを開発

■ 2020年5月18日 日本ロレアル 新型コロナウイルス感染症拡大の対策支援で、経済的に困窮に直面するひとり親世帯を「フローレンス」と「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」などを通じて支援

■ 2020年6月25日 2030年に向けた次世代の大胆なサステナビリティ目標を発表

2位 ユニリーバ :  「徳」の企業としてサプライチェーンを守るなどコロナ禍へ対応

図1

コロナ禍の最中、ユニリーバの前CEOであるポール・ポールマン(Paul Polman)氏が「企業は今こそ良心的な行動を」というメッセージを出したが、2019年1月からポールマン氏の意志を引き継ぐアラン・ジョープ(Alan Jope)CEO率いるユニリーバは、新型コロナウイルス感染拡大で多大な影響を受けたサプライチェーンを守るために、中小企業への金融支援などの施策を次々と打ち出した。また、パンデミックにより仕事ができなくなった請負業者やパートタイムを含む従業員に最長3か月分の支払いを約束している。

そして、以前から社会課題であった格差問題や社会分断が、Covid-19パンデミックによってさらに深刻化するなか、米ミネソタ州ミネアポリスで発生した黒人男性を白人警官が死亡させた事件をきっかけに、黒人差別撤廃運動、Black Lives Matterが拡大。ユニリーバは、憎悪を助長する投稿を放置するなど社会分断を巡る投稿への対応が不十分として、米Facebookや米Twitterへの広告出稿を原則停止すると表明した。

アドエイジによると、2018年のユニリーバの広告費は85億ドル(約9,100億円)で世界4位。大型の広告主の決断に、400社以上の大手企業が7月1日、Facebookへの広告出稿中断に向けて動き出し、消費財業界を超えて「善き企業」のリーダーとして存在感を示している。また、3月には、ユニリーバ・ジャパンがすべての採用選考において、無意識の偏見を排除するために、名前や顔写真などの性別に関する情報の排除に踏み切った。自らが、今までの当たり前を変えることで、よりよき社会を作っていこうとする企業姿勢は多くの称賛を浴びた。新型コロナウイルスによる未曽有の危機にあって企業の真の姿がみえる時において、改革に踏み切れるユニリーバは、目先の得よりも、中長期にわたり徳をつむことで益を生み出していく企業といえる。

ユニリーバが2020年1月に発表した2019年通年期は、売上が2.9%増の520億ユーロ(約6兆3,000億円)、営業利益率は19.1%だった。成長を牽引したのは、新興国市場(5.3%)とホームケア(6.1%)。ビューティ&パーソナルケアは、2.6%増の219億ユーロ(約2兆6,600憶円)だった。ビューティ&パーソナルケアでは、Doveの2桁成長が成長を下支えした。Simpleブランドでホワイトスペースマーケットを取りに行き、トルコなどを含む30か国で展開している。スキンケアでは、POND’SとVaselinが好調だった。プレステージブランドでは、Dermalogica、Hourglass、Living Proofなど、買収したブランドの強力なパフォーマンスで2桁成長を続けた

4月に発表した2020年第1四半期(1月~3月)は、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、横ばい。売上は0.0%の成長で、ユニリーバ全体で124億ユーロ(約1兆4,600億円)。ビューティ&パーソナルケアの第1四半期の結果は、売上が対前年比で0.3%増。外出制限下で、ヘアケアやデオドランドは家庭内備蓄に回される傾向があり、消費者の実質的な使用は減った。スキンクレンジングは、家庭内備蓄も消費者使用も伸びた領域だった。オーラルケアは備蓄が増加。大きなインパクトを受けたのは、プレステージ製品(ヘアケア、スキンケアの両方を含む)で、備蓄はされず消費が大きく減った。売上の3分の2が店舗からだったこともあり、消費自体の落ち込みに対応できていない。一方で、消費者のECへのシフトは急激に進み、Q1では36%増となった。この傾向は今後も続くとみており、ECへの対応力を強化していく。

ユニリーバの事業開発の動き

■ 2020年1月22日 JDロジスティクスとサプライチェーンにおけるスマートで持続可能なソリューションを模索することで合意

■ 2020年4月1日 GSKからのホーリック買収完了を発表

■ 2020年6月12日 チリにおけるアイスクリーム事業の売却プロセスを発表

ユニリーバのその他の動き

■ 2020年1月16日 ドバイにある世界最先端の工場が世界経済フォーラムの「グローバル・ライトハウス・ネットワーク(Global Lighthouse Network)」に参加(注: グローバル・ライトハウス・ネットワークとは、2017年に結成された「グローバルの製造業コミュニティのイノベーションの開発、再生およびスケールアップのプラットホームとして、企業の枠を超えた学びを連携する機会と、新たなベンチマークを設定する機会を創出」する場)

■ 2020年2月12日 Suaveは、PETA(People for the Ethical Treatment of Animals)からクルエルティフリーの認定を取得

■ 2020年3月3日 グローバルで経営陣全体のジェンダーバランスを実現。世界全体で女性管理職比率50%を達成、全世界の課長職以上1万4,000人のジェンダーバランスを実現。職場における女性推進により2020カタリスト・アワードを受賞。日本においても女性管理職比率38%を実現。

■ 2020年3月6日 「LUX Social Damage Care Project」として、採用選考において履歴書から顔写真の提出と性別の記入を不要にし、個人の適性や能力のみに焦点を当てた採用を行うことを発表

■ 2020年3月24日  「Covid-19パンデミックから命と暮らしを守るために」と題し、1億ユーロ以上の寄付、緊急事態への対応として世界の保健機関等へ石鹸と消毒剤の製品寄付、顧客・サプライヤーをまもるために5億ユーロのキャッシュフロー救済の提供、請負業者、パートタイムを含む従業員に対して最大3ヶ月の賃金保護、全世界で在宅勤務、海外出張禁止などの感染拡大防止策などを提示

■ 2020年3月25日 新型コロナウイルス対策支援策として1億ユーロ以上を拠出

■ 2020年3月27日 英国政府とともに世界10億人をターゲットに手洗いの重要性を訴求する手洗いキャンペーンをローンチ

■ 2020年5月6日 ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン 10年の進捗を報告

■ 2020年6月2日 ユニリーバ・ジャパンがシングルマザーの支援を発表

■ 2020年6月15日 気候変動対策、自然環境の保全・再生および次世代への資源の引き継ぎを目的とした新たな取り組みを開始

■ 2020年6月25日 スキンケア製品から色白(fair/fairness)、美白(white/whitening)、明るい(light/lightening)などの表現を削除すると発表

3位 エスティ ローダー :  さらなる危機対応へ、強い企業への変革が課題

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新型コロナウイルスのパンデミック前は、製品及び地理的ポートフォリオのバランスのよさから、売上が堅調で増配余地もある優良銘柄としてしばしば名前があがっていたエスティ ローダー。しかし、中国発のCovid-19パンデミックで中国市場が閉鎖されると、株価は暴落。それまで好調だった売上も、店舗の閉鎖とハイエンド製品を中心に消費者の買い控えが起きた結果、2020年第3四半期(2020年1月~3月)の売上高は11%減の30億ドル(約3,200億円)となった。2020年第2四半期の業績(2019年10~12月)が、対前年同期比売上15%増の46億2,000万ドル(約5,200億円)と好調だっただけに、第3四半期の業績の悪さが目立った。

世界的な空路の大幅縮小により、利益の中心だった空港などの免税店の売上高も大きく影響を受けており、ECへのシフトを急務としている。不況時には口紅のような手の届きやすい比較的安価な高級品が売れる「リップスティック指数」を提唱したのはエスティローダーの前会長のレナード・ローダー(Leonard Lauder)氏だったが、今回は競合他社と比べてみると、エスティローダーの危機対応の弱さが出てしまったかたちだ。

また2020年上半期は、要職における人事交代のプレスリリースが続いており、危機に強いエスティ ローダーへと成長できるのか、市場は冷静にみている。一方で、他社と同様にパンデミックへの支援策を講じ、2025年までに組織のすべてのレベルで黒人従業員を米国の人口比までにする目標を掲げるなど、多様性に対するアクションも進めている。

エスティローダーその他の動き

■ 2020年1月30日 経営陣刷新を発表 

■ 2020年4月8日 7億ドルのシニア債を発行

■ 2020年4月15日 COVID-19への取り組みを発表。国境なき医師団に200万ドルを、ニューヨーク市の病院へクリニークのスキンケア製品等を寄付するなど、グローバルに寄付を行うだけでなく、CEOの給与を50%、エグゼクティブチームの給与を30%、その他の管理職の給与の10-20%を削減するなど、財務の柔軟性と流動性を高めるためのアクションを行った

■ 2020年5月29日 オリジンズのジュリー・ヴァン・オンゲヴァル(Julie Van Ongevalle)氏がグローバルブランドプレジデントを退任

■ 2020年6月1日 ジョージア・ガリノイ・メレンキオトウ(Georgia Garinois-Melenikiotou)氏の退任予定を発表

■ 2020年6月10日 経営陣の新体制を発表

■ 2020年6月18日 ジェーン・ローダー(Jane Lauder)氏をEVP、エンタープライズ・マーケティング、チーフ・データ・オフィサーに任命

■ 2020年6月18日 ミシェル・フライヤー(Michelle Freyre)氏をクリニークのSVP、グローバル・ジェネラル・マネージャーに任命

■ 2020年6月22日 経営陣の新体制を発表

■ 2020年6月24日 ブランドクラスターのリーダーシップに関する最新情報を発表

■ 2020年6月25日 ジェーン・ハーツマーク・ヒューディス(Jane Hertzmark Hudis)氏がエグゼクティブ・グループ・プレジデントに昇格

■ 2020年6月26日 ステファン・ドゥ・ラ・ファヴェリー(Stéphane de La Faverie)氏をグループプレジデントに昇格

まとめ: 柔軟性と信頼性がコロナ後にトップでいるためのカギ

ユーロモニターによると、化粧品業界は、2005年~2008年までは5.0%で成長し、2008年~2009年は3.2%と成長が鈍化したものの、2009年から2010年には4.1%と回復傾向になり、その後、2011年~2019年までは、4.6%で成長している。つまり、2008年の世界金融危機後、わずか2年で回復に戻しているのだ。今回のCovid-19パンデミックの経済危機においても、金融危機の時と同様に、一旦買い控えた消費者は危機が去った後には購入モードに戻るため、市場はいずれ回復するとみる人も少なくない。

とくに、最初に大きな打撃を受けた中国では、今年2月の売上は対前年比で80%減少したものの、3月は対前年比20%と急速に回復していることから、Covid-19が収束すれば、売上は回復基調に向かうとする考え方だ。とはいえ、中国が完全に復調したかというと疑問で、4月に9割以上の百貨店やスーパーマーケット、ドラッグストア等の小売店舗が再開したものの、売上自体は地域によっては40%以上も減少しているところもあり、真の復調には時間がかかるとされる。

しかし、悪い側面ばかりではない。店舗やサロンに行けないから自分でケアする方法を磨く、オンライン会議の前に口紅を塗り気分を盛り上げるなど、美しく健康に生きたいという思いは、常に変わらない人間の欲望の1つであり、パンデミックによって、美や健康の定義が大きく変わったわけではない。

今後はオンラインとオフラインを自由にまたいでの購入ができるように、美容企業には、ロレアルのような踏み込んだデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められる。ロレアルやユニリーバといった、状況に合わせて変化できるチャネルやマーケティングの柔軟性を実現している企業は、大幅な売上減はしていない。

また、自社の従業員はもとより、サプライヤーや顧客との信頼関係を構築できる企業の製品を、消費者が好んで選ぶ傾向はしばらく前から続いており、コロナ危機で、この企業姿勢をみることにもとづく購入行動は強まるだろう。

すなわち、柔軟性と信頼性が、グローバルトップ企業でい続けるためのキーワードである。ロレアルはDXを推し進め、フレキシブルなチャネル戦略を実行し、ユニリーバは「得よりも徳」の企業哲学で、業界のみならずビジネス界全体をリードする存在となっており、トップ2社の存在感が増している。

Text: 秋山ゆかり(Yukari Akiyama)
Top image: Fred Kearney via Unsplash

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