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美容業界のSDGs、サステナブルなパッケージとウォーターレス製品の最前線【WeCosmoprof 2021】

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WeCosmoprofレポート第2回目は、ウェビナー「COSMO TALK」で語られた「サステナビリティ」について取り上げる。持続可能性への取り組みは、SDGs、ESG経営の面からも不可欠となっており、企業がどのように消費者の期待に応えるかに注目が集まる。2つのセッションで語られた循環型経済を促すパッケージと水の使用量を抑えるソリューションを紹介する。

Z世代消費者が起こす社会トレンド

「サステナビリティのためのデータと創造性(Data and Creativity for Sustainability)」と題されたセッションでは、ファッションや美容業界のサステナブル事情に精通した4名が登壇した。ビッグデータのAI分析をもとに同業界におけるトレンドを考察するLivetrendの共同創業者であるバルバラ・マイオキ(Barbara Maiocchi)氏は、20年間ファッション業界で働いたのちに起業した経歴をもつ。Livetrendでは、EコマースやInstagramのデータ、ファッションショーでの傾向や動きをもとに、ファッション業界におけるサステナビリティを分析する。

ファッション産業は、石油産業につぎ世界で2番目に規模の大きい環境汚染産業とされ、ラディカルな変革が求められている。マイオキ氏は「サステナビリティやインクルーシビティなどの新しいコンセプトは、Z世代によって業界にもたらされ、上の世代に影響を与えて社会を動かしている。環境責任に関しても企業やブランドに対して具体的な情報やアクションが求められている」とする。

同社の調査分析によると、ファッション業界におけるナチュラル素材やリサイクル繊維など環境に配慮した素材の使用は、前年比200%と伸びていて、自社製品の持続可能性を証明するためにエコラベルや認定書を表示する企業やブランドも増加している。また、サプライチェーンでは原料調達と製造現場の距離をできるだけ短くすることでカーボンフットプリントを減らす努力がなされている。エコフレンドリー、かつエシカルな素材としては、動物性皮革の代替えとして植物由来のビーガンファーやレザーへのシフトが進んでいる。たとえば、りんごの芯や皮などの廃棄物から作られたアップルスキン(アップルレザー)、マッシュルーム由来のレザー、サボテン由来のレザーなどで、それらの使用は前年比119%という。

また、余剰在庫の素材を再利用したアップサイクリングの増加も顕著で、Instagram上では「アップサイクリング」に関連する言葉は、商品を生産する際に出る生地の余りを利用する「(エコ)パッチワーク」などのハッシュタグも含めて前年比10%増で、2019年と比べると87%増となっている。

たとえば、クロエは2021-22年秋冬コレクションで、アイコンバッグである「エディス」にコレクションで余った素材を使ったパッチワークを施してアップサイクルを実現した。また、2021年4月にはLVMHグループがクチュールメゾンのデッドストックの生地をオンラインプラットフォームで再販する「Nona Source」をローンチし、業界における循環型経済を促している。ファッション業界においては、アップサイクリングは一過性のトレンドではなく、クリエイティブなアプローチとして提案されている。

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