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中国の肌診断、MeituがAI駆使した店舗向け機器を開発、進化し続ける性能

◆ English version: China’s Meitu develops AI-driven skin diagnosis machines for stores
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中国の化粧品販売の現場で、肌診断機が多機能化している。店舗での潜在顧客の開拓も含めた活躍が期待できる肌診断機や、スキマ時間に試せる肌診断ブース、アプリなどを紹介する。

中国スマホ大手のシャオミや美容ECアプリを運営するTryTryとの提携を2018年に発表した「Meitu(美図)」が開発のAI肌診断機器「MeituEve」は、医療用水準を満たしているとの説明があるほど高性能の肌診断機だ。2019年5月20日から3日間開催された「中国美容博覧会(China Beauty Expo)」にて初披露された。百貨店の美容カウンターやサロンなどの実店舗に設置し、接客やカウンセリングの際の利用を目的としている。

Meituは、もともと「BeautyPlus」をはじめとするスマホ用自撮り加工アプリや、スマートミラー「Magic Mirror」などを開発する中国企業であり、培った画像認識や画像処理分野での強みを生かす、MTLabという研究チームをもつ。そこでは独自の技術やアルゴリズムが開発されており、国際的にも評価が高い。

MeituEveは、照射する光の種類(5種類)や、分析結果の項目数(10種類)が他社製品と比較して多く、より正確な診断ができることが強みだ。また、顔輪郭の立体検知、皮膚問題検知、ワンクリックレポート、潜在顧客開拓※1、公立病院との協力体制などの面でも優れている。

※1 公式アカウントをフォローしているユーザーや、Meituが提供するアプリを使っているユーザーを、位置情報を使って近くの店に誘導するなどの仕組みがある

出典: MeituEve公式サイトより

出典: WeChatのMeituEve公式アカウントより

使い方はまず、写真のボール型の機械の部分に顔をいれる。

目を閉じた状態で顔の写真を撮影する。日光(自然光)、紫外光、交差偏光、平行偏光、ウッド灯の5つの光を各10秒程度照射するが、痛みや熱などは感じない。

5種類の光に関する説明(パンフレットより)

撮影後10秒ほどで、パソコンに肌の診断結果が表示される。

10種類の項目説明(出典:WeChatのMeituEve公式アカウントより)

PC上に表示されるレポートで、肌のタイプ(乾燥肌か混合肌かなど)、毛穴の状態、そばかすや黒ずみの状態など10項目(左上より右に、目のくま、肌質、毛穴、黒ずみ、しわ、敏感度、ニキビ、ポルフィリン※2、シミ、皮膚の色)についての結果を見ることができる。

※2 肌に含まれるポルフィリンの量。ポルフィリンが肌に多く含まれると光線過敏の症状が出やすいとされている

ディスプレイに表示されたレポート

肌年齢(肤齢)や肌タイプ、
肌の色がパントーンカラーで表示される
(出典:WeChatのMeituEve公式アカウントより)

診断結果に基づいた商品のレコメンド機能もあり、販売側はデータにもとづいて、顧客に対し説得力のあるコミュニケーションをとることができる。あらかじめデータベースに商品情報とレコメンドのためのロジックを登録しておけば、診断結果ページに顧客の肌にマッチする商品を表示することも可能で、商品知識を充分にもっていない販売スタッフでも販促トークがしやすくなるだろう。

画面右下に「おすすめ商品」が表示される


店頭での体験のきっかけをつくる肌診断機器

店舗での接客に利用する肌診断機器としては、2000年創立の上海媚测信息科技有限公司が2015年から開発を進める「MEICET(美测)」もその1つだ。中国美容博覧会では実際に、美容ブランド数社がブースにMEICETを導入していた。

MEICET導入例

また、上海愛肌悦智能科技有限公司グループ傘下にある企業「科萱(carehnb)」が開発した同名のCarehnbという機器は、大画面で診断結果を表示するデザインだ。こちらも店舗に設置しての利用を想定しており、大きなディスプレイが人目を引くため、集客にも一役買いそうである。

上記の肌診断機は販売スタッフによる接客を前提としているが、店頭に設置した肌診断機器を顧客が自由に試せるタイプもある。ドイツ系の中国現地企業DJMによる肌診断に特化したスマートミラー「猫咪智能镜(more me)」もその1つだ。

スマートミラー「猫咪智能镜(more me)」

アプリ特化型の「美図美粧」

加えて、スマホアプリだけで肌の状態を診断し、商品購入までが完結するサービスもある。先述のMeituの技術を生かし、提携先企業のTryTryが運営する美容EC・プラットフォームアプリ「美図美粧」では、スマホで顔の自撮り写真を撮ってアップロードすると、すぐに肌状態の診断結果が閲覧できる。EC機能もあるが、現状は診断結果から商品がレコメンドされるわけではなく機能が分かれている。

アプリ「美图美妆(美図美粧)」より


スキマ時間を狙う「皮膚測定ステーション」

また、駅やショッピングモールなどに設置するタイプの無人肌診断ブースもある。先述の「科萱」の親会社である上海愛肌悦智能科技有限公司が開発したスマート皮膚測定ステーション「AI肌」を、上海の徐家汇駅で体験した。

スマート皮膚測定ステーション「AI肌」

この半個室型のブース内には、顔を入れる穴とディスプレイがある。

まず、ディスプレイから年齢や性別などの情報を入力する。

その後、穴の中に顔を入れ、目を閉じた状態で、数枚写真を撮影。装置の外観は、MeituEveと似ている。

撮影後、ディスプレイに表示されたQRコードをWeChatでスキャンすると肌診断の結果を受け取れる仕組みだ。料金の9.9元(約160円)はWeChatPay経由で精算する。

撮影後、ディスプレイにQRコードが表示される

WeChatに表示された肌診断結果

ここでは商品のレコメンドはせず、肌診断結果のみのマネタイズで完結している。駅での待ち時間や空き時間の楽しみや時間つぶしのための用途と考えられる。

中国の肌診断機器は2つの方向

中国の検索エンジン「百度(baidu)」で調べてみると、このようなAI肌診断機器は2017年頃から徐々に市場に出回りはじめたようだ。歴史は浅いが、AI技術の進歩の度合いや医療機関とのデータ連携のしやすさという点で、欧米や日本とくらべてアドバンテージがあり診断精度も高いとされる。

技術的には、セルフで顔を撮影して肌診断をし、タッチパネルやスマホなどのデジタル上でおすすめ商品を選び、その場で購入という、完全セルフサービスにするのも不可能ではない。肌診断機器はこの先、対面販売のツールとしての役割とセルフ、2つの方向に展開していくものと思われる。

Text: 滝沢頼子(Yoriko Takizawa)

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