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日本発の本格的なホルモン検査サービス「canvas」女性の健康管理支援に企業も注目

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2021年も3月8日の国際女性デーにちなみ、
フェムテックや女性エンパワメントの
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(フェムテック過去記事はこちら

女性は、初潮から閉経を迎えるまで、月経、妊娠、出産、更年期と一生を通じて激しいホルモン変化にさらされ、体調も大きく変化する。その状態を的確に把握するためのホルモン検査サービスが欧米ではかなり普及しているが、日本でもついにフェムテック スタートアップのVitalogue Healthが「canvas」というホルモン検査サービスをリリースした。低用量ピルの服用支援、卵子凍結などと同様に、働く女性の健康管理支援として福利厚生としての導入も進みそうだ。

海外で続々と登場。自宅でできるホルモン検査キット

月経や妊娠、出産、更年期などに伴う女性特有の体の変化や不調、不妊症などの検査では、それらと密接に関係するホルモン値を調べることで原因の把握ができる。そのときどきのホルモンの状態を知り、服薬などである程度コントロールすることができれば、PMSや更年期障害による不調の改善につながり、一生を通じて女性のQOLは格段にあがる。

これまで、ホルモン検査は、病院で採血して行うのが一般的で、検査対象となるホルモンによっては月経周期に合わせて受診・検査しなければならない。そもそも婦人科を検査目的で受診することも浸透しておらず、仕事や育児などの予定を調整しなければならないなど、非常にハードルが高いものだった。そうした課題に対し、海外では採血や尿、唾液などの検体データを使って、自宅で手軽にホルモン検査ができるサービスが続々と登場している。

さきがけは、米国で2017年に創立された「Modern Fertility」で、2019年6月には、1,500万ドル(約16億4,000万円)の追加調達を行うなど、いま勢いのあるスタートアップのひとつだ。159ドル(約1万7,300円)で提供するホルモン検査キットでは、指先から採血した血液から8つのホルモンが測定でき、生活習慣などをかんがみて医師がレビューを行い、妊娠しやすさを示す分析結果が、後日デジタルレポートで送られてくる。

デジタルレポートでは、更年期障害の予測と確認、生殖能力に影響を与えている可能性のあるホルモンバランスの乱れの検出、原発性卵巣機能不全(POI)のような生殖能力に深刻な影響を及ぼす可能性や、卵子凍結や体外受精(IVF)の検討に役立つ情報を包括的に知ることができる。結果をみて、希望すれば看護師に相談したり、週1回の「Egginar(エジナー)」と呼ばれるウェビナーやModern Fertilityのコミュニティに参加して情報を得ることができたりなど、アフターサポートも充実している。

2020年9月には、英国ロンドンの女性科学者3名によって、自宅採血で行うホルモン検査キットを125ポンド(約1万8,900円)で提供する「Hertility」が誕生した。Hertilityのサイトには、「キャリアか、家族を持つかのどちらかを選択する必要はない。私たちは、自分の健康と未来の妊娠をコントロールできる」という力強いメッセージとともに、リプロダクティブ・ヘルスの世界に革命を起こすというミッションが掲げられている。UCL(University College London)の研究機関と連携しながら、ホルモン検査キットのほかにも妊娠前に行う遺伝子スクリーニング検査キット、流産の原因を特定する検査キットも販売している。

こうした世界の流れのなか、日本でもついに、自宅で手軽にできる女性ホルモン検査サービス「canvas」が誕生する。これまで、AMHなど数種類のホルモンを測定するサービスはあったが、8つのホルモン値を計測して、包括的なアドバイスが得られるサービスは日本初という。

数滴の血液からホルモン値を測定する独自アルゴリズムを確立

canvasを展開する株式会社Vitalogue Health 代表取締役 長谷川彩子氏は、東京大学薬学部で神経科学・薬理学を学んだのち、アクセンチュアで戦略コンサルタント、ゴールドマン・サックスにてヘルスケア関連のアドバイザリー業務に携わった経歴をもつ。

プロフィール写真_Vitalogue Health_長谷川彩子

株式会社Vitalogue Health
代表取締役
長谷川彩子氏

長谷川氏自身、ホルモンの変動で月の半分は体調が優れなかった経験がある。「男性が多い職場で働きながら、自分だけがもどかしい、足かせになっていると感じていた」(長谷川氏)。仕方がないものと諦めていたところに病院でホルモン検査を受けるきっかけがあり、その数値を実際に見ることで、自分の体の状態について想像以上に知ることができ感動したという。「これこそ女性が知るべき情報だ」と確信し、2017年から本格的に調査・開発をスタートさせた。

「薬学部卒というバックボーンはあるものの、検査のスペシャリストではなかったので、まずは検査手法に関する論文を読みあさった」と長谷川氏。血液を使った検査・分析に照準を定め、数百万円する血液分析機器をローンで購入し、実験と解析の比較検討を繰り返した。そして、指先から採取した微量の血液を解析し、腕の静脈から採血した場合の血液濃度に換算してどれくらいかを測定する独自のアルゴリズムを導き出し、そこに機械学習を組み合わせることで、高精度で解析できる手法を確立した。

8つのホルモンから健康状態を把握

canvasでは、8種類の女性ホルモン値から、ニキビや月経不順の原因がチェックできる「Women's General Health Check」(定価2万8,600円*)、排卵、卵子の数、体調に関わる重要なホルモン値から妊娠を見据えた健康チェックができる「Women's Fertility Check」(定価2万8,600円※)、そして、排卵と体調に関連するホルモンのバランスから更年期を見据えた健康チェックができる「Menopause Check」(定価1万6,500円※)の3種類の検査キットを、2020年3月下旬から販売する。
※金額はすべて販売予定価格・税込

canvas_プロダクト写真_news

「気軽に手にとってもらいたいため
パッケージのデザインにもこだわった」
(長谷川氏)

婦人科受診にハードルを感じる人にとっては、自宅にいながら検査ができ、しかも病院で自費診療のホルモン検査を受けるよりも、検査費用を安く抑えられるメリットがある。

たとえ気になる症状がなかったとしても、この手軽なホルモン検査の結果に応じて、妊活のタイミング、卵子凍結や体外受精といった選択肢の検討、不妊や更年期のサインに早めに気づいて治療を開始できるなど、前もって適切な対応をとれるのが最大のメリットだ。とくに妊娠においてはタイムリミットもあるため、各自が望む「人生設計」のための重要なデータになり、ライフイベントや仕事における選択肢も広がることを意味する。

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canvasの検査でわかる8つのホルモン
編集部調べ
参照元:鶴川台ウィメンズクリニック /
Medical Note / ソフトバンク ウエルネスセンターコラム

canvasは診断を行うものではなく、あくまでもセルフチェックという位置づけではあるが、検査結果によっては「病院を受診した方がよい」というアラートが表示され、検査結果を見せるとスムーズに受診できる連携先医療機関の情報も掲載している。

モニターによるトライアルを行った際、検査を受けたうちの4割の人にアラートが表示され、その約半数が実際に病院を受診したという。モニター体験者からは、「ライフプランを考えるきっかけになった」「ホルモン検査を定期的に受けたい」といった声が寄せられ、満足度は非常に高かったという。

「年齢とともにホルモンバランスは変化していくので、最低でも年に1回くらいの頻度で検査して、自分の体の状態を把握してほしいと考えている。ホルモンのバランスを整えることで、体調が改善する場合もある。体を知ることは自分を愛すること、そして自己肯定感につながる。自分のことをケアしてあげようというポジティブなメッセージとともに、多くの人に届けていきたい」(長谷川氏)

今後、canvasではセルフケアなどの情報提供や、医師と連携して一人ひとりにあったソリューションを提供するサポートプラットフォームとしてサービスを拡充させていく考えだ。また、将来的には、男性ホルモンの検査キットの開発や、蓄積されたユーザーのホルモンデータを活用して不定愁訴との相関関係を調べるなど、研究分野にも貢献していきたい考えだ。

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canvasのアプリ画面

女性の健康管理を福利厚生として企業が導入するのが当たり前の社会へ

canvasの個人向け検査サービスの販売と並行して、企業の福利厚生制度としての導入や、女性のライフデザイン支援の観点から業務提携の話も進んでいるという。女性の健康管理を企業がサポートすることは、年間6兆円といわれるPMS(月経前症候群)を含む婦人科系疾患による経済損失や、不妊治療などによる人材流出の削減にもなり、双方にとって大きなメリットがある。女性が多く働く美容企業こそ、積極的に取り組んでいくべき分野でもある。

長谷川氏は自身の経験からも、この事業を通じて女性の選択肢が広がることを切に願っているという。

「PMSや生理痛、妊娠、更年期と、女性は一生を通してホルモンに大きな影響を受けている。canvasによって年齢や月の生理周期によるホルモンの変化について知ることで、我慢しなければいけない、女性だからしょうがないと諦めるのではなく、ライフスタイルやキャリアプランの選択肢を自分で選び、自分で変えていく人を増やしたい」(長谷川氏)

Text: 小野梨奈(Lina Ono)
画像提供:株式会社Vitalogue Health

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