2021年に向けた米国クリーンビューティブランドの成長戦略と、新たな方向性とは
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クリーンビューティであることは、欧米においてはすでに「マスト」であり、そこに多様性・包括性やウエルネスといった文脈を取り込みながら成長戦略を描きはじめている。2万人が新製品のウェイティングリストに名を連ねたカナダ発のIliaや、クリーンを標榜するプチプラブランドe.l.fを擁する米国e.l.f. Beautyは、新興のクリーンビューティブランドW3ll Peopleを買収し、さらに基盤を固める。クリーンビューティが次に向かう先はどこなのかも検証する。
小規模D2Cとしてスタートしたクリーンビューティの成長を後押しする環境
一般的に、大量生産のできない天然原料を用いて少量ずつ多数のシェードを製造するのはコスト高ではあるが、SephoraやUlta、Credo Beautyなどの小売店やBeautycounterなどのクリーンビューティ専門ECの成長が、こういったSKUの多い小規模D2Cブランドの販路拡大を後押しし、クリーンビューティブランドも規模を追求するようになっている。
人種やジェンダー差別など社会課題に対し化粧品メーカーが何をしているのかを、消費者が注視する動きも追い風として、肌に有害な成分を使用しないクリーンというだけでなく、多様性や包括性にも配慮することで、ニッチなブランドからより多くの消費者の支持を受け大きく成長路線へ舵をきり始めている。
Fenty Beautyが広めた多様性と包括性、そしてBLM運動
2017年、歌手のリアーナがプロデュースしたFenty Beautyの登場は、美容業界に大きな衝撃を与えた。“Beauty for All”と銘打ったキャンペーンとともに、40のシェード(現在は50のシェード)からなるファンデーションを発売し、これまで業界がかえりみてこなかったインクルーシブな製品への消費者ニーズを浮き彫りにしたからだ。これを機に、異なる肌トーンへの対応など多様性への配慮が化粧品開発におけるスタンダードになった。美容ブランドは、こぞってシェードの種類を増やし始め、2020年に入ってからは、Black Lives Matter運動の広がりとともに、その流れは加速している。
一方でシェード数をただ増やし、広告やマーケティングで多様な人種のモデルを起用するだけの“見せかけ”の取組みが増えているという指摘もあるが、ブランドの姿勢をチェックする消費者の目はますます厳しくなっており、うわべだけの施策は見破られ、SNSなどで批判を浴びることにもなる。
こういったインクルーシブな思想を、もともと安全性や地球環境に配慮したクリーンビューティブランドが取り入れていくのはある意味、自然な流れでもある。今回は、そういった思想を取り入れて成長戦略を描く新興ブランドのIlia、注目を集める新興クリーンビューティブランド W3ll Peopleを買収したe.l.f. Beautyの取り組みから、今後のクリーンビューティの方向性を考えてみたい。
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