セフォラ VS ウルタ&Credo Beauty連合が牽引する米国クリーンビューティトレンド
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2027年にグローバルで54.5億ドル(約5,772億円)に達すると予想されているクリーンビューティ市場。米国では、セフォラやウルタ・ビューティなどの大手チェーンと、クリーンビューティ特化型のCredo Beautyなどのリテーラーがそれぞれの基準を定め、市場を牽引している。化粧品専門小売店視点から、米国のクリーンビューティの今を追った。
近年、欧米を中心に美容業界を席巻する感があるクリーンビューティのトレンドは、コロナ禍でますます加速している。米国調査会社のNPDグループは、新型コロナウイルスの影響で2020年のプレステージブランドの売上が14%減となるのに対し、Tata Harper、Vintner’s Daughter、Biossance、Pacifica、Juice Beauty、Tatcha、Drunk Elephantなどのプレステージ・クリーンビューティブランドの売上は11%増加すると見込んでいる。その要因を、同社 副社長兼美容業界アドバイザーでもあるラリッサ・ジェンセン(Larissa Jensen)氏は、「クリーンビューティ・カテゴリーはEコマースの普及率が比較的高いこと、そして人々の関心が健康と安全に向いているためだ」と指摘している。
米国サンフランシスコと東京に拠点をもち、日米異文化・越境ビジネスにおけるデザインのコンサルティングを行うbtrax, Inc マーケティングプロジェクトマネージャー 勝間田靖子氏もこうした状況を「新しい生活スタイルに順応せざるを得ないなかで、精神的な疲弊を感じている人が多く、ウェルビーイングやウェルネスへの関心が高まっている」と分析する。
実際、オンデマンドのメンタルヘルスケアを提供するGingerの調査によると、労働者の7割近くが、パンデミックにより、これまでのキャリアのなかで最もストレスを感じているとしており、抗うつ剤や抗不安剤などの処方も増えているという。「身体だけでなく、精神的な充足を求めてライフスタイルを見直し、暮らしを快適にする製品やパーソナルケア用品にお金をかける人が増えている。また、ナチュラル志向の高まりによって、スキンケアも安全性や環境への負担を考慮したクリーンビューティを選ぶ人たちが増えているのではないか」(勝間田氏)
ウルタはCredo Beautyと提携し信頼性を担保
実は米国では、ナチュラルやクリーン化粧品の明確な定義や使用成分の基準が制定されていない。EUでは、1,300種類以上の成分が有害とみなされ使用が禁止されているのに対し、米国では、FDAによって30種類の成分が禁止されているだけだ。そのため、ブランドや小売業者がそれぞれの基準をもとに“クリーン”を名のっており、それが消費者の混乱を招く原因になっている。
こうした問題に、大手美容小売業としていち早く取り組んだのがセフォラだ。2018年5月に、保存料や化学合成物質など、使用を認めない成分をリスト化した独自のクリーンビューティ基準を制定し、準拠する商品には「Clean at Sephora」マークを与え、クリーンビューティブランドを明確化して取り扱いを強化している。専門家のなかには、「Clean at Sephora」の基準の甘さを指摘する声もあるが、2019年時点で、68ブランド、約3,000のクリーンビューティ製品を販売している。
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