見出し画像

韓国美容スタートアップの現在地、注目の新興ブランドとそれを取り巻くエコシステム

◆ English version: Mapping the Korean beauty startup landscape, now and beyond
New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

韓国では今、テクノロジーの活用やデジタルドリブンな製品開発を全面に押し出したビューティスタートアップが続々と登場している。国内市場の背景や主要プレイヤーたちの全体像はどうなっているのか。ここ数年の動きと関係者たちの証言をまとめ、韓国市場×ビューティスタートアップの現在地を俯瞰して整理する。

新興ブランドは増加一方、サポート系のスタートアップも

韓国ではここ数年、新興ブランドの数がうなぎのぼりで増加を続けている。「その数はおよそ3万ブランド」(現地コスメ情報プラットフォーム関係者)を超えているともいう。新陳代謝も激しく、数年でグローバルブランドへと成長するといったサクセスストーリーがいくつもある一方で、国内市場はこれまでにないほどにレッドオーシャン化。ヒットがないまま消えていくブランドも数多く、生き残りをかけた競争が繰り広げられている。

世界的な傾向と歩みを同じくし、韓国においても、デジタルチャネルの活用を得意とするD2Cブランドが徐々に増え始めているものの、相対的にみれば全体的な販売チャネルに対するブランドの数は「飽和状態」(ブランド関係者)だ。有力なオフラインチャネルであるH&Bストア(オリーブヤングなど日本のドラックストア的な小売店)や百貨店、コスメ専門ショップへの参入を目指す新興ブランドにとっては、障壁は日毎に高まっている現状である。

図1

大手H&Bストアのひとつ
「オリーブヤング」

流通網に対するブランドの数の飽和状態をさらに深刻化させている理由の1つが、小売大手による新興ブランドの囲い込みだ。小売大手同士も激しい競争状態にあり、協業や共同開発、独占販売などにより有力な新興ブランドを陣営に引き込もうと躍起になっている。それゆえに、仮に店頭販売というスタートラインに立てたとしても、ブランド側の試練は続く。有力なオフラインチャネルへの納品の対価として、「価格を下げるよう圧力がかかりブランドが毀損してしまう」(ブランド関係者)ケースも少なくない。綿密な戦略にもとづき、かつパートナーの協力を得られて、本当の成功を勝ち取れる新興ブランドはほんのひと握りだ。

このように国内新興ブランド市場が“戦国時代”を迎えるなか、後を追うように続々と登場しているのが、製造や流通、販売といった側面でサポートするなど、美容関連のさまざまなサービスを提供するビューティスタートアップだ。つまり新興の化粧品ブランドは、韓国のビューティ企業カオスマップにおいて、あくまで一角に過ぎない。ここでは、韓国のビューティスタートアップの全体像を知るため、カテゴライズを行いつつ代表的な企業をピックアップして紹介する。

図1

世界的ブランドとなった
「Dr.Jart+」のショップ
(ソウル・江南)

バラエティに富んだ美容スタートアップ群

韓国国内大手のスタートアップアクセラレーターであるFutureplayは過去のレポートで、ビューティスタートアップ群を「(単一企業による)独立ブランド」「情報プラットフォーム」「越境EC」「ビューティデバイス」「サービス予約」「オンデマンドサービス」「その他」に分類した。ここ2~3年、同レポートはアップデートされていないが、昨年あたりから相次いで登場している「化粧品開発プラットフォーム」を、新しいカテゴリーとしてここに付け加えることができるだろう。

続きをみるには

残り 3,981字 / 3画像

このマガジンを購読すると、バックナンバー記事を制限なくご覧いただくことができます。

BeautyTech.jpは最新1カ月の記事は無料、それ以前の記事は全文閲覧が有料です。「バックナンバー読み放題プラン」をご利用ください。

このマガジンを購読すると、バックナンバー記事を制限なくご覧いただくことができます。

「バックナンバー読み放題プラン」の法人・企業様向けプランです。社内限定で転用・共有していただけます。