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co-store戦略とは(1) - ブランドからの視点

BeautyTech.jp

前回、いまアイスタイルが提案しているco-store戦略について触れさせていただきました。このco-store戦略がどういうものなのか、ブランドからの視点とユーザーからの視点で2回に分けてそれぞれ詳しく書いていきたいと思います。

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ブランドが小売店舗に出店する仕組み

co-store戦略の根底にあるのは、ブランドの方々と一緒に新しい小売店舗を作っていく、という思想です。その名の通り、コワーキングスペースのように店舗をブランド同士でシェアする、具体的に言えばブランドが店舗の中に出店するのです。

実際にブランド側が店舗を構えるとなると、コストが非常にかかります。地代家賃に初期コスト、運用の体制もそうですし、何より集客しなくてはなりません。それでも出店を選択するのは、ブランドの世界観を伝えられる、直接お客様の顔や声がわかる、お客様の情報を取得したり自社のECやDBとダイレクトに繋ぐことができるなど、小売店に商品を並べてもらっているだけではできないことがあるからです。

しかし、この出店で実現できることが、小売店舗の中でも実現できたらどうでしょうか? もちろんスペースの限界があります。ただ「棚什器も最小店舗」と捉えるといろんなことができる可能性があります。店頭に美容部員の方に立っていただければ、直接お客様の顔や声はわかります。そこでお客様の情報を自社ブランドのものとして登録してもらってもかまいませんし、自社ECに誘導してもらってもかまいません。小売店舗に商品を卸して並べてもらうのではなく、お客様と出会うための工夫をこらして出店するのです。お店は化粧品に興味を持っている人がたくさんいる歩行者天国みたいなものなのです。

SNSなどで「体験の場」に来てもらう

店舗の中に出店したからといって、店舗を歩いているユーザーだけを対象にする必要はありません。SNSで多くのユーザーに声をかけてください。いままでは販売協力費として費用を一部ブランドが負担することで、小売店舗側が集客をしてくれていました。しかし、集まった方々が本当に自社のブランドに興味持ってもらえるかどうかはわかりません。ある意味、人数も曖昧です。ならば自社のSNSで繋がっているユーザーの方に店頭に来てもらった方が効率的です。とくにオンラインのキャンペーンで繋がったユーザーの多くとはリアルな接点が少ないはずです。商品を買ってもらうだけではなく、体験をしてもらう機会を提供するのです。

何より各ブランドがSNSでユーザーに声をかけることにより、それぞれのブランドを目的に来店したユーザーとの出会いがあります。店舗という場所にくるユーザーを対象にするだけではなく、YouTuberがやっているコラボ企画のように、店舗という場所を一緒につくっていくのです。

「体験の衝動買い」を促す

店舗の中に出店したら、せっかくなのでイベントをやりましょう。といってもそんなに大きなイベントでなくてもよいのです。サンプルプレゼント、タッチアンドトライ、顔診断など、イメージでいえば、昔スーパーでよく見かけた実演販売のようなものです。商品を手に取ってもらうためのちょっとした仕掛けです。

実際に@cosme Festaという大型イベントをやっているときなどは、普段ブランドが店頭で行っているサービス(顔診断やお手入れの仕方の説明)などでも大行列ができていました。ユーザーはブランドから直接「○○○というサービスが受けられます」と言われて来店するといった能動的な行動はハードルが高いのですが、たまたま訪れた場所で「○○○というサービスを目の前でやっている→やってみてもいいかな」という受動的な行動であれば動きやすいはずです。この「体験の衝動買い」とでもいいましょうか、いま目の前でやっている体験をしてもらう、ということが大事なのです。

メタバースの世界が染み出した場所

一方で、店頭の限られた空間ではやはりブランドの世界観は伝えきれない、というお考えもあるかと思います。であるならば、その世界観はメタバースで実現してはどうでしょうか?

ブランドの世界観を実空間で実現するにはコストもかかりますし、空間的限界もあります。なによりその世界を体験してもらえる人は、東京など場所が限定されてしまいます。なので、ブランドの世界観をメタバースで描くことは方法のひとつとして始めているところもありますが、そのメタバースを体験してもらうにはどうしたらいいのでしょうか。まさしくメタバースの世界が滲み出た空間を店舗に作ればいいのです。限られた店頭では、全部を伝えるのではなくメタバースの入り口だととらえると、店舗の可能性も大きく変わるのではないでしょうか。まさに以前に書いた「オンラインメディア→リアル店舗」から「リアル店舗→オンラインメディア」への大きな変化です。

・小売店舗に出店する
・SNSで集客する
・「体験の衝動買い」を促す
・メタバースが染み出した世界

これはいままでのように、小売店舗に商品を並べてもらって売ってもらう、というのとは大きく違います。より積極的にユーザーの方と繋がり、購入前の体験を店舗を起点につくっていく、ということになります。

いやいや、ブランド側にとって「誰がこの店頭のオペレーションするの?」
という疑問があると思いますが、振り返ってみると10年前、ECでも「誰がECのオペレーションするの?」と同じことが言われていました。

結果、ECに取り組んでいたブランドが、いまはユーザーとダイレクトにコミュニケーションするノウハウと体制を構築できたように、店頭も同じようにブランドが直接オペレーションすることが必要になってくる部分ができるのではと考えています。だからこそブランドと小売店が一緒に店舗をつくっていくco-store戦略なのです。

次回は、co-store戦略をユーザーの視点から書いてみたいと思います。

次回予告:co-store戦略とは(2) - ユーザーからの視点


<著者プロフィール>

吉松徹郎
株式会社アイスタイル 代表取締役社長 兼 CEO


東京理科大学基礎工学部卒業後、アクセンチュア株式会社入社。1999年7月に有限会社アイスタイル(現:株式会社アイスタイル)を設立し、代表取締役社長に就任。同年12月、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」をオープン。2012年、東証一部上場。現在は「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」をミッションとして事業を拡大、アジアを中心にグローバルにビジネスを展開。また、公益社団法人 経済同友会東京オリンピック・パラリンピック 2020 委員会副委員長、公益社団法人 経済同友会幹事を務めるほか、公益社団法人アイスタイル芸術スポーツ振興財団を設立し、理事長として現代アートの制作・展示への助成支援やスポーツイベント開催活動への助成支援を行うなど、活動の幅を広げている。「第6回ニュービジネスプランコンテスト」優秀賞(1999年)、ICS「第14回 ポーター賞」(2014年)、「EY Entrepreneur Of The Year Japan 2018」 Growth部門 特別賞(2018年)など、受賞歴多数。

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