化粧品ビジネスの可能性に投資も加速、公正な取引への環境整備が急務【アフリカ市場の今 ②】
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巨大市場「A-Beauty(アフリカンビューティ)」の現在地をひも解くレポートの2回目は、投資先や原料供給国としても重要性を増すアフリカ大陸の市場の今後と、業界が抱える課題解決のための取り組みについてみていく。
アフリカ系の肌や髪質に寄り添う製品・サービスに投資家も注目
前回の記事「アフリカ市場の今 ①」で考察したように、The Colorsのセッションで示された、欧米とアフリカ本土をカバーするグローバル規模のアフリカ市場のポテンシャルは明らかだ。大企業による投資やアフリカ系消費者に的を絞った製品開発も活発に進んでいる。
1960年代にいち早く南アフリカ共和国に進出したロレアルは、2016年には同国にリサーチ&イノベーションセンターを設立して、現地の美容ルーティンやニーズに合わせた安全性の高い製品開発に取り組んでいる。エスティ ローダーなどもメラニン色素が豊富な肌にあうシェード開発を加速し、ARでファンデーションの色合いを確認するバーチャルマッチングツールを提供しながら、拡大するニーズに応えようとしている。しかし、欧米やアフリカ大陸にいるアフリカ系の人々の間では「大手ラグジュアリーブランドでは自分に合う化粧品がみつからない」という声がまだまだ多いようだ。
同時に、コミュニティの声を反映した商品づくりを進める傾向にあるスタートアップの製品でも納得のいくアイテムにはなかなか出会えないとされる。最近では、米ブランド「Youthforia」が消費者からファンデーションのシェードの幅が狭くインクルージョンではないと批判を受け、2024年5月上旬に新色を追加したものの、最も濃いシェードが黒ペイントとほぼ同色で、メラニン色素がかなり多いタイプの肌にも濃すぎて適していないことがSNS上で告発された。この投稿は24時間以内に100万回以上視聴され、ニーズに合わせた開発がされていないという点で批判を受けている。
こうした製品選びの難しさやフラストレーションから、欧米ではアフリカ系の起業家が同じルーツを持つ人のために開発したヘアケア製品、またスキンケア、メイクアップ製品が次々と生まれており、アフリカ系の肌や髪を熟知する美容師による自宅出張サービスや製品レコメンデーションも広がっている。また、アフリカ大陸でも、各国のローカルブランドが自分たちのコミュニティのための製品づくりに乗り出している。
業界メディアBeautyMatterによると、製品マッチングにおいては、ケニアを拠点とし、グローバルブランドからアフリカンブランドまで幅広く取り扱う化粧品ECプラットフォーム「Emkay Store」が、AIアルゴリズムで肌タイプを分析し、スキンケアのルーティンに合わせて、提携するアフリカ大陸発の複数のスキンケアブランドの製品を提案している。バーチャル・コンサルティングを提供するブランドとも提携しており、ユーザーは遠隔でエキスパートによる美容カウンセリングや助言が受けられる。
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