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美容業界における廃棄ゼロのエコ・レスポンシビリティやウエルビーイングの最先端【Cosmetic360 2022 後編】

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2022年10月に仏パリで開催された化粧品の国際展示会「コスメティック360(Cosmetic360)」のレポート前編では、メインテーマに掲げられたAIに関するイノベーションや講演についてレポートした。後編は、そのほかの主要テーマとしてフォーカスされた、エコ・レスポンシビリティ(環境責任)やウエルビーイング、マーケティングに関する製品・サービスなどを紹介する。

環境配慮は化粧品・サービス開発の必須条件に

欧州では、プラスチックの使用を段階的に規制するなど循環型経済に向けた具体的な目標が設定されており、化粧品カテゴリーにおいても、EUのエコラベル(原材料の採取から最終的な廃棄に至るまで、製品のライフサイクル全体を通して環境に与える影響を考慮した信頼できる第三者検証による環境ラベル)の表示が進められている

フランスを拠点とするコスメティック360の主催者コスメティックバレーも2021年に引き続き、CSR(企業の社会的責任)として、近郊で調達したリサイクル可能な素材でブースや講演会場を設営したり、入場時に来場者に配るネームホルダーはポリ塩化ビニル製ではなく、再生紙を台紙にしたものを採用、また廃棄物の処理に至るまで、環境に配慮した会場作りを徹底している。

現在、美容業界でも環境や循環型経済を考慮した製品開発が加速しており、エコ・レスポンシビリティ(環境責任)のイノベーションとして、水の使用量や輸送によるCO2の排出量の削減が期待できる固形コスメをはじめ、動植物から生まれた有機性の再生可能な資源であるバイオマス由来の処方やパッケージ、アップサイクリングなど、有限な資源を節約し再生するための新しいソリューションが登場している。

5秒で水に溶ける廃棄ゼロのパッケージDeardot

今回のコスメティック360で注目を集めたのは、洗顔料やバスボムなどの商品展開をする韓国企業Deardotによる水に溶ける廃棄物ゼロのパッケージ(サッシェ)だ。パッケージの原料は大豆インキ(soy ink)で、水につけると5秒ほどで分解される。植物成分なので水に流しても環境に有害とならない包装だ。このパッケージには、シート状にした固形の洗顔フォームが入っており、少量の水を加えるとすぐに泡立つ。ヴィーガン処方で、肌にも優しい設計をうたう。

Deardotの生分解性パッケージ

同社は、レッドオーシャン化している韓国市場を避け、まずは米国と日本で製品を販売したのち、韓国でのローンチを経て、「責任のある消費」への意識が高い欧州での展開を目指す。固形コスメが普及している欧州におけるポテンシャルが高いエコデザインで、コスメティック360アワードのパッケージ部門で受賞した。

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